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八艘帆が崎(2)百済王子 阿佐太子


百済王子 阿佐太子と王子阿佐

同一人物か別人か

杵島郡の八艘帆が崎の掲示板に書かれていた阿佐太子の渡来。

三、稲佐山累縁記によれば、百済聖明王の王子阿佐太子は、欽明天皇の勅命により、火ノ君を頼り稲佐に妻子従房数十人、八艘の船にて来航、座所二カ所を設けらる。

一を北の御所と言い、一を太子庵という。この岬に八艘の帆を埋没したので、その後八艘帆が崎と言う。
 
この記事を読んだ時、私は勘違いしました。
「阿佐太子」って「恵」のことかと。
今日はその前後の話をしましょう。

聖明王の子には余昌がいます。
熱田神社で書いたように、余昌は倭国から来ていた鞍橋君に助けられているんですね。

鞍橋君は「くらじのきみ」と読み、
鞍手の人で、当地に行くと、「くらじ」の字があちこちで見かけます。

鞍橋君は葛子の子。
言い換えれば磐井の君の孫にあたります。

その鞍橋君が余昌と共に新羅内に侵入して砦に籠城していたのです。
それを援けるために援軍の指揮を執った聖明王自身が戦死してしまう。

こののち、余昌が百済王に即位するのですが、
その前に倭国に使いを出しているんですね。
「聖明王は賊に討たれて殺された。」と。

その使者の名前が「恵」。
余昌の弟です。

この時の天皇は欽明天皇。欽明16年2月のことです。
天皇は「王子恵が着いた津」に許勢臣(こせのおみ)を送って、王子に
「ここに留まるか、本国に帰りたいか」と尋ねさせます。

すると、恵王子は「天皇の徳で、父王の敵討ちをしたい。
兵卒を賜って雪辱したいのが臣である私の願いです。
私の居留は勅命に従います」と答えます。

蘇我卿が恵王子を見舞って、聖明王の死を悼みます。
その間、百済では余昌が出家しようとして止められます。

翌年、欽明17年(556)1月、百済の王子恵は帰国しますが、
その時、兵や馬を授かります。
天皇は阿倍臣、佐伯連、播磨直を派遣して筑紫国の舟師に送らせます。

これとは別に筑紫火君(筑紫君の児、火中君の弟)を派遣して
ミテという地を守らせ、かつ湊々を守らせます。


結局、恵王子の日本滞在は11カ月だけだったのですが、
私はこの恵王子と八艘帆が崎の掲示板に出て来た阿佐太子とが
同一人物かと勘違いしたのです。
どちらも聖明王の子になるし、時期的に近かったからです。

「恵」と「阿佐」では名前が違うのですが、
武寧王が斯摩という名を持っていることから、
「恵=阿佐」かも、と考えてしまったのです。

「恵」と「阿佐」が別人なら、
聖明王の王子が二人、それぞれ日本に来たことになります。
このあたりのこと、稲佐神社の縁起に何か書いてあるかも知れませんね。



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もう一人の王子阿佐

調べると、推古天皇の所にも阿佐が出てきます。
「推古5年(597)百済王が王子阿佐を派遣して朝貢した。」

この時の百済王はぎりぎり威徳王(余昌)です。
倭国には阿毎多利思北孤や聖徳太子がいた時代です。
王子阿佐は聖徳太子と会ったと言う話もあります。

以上、整理すると、
威徳王の即位前に恵王子が来日。
その前後に阿佐太子が杵島郡八艘帆が崎に上陸。
42年後、威徳王の在位中に王子阿佐が来日。

となります。
同一人物かどうか、決定打がありませんね。

ただ、興味深いのは、阿佐太子が上陸した場所が杵島郡だという点です。
つまり、百済から長崎回りでやって来たのでしょうが、
火ノ君が世話をしているんですね。

時代的には筑紫君葛子の次の世代なんです。
跡取りは宮地嶽祭神の勝村・勝頼か、あるいは別の子供がなったのか。

また、筑紫君と火の君は別人がなったのか。

そのあたり、「筑紫火君(筑紫君の児、火中君の弟)」なんて名前まで出て来たから、
あとちょっとで系図が書けそうなのになあ、と残念です。







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by lunabura | 2014-10-16 20:49 | <地名・地形・伝承> | Trackback | Comments(0)
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