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伏見神社(1)淀姫・豊姫は津波の暗号


伏見神社(1)
福岡県筑紫郡那珂川町
淀姫・豊姫は津波の暗号
裂田溝から南の山田の信号を左に曲がると、伏見神社はすぐにありました。

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那珂川の流れに沿った道路沿いです。

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道路から上がるとすぐに拝殿です。

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拝殿は古式ゆかしく堂々として、いかにも地元の氏神様らしいたたずまいです。

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扁額の色が青いのは珍しく、水に関する宮を思わせます。
古い絵馬が沢山奉納されていました。
ここにどうしても来たかったのです。ここから学ぶことが沢山あるので、
どこから手をつけて行ったらいいのか困惑するほどです。
参拝を済ませて、とにかく由緒書きを読んでみましょう。
伏見神社
鎮座地 福岡県筑紫郡那珂川町大字山田
御祭神 淀姫命 須佐之男命 大山祇神 神功皇后 武内宿禰

御祭神の組み合わせが珍しいです。神功皇后と武内宿禰のペアはおなじみで、
すぐ近くの裂田神社の伝承にも出て来ました。
かつては、ここから裂田神社まで神幸があっていたそうですから、
裂田神社と伏見神社は縁が深かったのですね。

主祭神の淀姫命について、さらに詳しく書かれていました。
御由緒 淀姫命神功皇后姫で干珠満珠を求め給う神徳の姫で、
欽明天皇25年11月1日、佐賀の里に川上大明神として鎮座されたが、
託宣によってこの地に遷座され、後、異国襲来にそなえ、
神功皇后、竹内宿禰と共に京都伏見御香宮を合祭して伏見大明神と称す。

ここの主祭神は淀姫命でした。
「淀姫」はヨド姫と読みますが、「豊姫」と混同されて呼ばれています。
ここでは神功皇后の姉と書いてありますが、ほかでは妹という説もあります。

今回は淀姫や豊姫の系譜の話ではなく、
この女神が何を象徴しているのかを整理したいと思います。

淀姫とはこれまでも何度か書きましたが、「ヨド七十」と呼ばれる、
有明海から筑後川にかけて、70年に一度起こる大津波の神格化でした。
「七十」という数字を「ヨド」と発音していた時代があった訳ですね。
ここから山脈を隔てた南の佐賀県の河上に與止日女神社があり、
そちらでも、ヨドとトヨと両方の名が使われています。
伏見神社の淀姫はその河上の淀姫が祀られています。

さて志式神社の神楽や高良山の伝承では豊姫は、
海神から干珠満珠を貰ってくれた女神でした。

高良山の玉垂宮神秘書では、イルウィが攻めて来たので、
干珠を海に投げると潮が引いて、敵が船から降りたので、
すかさず満珠を投げると潮が満ちて、敵が溺れたと書かれていました。

この話を聞いて「おや」と思った人も多いと思います。
今では、これが津波現象を暗示している事を私たちはよく知っています。
「干珠満珠」は「引き波と津波」を起こす珠なのです。

一方「日本書紀」では、神功皇后たちが朝鮮半島を攻めた時、
この干珠満珠のおかげで大波が起こって船が国の中に到達します。
新羅王はそれを見て、
「新羅の建国以来、いまだかつて海水が国に上って来たことを聞いたことがない。
これは天運が尽きて、国が海中に没しようとするのであろうか。」
とショックを受けます。
この記事も「大波」を「津波」と訳す方がよいのではないかと随分考えました。

こうして見ると「ヨド姫」「トヨ姫」というのは、
川や海で起こる津波の神格化だというのがよく分かります。

その津波を象徴する淀姫がどうしてここに鎮座したのでしょうか。
その疑問は地形を見るとすぐに解決しました。
神社の目の前の那珂川のすぐ近くまで、かつては海が迫っていたからです。
那珂川町は標高が20mほどで意外にも低地です。
奥まった地形なので、津波が発生すると、波の高さが増幅する地形です。

地図 伏見神社のある那珂川町と 川上大明神

那珂川町が狭い谷の奥にあるのが見て取れます。

実際、この近くの梶原では木造建築の跡が出土しましたが、
地震と津波で倒壊した状態で発掘されたそうです。
その震源地は新羅あたりだったとか。

淀姫が祀られたのは、津波がないように祈るためだったのがよく分かります。
そして後世の人には、ここまで津波が上がるので気をつけなさいと
伝える為の神社なのです。

そうすると豊姫や淀姫が祀られている神社は、かつて水辺にあった可能性大なので、
自分の町に、もしこの女神が祀られていたら、地形を調べ、伝承を調べ、
先人の教えがあるのではないかと考え、
防災を見直す「よすが」とすべきなのがよく分かります。
    
            (つづく)

裂田神社へ


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by lunabura | 2011-05-20 17:04 | 伏見神社・ふしみ・那珂川町 | Trackback | Comments(6)
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Commented by jumgon at 2011-05-17 22:28
「干珠満珠」は海幸、山幸の塩満玉(シオミツタマ)、塩乾玉(シオヒルタマ)を連想させます。
よど姫は津波の神格化だというのは同感です。
Commented by lunabura at 2011-05-17 22:43
「干珠満珠」と「潮満玉、潮乾玉」は同類でしょうね。すると、ずいぶん古くからのものという事になりますね。
昔の人々も、川の近くに住まねばならず、洪水や津波に悩まされたのでしょう。そして、伝承は私たちへの教えでもあるというのが今回はよく分かりました。
韓国は地震がないと安心しているようですが、日本の方には韓国の津波の記事が残ってるので、歴史を紐解く事は大切な事だと思いました。
新羅の浜辺に原発が何基も作ってあるので、九州電力ともども、一刻も早く操業を停止してもらいたいものです。
Commented by しなちくにゃんこ at 2011-09-24 00:12 x
初めまして!
私は歴史上の淀殿ファンなのですが、何だか淀姫と淀殿と神社の今年の関連性を感じ、怖くなりました。
バスガイドをしています。
仕事で史跡を調べていると、結構
「この場所まで津波が来た」
という記述を目にする事があります。
本当に、歴史を見直す事は必要ですね!
記事をリンクさせて頂きました。
Commented by lunabura at 2011-09-24 08:53
しなちくにゃんこさん。ようこそ!
お仕事で、史跡を調べると、やはり先人が私たちに伝えようとしている事柄に出会うんですね!
ブログ、お邪魔しました。素敵な生き方ですね!
九州にも是非お越しください。
淀姫は秀吉について、九州に来ています。名島神社の所に書いてます。
名島神社
http://lunabura.exblog.jp/14124836/

これからもよろしくお願いします。 (^-^)
Commented by jinno at 2012-11-06 21:02 x
こんにちは。面白い見解で大変参考になりました。
淀姫・豊玉姫=津波、なるほどですね。
対馬の和多都美神社(豊玉姫命)は、潮の干満で神社の鳥居が海に沈んだり、浜になったりするみたいですので、そういうのが神様の力と思われてたんでしょうね。
Commented by lunabura at 2012-11-06 21:50
jinnoさん。こんばんは。
訪問して拝読させていただきました。
ヨド姫の研究をされているんですね。
大変参考になりました。

筑後川流域のヨド姫に関する神社は、かつての洪水ラインに沿っているのを、いつくか確認しました。
夜渡祭となると、数が多くなります。
そちらの方では如何ですか。
ヨド姫トヨ姫、混乱していていますが、是非とも謎を解いて下さい。(^-^)
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