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産宮神社・謎の奈留多姫 「欠史八代」に関わった


産宮神社
さんのみや
謎の奈留多姫
 「欠史八代」に関わった

伊都国歴博に行く予定を立てていた時、メールが入りました。

「福岡に住んでるせいか、呼ばれるようにあなたの行かれた場所へ誘われます。
ただ、今日は糸島の産宮神社に誘われました。仕事中、ハンドル切ったら鳥居。
七五三で賑わう神社に違和感を覚えてかえりました。奈留田姫を祀る神社。
何か違和感がありました。なんだったんだろう?」(Kさん)

早速調べてみると、博物館の近くです。返信しました。

「はじめまして。メールありがとうございます。
同じように神社をまわっていらっしゃるのですね。
産宮神社は初めて知りました。奈留多姫。さっそく調べると、興味深い系図です。
近々、糸島に行こうと予定を組んでいた所なので、タイミングも不思議です。
行ってみたいと思います。情報ありがとうございます。」

(Kさん。この返信が戻って来たので、こちらで読んで下さいね)

ということで、今日は糸島の神社の紹介です。



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駐車場で車から降りると境内の正面に出ました。
どーんと、鏡を模した石塔。
これは高祖神社にあったのと同じデザインではありませんか?

ちょうど、この日も七五三の参拝があっていました。

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ここは、神功皇后も参拝したということで、気になっていた宮でした。

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御祭神は 奈留多姫命 玉依姫 ヒコナギサタケウガヤフキアエズ尊

なんと、「玉依姫とウガヤフキアエズ」の夫婦神です!!
「奈留多姫命」は初めて聞く神名です。
産宮という社号から、姫が主祭神と思われますが、神殿の千木はこうなっています。

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男千木です。
念のため、祭神について『福岡県神社誌』の方を見ると、
「彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊、奈留多姫命、玉依姫命」の順になっていました。

そうすると、ウガヤフキアエズ尊が主祭神の可能性もあります。
(が、千木は福岡の場合それほど厳密ではないので、これ以上分かりません)

ウガヤフキアエズ…。
ついに、豊玉姫のお子神の宮に来たかな…。
と、半分期待しつつ、まずは手に入るだけの資料を並べてみました。

まずは道路際にあった略縁起 (一部改変)

御祭神、奈留多姫命は御懐妊に当り、祖神をお祀りし「月満ちて生まれん子端正なれば永く以って万世産婦の守護神とならん」と仰せられて無事、皇子を安産された由。以降、産宮と称え、安産守護の神様として広く崇敬をあつめて来ました。

また神功皇后三韓遠征に際し、当宮に産期の延びん事を祈られ、御帰朝後、皇子を安産せられた由、その奉賽の為、百手的射(ももてのまとい)の神事を奉納され、この故事にならって2月25日には的射の神事が修行されている。

社前に梅樹あり「子安梅」という。此の神木は神功皇后が韓土より持ち帰り、初めてこの地に植えられたものという。


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拝殿の左手に「子安梅」がありました。
「百手的射神事」も、神功皇后のいわれなんですね。

『福岡県神社誌』には「鎮懐石の片石はこの神社の神宝だと伝えている」ともありました。

さて、今回は「皇后が祈った神々」の方を見て行きたいと思います。

「略縁起」によると、奈留多姫は「祖神」に祈ったとありましたね。
その「祖神」とは祭神から「玉依姫とウガヤフキアエズ」だと解釈できます。

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この二神は神武天皇の両親でした。
奈留多姫は天皇家の末裔なのでしょうか。
生まれた「皇子」という表現は天皇家の御子ということになりますが、名前がありません。

wikipediaの方に、それが第二代綏靖天皇だと書かれていました。
それがこちら。

 産宮神社
祭神
1.奈留多姫命 (ナルタヒメノミコト)
2.ウガヤフキアヘズ尊
3.玉依姫命

社伝によれば、「奈留多姫は懐妊に当たり、大いに胎教を重んじ、玉依姫命、豊玉姫命両神の前にて、「月満ちて生まれん子は端正なれば永く以て万世産婦の守護神ならん」と誓いて、出産に臨んで苦もなく皇子、神渟名河耳命(第二代、綏靖天皇)を安産し、以後、「産宮」と称えて安産守護の神と祭る、とある。

神功皇后が朝鮮出兵の時、出産が遅れることをこの神に祈り、そのしるしがあって、帰国後、無事に皇子(応神天皇)を出産した。そのお礼に百手の的射を奉納したと伝えられている。

天平年間(729年 - 749年)、聖武天皇が僧行基に命じて、この社に庶民のお産が安産であることを祈願した。その後、正安3年(1302年)後伏見天皇も同じ祈願をしたという伝承がある。

祭日[編集]2月25日 「的射の神事」
考察[編集]古事記、日本書紀によると「綏靖天皇の母親」は「媛鞴五十鈴媛命(ホトタタライススキヒメミコト)」であり、記紀によれば「大和国」で結婚し子を産んでいる。では、この伊都国の地に祭られる奈留多姫命とは誰か?

これで奈留多姫の皇子は「神渟名河耳命(第二代、綏靖天皇)」と分かりました。
系図を書いてみましょう。

とりあえず、常識的にはこうなるでしょうか。(一案)

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神武天皇は当地の奈留多姫に妻問(つまどい)して綏靖天皇が生まれたという系図です。


しかし、ウィキをよく読むと、奈留多姫の祈った神は「玉依姫命、豊玉姫命両神」なのですね。

両姫神を奈留多姫の「直接の祖神」とすると、神武天皇とは兄妹婚となってしまいます。(二案)
これは考えられないので、もう一つの案として、次のようなケースも考えてみました。


c0222861_21205874.gif

これは奈留多姫は神武天皇の姉妹であって、他の人と結婚したという考え。
(三案)

しかし、奈留多姫の名が玉依姫の御子としては伝わっていないという弱点があります。

結論
るな的には、今のところ「一案」です。

奈留多姫は当地、伊都国の姫であり、
神武天皇がイワレヒコと呼ばれる時代に妻問いしたと考えています。
基本的に、当時は母系社会で、妻問い婚と思われるからです。

そして、奈留多姫は夫君の祖神で有名な豊玉姫と玉依姫に安産を祈ったと考えています。
(うーむ。祭神からは「豊玉姫」の名は消えていますね)

もう一人の母
一方、ウィキには
「日本書紀によると「綏靖天皇の母親」は「媛鞴五十鈴媛命(ホトタタライススキヒメミコト)」」とあります。

が、イワレヒコが近畿に到達したころは高齢と思われるので、
青年時代に結婚して、子を成したと考える方が自然だと思います。
(もちろん、東征先でも若い姫君と通婚したでしょうが)

当地でイワレヒコが奈留多姫に妻問したのは、伊都国の軍事力や武器が狙いではないでしょうか。
そうなると産宮神社は神武天皇の東征のスタート地点を考える上で重要な宮になるんですね。


欠史八代
「綏靖天皇は伊都国で生まれた」という思いがけない展開になりましたが、
調べると、綏靖天皇からは「欠史八代」と言われてるんですな。(・.・;)


2.綏靖天皇 - 神渟名川耳天皇(かむぬなかわみみのすめらみこと)
3.安寧天皇 - 磯城津彦玉手看天皇(しきつひこたまてみのすめらみこと)
4.懿徳天皇 - 大日本彦耜友天皇(おおやまとひこすきとものすめらみこと)
5.孝昭天皇 - 観松彦香殖稲天皇(みまつひこかえしねのすめらみこと)
6.孝安天皇 - 日本足彦国押人天皇(やまとたらしひこくにおしひとのすめらみこと)
7.孝霊天皇 - 大日本根子彦太瓊天皇(おおやまとねこひこふとにのすめらみこと)
8.孝元天皇 - 大日本根子彦国牽天皇(おおやまとねこひこくにくるのすめらみこと)
9.開化天皇 - 稚日本根子彦大日日天皇(わかやまとねこひこおおびびのすめらみこと)


今回の考察からは、綏靖天皇は伊都国出身で実在した、と考えたいですね。
また、8代目の孝元天皇は高良下宮社の祭神(久留米市)ですぞ。

となると、これから先、面白い展開が待っていそうです。

Kさんがこのタイミングでコメントをくださったのも、深い意味がありそうですね。

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産宮神社
福岡県糸島市波多江駅南1丁目13−1




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by lunabura | 2013-12-01 21:34 | (サ行)神社 | Trackback | Comments(6)
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Commented by うさぎ at 2013-12-02 02:31 x
産宮神社 確か、和白の方にもありましたよね(分社かな?) ちょくちょく覗いては、色んな神社の記事を読んで、参拝した気になっています(笑)
私事ですが この前、道真の娘が祭神の紅姫稲荷を参ってきました〜
Commented by ばってんハカタ at 2013-12-02 13:26 x
「欠史八代」面白そうな展開ですね。

個人的に興味がある部分です。期待してます!!
Commented by lunabura at 2013-12-02 22:50
うさぎさん、こんばんは。
産宮神社、和白にもあるんですか。もし、御祭神が分かったら教えてくださいね。ヒントがあるかも…。
紅姫稲荷の存在、初めて知りました。ネットで見ましたが、すごい伝承ですね。時平、そこまでやるか?と驚きました。
Commented by lunabura at 2013-12-02 22:53
ばってんハカタさん、こんばんは。
「欠史八代」。
たまたま、出会ったので、驚きました。
この感じでは、欠史八代って筑紫の歴史かなと期待されるんですが、
これ以上出会えるかどうか、縁しだいです。^^
Commented at 2017-09-11 23:15 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lunabura at 2017-09-13 20:36
初めまして。
宮司さんに直接伺って、神武天皇と奈留多姫は兄弟(兄妹か弟姉)と分かりました。
否定した第二案でした。
続き、まだ書いてません。
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