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馬上の武人2 物部影姫


馬上の武人2
WAKIMIKO
物部影姫

物部麁鹿火(あらかひ)は磐井君を滅ぼしたのだが、
『日本書紀』を開くと、その娘が出て来た。
「影姫」という。

物部影姫は有名な女性のようだが、私は初めて知った。

武烈天皇のページは読みたくなかったのだが、
麁鹿火を知るために読んでみた。

武烈天皇の名は小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわかさざきのみこと)で、
これ以外は見当たらない。
ここでは武烈天皇という名を使おう。
その皇太子の時の話だ。

父の億計(おけ)天皇(仁賢)が崩御したときに、
大臣の平群真鳥(へぐりのまとり)が自ら王になろうとした。

真鳥は皇太子のために宮殿を造ると言って、出来上がると自らが住んだ。

この頃、皇太子(武烈天皇)は物部麁鹿火の娘の影姫の評判を聞いて
媒酌人を通して妻問をしようとした。

ところが、既に影姫は真鳥大臣の息子の(しび)を迎え入れていた。
そこで、「海柘榴市(つばいち)でお待ちします」と返事をした。

歌垣の当日、皇太子は影姫と会い、袖を取っていると、
鮪が二人の間に割り込んだ。

皇太子と鮪は歌のやりとりをした。
そのあと、皇太子が影姫に歌を贈った。

「琴の音に魅かれて神がやってくるという影姫は
玉に例えるなら、僕の好きな真珠のようだよ」

影姫の代わりに鮪が歌を詠んだ。
「大君の帯が結ばれて垂れていますが、
私は他の方と帯をほどいて結ばれているのです」

その歌で、鮪と影姫が恋仲だと知ると、皇太子はその夜、
大伴金村連の家に行って鮪の討伐を命じた。

大伴金村連は数千人の兵を率い、乃楽山(ならやま)で鮪を討った。

影姫は追って行き、鮪が殺されるのを見て嘆き苦しんだ。

以上が、あらすじだが、一説には、
鮪が影姫の家に宿った夜に殺されたとも書いてある。

歌の中で影姫は鮪を「夫」と詠んでいる。
妻問の時代だから、夫と呼ぶのは当然のことだが、
今日は影姫のことではなく、
その実家が「麁鹿火」宅であることに注目したい。

本来、この時代に天皇の称号はなく、「王」「大王」と呼ぶ時代だ。

平群真鳥が実力で王座に着こうとしたことが分かるが、
息子の鮪(しび)と物部影姫が夫婦になっていたのだから、
物部麁鹿火と平群真鳥は手を結んでいたことになる。

鮪(しび)は物部の婿になった。
その婿(むこ)が殺されて、平群との結束は失われた。

麁鹿火の方は特段、お咎め無しだった。
しかし、娘婿を殺した大伴金村に対して、どんな思いを持っただろうか。

若い二人を通して新しい支配地図を描いていたいに違いない。
そんな未来が消されたが、
武力に勝る大伴に屈するほか、なかったのだろう。
麁鹿火の動向は描かれていない。

これが八月のことだった。

そして、11月11日に大伴金村連は皇太子に会い、
平群真鳥大臣の討伐を持ち掛け、
自ら大将となって真鳥の家を囲んで火をつけた。
真鳥(まとり)はついに殺された。

12月に大伴金村は皇太子に討伐の終了を報告した。
この時「政を皇太子に返した」と書紀は語る。

これは、やはり平群真鳥が一時期にしろ、
王座に着いていたことを表している。

金村はこのあと、皇太子に即位を勧めた。
こうして武烈天皇が誕生した。
金村はその日、大連になった。



平群氏はこれで滅んでしまったのだろうか。

調べると、殺された鮪には既に子供がいたらしく、
その末裔が名を残している。

平群氏については、
糸島南部から福岡市早良区に掛けて居住していたことが分かっている。

糸島に行けば、宇美八幡宮で真鳥の祖・平群木兎(づく)の末裔が
武内姓で宮を祀り続けている。

(宇美八幡宮は拙著『神功皇后伝承を歩く』上巻32の方)


これらは歴史には出てこない。
この逍遥で知り得たことだ。


※さて、馬上の武人を追って、鞍橋(くらじ)君の背景を探っている。
古墳時代の話は「馬上の武人」シリーズとして、
「脇巫女」の中で章立てすることにした。カテゴリは「脇巫女」に入る。




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by lunabura | 2016-01-29 20:36 | 「脇巫女」 | Trackback | Comments(0)
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