2019年 01月 21日
スサノヲ(1) カノープス 諏訪星
今日(20190121)は満月ですね。
福岡では雲に隠れたり出てきたりしています。
そのずっと右にキラキラとしたシリウスが出ています。
その真下にカノープスが出ているのですが、地平線に近い所に出るので、我が家からは見えません。
高いマンションなどに住んでいる人は、見てくださいませ。
今日は過去記事から、カノープスがエジプトでは氾濫を知らせる星であり、それが日本ではスサノヲに比せられていく話です。真鍋大覚より。
スサノヲ(1) カノープス 諏訪星
カノープスは地平線すれすれを通るため、めったに見られない星ですが、
それを見たら長生きできるということで老人星と呼ばれています。
そのカノープスをスサノヲに例える古代の文化がありました。
スサノヲはアマテラスとツキヨミの弟。
アマテラスとツキヨミは目から生まれ、スサノヲは鼻から生まれます。
空ではカノープスは太陽と月に比べてずっと下の方を進みました。
そのカノープスはナイルの氾濫を告げる星、スハヒル星(諏訪星)でした。
スサノヲは佐太大神、諏訪大神、草木の神、蹈鞴の神。雨風の神。
(諏訪大社の祭神とは違っている)
マミさんがスサノヲに御挨拶に行かれたということが心に残り、
過去記事から真鍋大覚のスサノヲ関連をまとめてみました。
<古事記神代記に曰く、イザナギ尊は
天照大御神に「そなたは高天原を治めなさい」と言ってお与えになりました。次に月読命には「そなたは夜の食国(おすくに)を治めなさい」と言い、次に、建速須佐男命には「そなたは海原を治めなさい」と言われました。(るな訳)
月と星は夜に光を相争う存在であったから、月読命と須佐男命の永遠の仲違いは当然であった。
目は眼窩のなかで自由に動いても音はない。しかるに、鼻はイビキと鼻水を出し入れする。そのかしましい音を古人は「星、風を好むあり。星、雨を好むあり」の諺に則して、世の中に災いを残した須佐男命に見立てたのである。
そして、更に佐太大神或は諏訪大神の別称を奉って草木の神、或いは蹈鞴の神と祭ったのである。
日月が天空を通る道筋を黄道、白道と言う。鼻は目より下にあるから、古事記の須佐男命は地平線を徘徊する運命を背負わされた諏訪星、或いは大陸の言う老人星Canopus(カノープス)即ち雨風を司る神のことになる。
蒼穹の中枢たる北極星には永久に月日に隔てられて近づくを得ぬ存在であった『儺の国の星』「根堅洲国」p26>
イザナギの禊から生れた三貴神。
アマテラス・ツキヨミ・スサノヲ。
アマテラスとツキヨミは目から生れましたが、スサノヲは鼻から生れました。
スサノヲが音を出す鼻から生れたことと
カノープスが雨風を司る神だということと重なっていました。
志賀島 伊邪那岐の禊の場
<サハラ沙漠の遊牧民族は、南の地平線の彼方にスハヒルの光芒を見出すと、たちまちにして駱駝と共に高所に居を移す。満々たるナイルの洪水が氾濫するからである。
スハヒルは水魔の象徴であった。そして永遠に天極から見放されて、大地の果てを放浪する運命を背に負わされた呪われた星であった。
何故に過去の宿業に悩まされているのか、近東の神話はその理由を語らない。しかしその鬱積した憤まんが天地晦冥(かいめい)のなかに暴水と怒涛をもって人類を漂没する悪神として敬遠されてきた。
前二十六世紀および前三十八世紀の二度にわたるノアの洪水も又、スハヒルの為すところと信ぜられている。>
ナイルの氾濫を知らせる星としてはシリウスが有名ですが、カノープスもまたその時を告げる星でした。
シリウスとカノープスは同じように南に出ます。
しかし、シリウスは道しるべのように天高く夜空を渡るのに対して、
スハヒル(カノープス)は地を這うように進んで、すぐに沈んでしまいます。
しかも、その星が出ると人々は肥沃な土地を捨てて、
水から逃れる旅に出なくてはなりませんでした。
自分たちの情けない姿とスハヒルの鬱屈した姿を重ね合わせたのでしょうか。
スハヒルは呪われた星という宿命を背負わされました。
日本神話でも同じ宿命を負った神がスサノヲでした。
<『古事記』神代記にいわく、
(こうして、それぞれがお言葉に従って、授けられた国を治めておいでになる中で、)スサノヲの命は授けられた国を治めないで、ヒゲが胸のところに伸びるまでひどく泣きました。その泣く様子は、青い山は枯れるまで、川や海は干上がるほどでした。そのために、悪い神の声はハエがワンワンとたかるように満ちて、いろんな災いが起こるようになりました。
そこで、イザナギの命がスサノヲの命に尋ねました。
「どうしてそなたは授けた国を治めないで泣きわめくのだ」
「わたくしめは亡き母の国、根の堅洲国に行きたくて泣いています」
とスサノヲの命は答えました。すると、イザナギの大神は大変怒って言いました。
「それなら、そなたはこの国に住んではならない」
と言って、そのまま追放されました。(るな訳)
須佐男命はまさにスハヒル即ち諏訪星を神格化した存在であったかもしれない。天照大神は日神であり、月読命は月神であり、そして須佐男命は星神であった。遠い祖先が人間の生活に時間の区切りを教える空間的存在の一つであった。星暦は今はない。
『儺の国の星』p78>
スサノヲは父から追放され、姉からも追放されます。
ナイルの氾濫を告げるスハヒルと、ナイル河畔から出て行かねばならない人々。
そして追放されるスサノヲ。すべてが重なるのですね。
毎年の洪水のために、ナイル流域の人々は家を建てることも出来なかったことでしょう。その地を捨てて東を目指した集団が出た理由はここにあったのかも知れません。
20150126