2017年 11月 13日
ウーナ7 ジザール 王冠を被った金の蛇
ウーナ7
ジザール 王冠を被った金の蛇
後ろにいた星読が「痛ー」と何度も声を挙げる。
左膝を抱えていた。
そこに痛くさせている者がいると観た菊如がそれを取り出した。
それは金色の蛇だった。崋山が自らに取り入れて語らせた。
「わが地を荒らす者、許すまじ。口から入り、体中を駆け巡る」
金の蛇は怒っていた。
菊如は
「この人は何をしたのですか?何かございましたか?」
と尋ねた。この人とはもちろん星読のことだ。
「われらの鏡を太陽の神殿から盗んだ。われらの地より出ることは許すまじ。われら四士(しし)はピラミッドの墓を守るもの。この地を荒らすこと許すまじ。あの者、この地に入り鏡を盗もうとした。我が神殿は四方を四士が守っている。わが体は蛇。右は 、左は鷲。その奥はイノシシ」
「お名前は?」
「ジザール。われらが王・アヅルの墓に、共に眠る姫。この者が鏡を盗もうとしたスキに姫が連れ去られた。ガドゥを探し、姫を連れ戻さねばならない。
やっと見つけた。
姫とガドゥを見つけるために、ここに来た。手ぶらでは帰られぬ。代わりにあの者の胸に掛かる飾りをよこせ」
「飾りの意味は何ですか」
「姫の代わりだ。そこで手を打つ。われを信じよ」
「本人でなく、飾りで手を打つのは、何か違う気がしますが」
「われを怒らすな」
「飾りは元々誰の物?そちらの物ですか?」
「王と共に埋められたもの。持ち主が誰とか、関係ない」
「人の物を取ったらいけないのでは?何故、飾りを」
「それで我慢しようというのだ」
「それが欲しいんでしょ。背中に封印が掛かっているんです。シュメールの暗号で。
砂漠の砂の蟻地獄にいきたいのですか」
ひと悶着あって、金の蛇は何も取らずに去った。
星読の膝の強烈な痛みは消えた。
終わってから崋山が話した。
「金だけど、よくない蛇だった。王冠を着けた蛇。ウーナの背中に飾りが入っている。ガドゥが封印した痕が、あの傷。姫はシュメール人だった。
エジプトの王が死んだので、姫が傍に殉葬された。そのピラミッドを金の蛇たち、四士が守っていた。
ウーナはもともとシュメールの姫だが、特殊な能力があったのでエジプトに盗まれて、王の傍にいた。王が死んだので一緒に埋葬されることになった。
葬式のために三日前から別の部屋で準備をする。ピラミッドの中には運び人たちが並んで副葬品を運んでいく。家来たちも一緒に埋葬される。三日目の夜に生きた人も入る。そして黄泉の国に王と共に旅立つ。
三日目の夜のことを知っていたのが星読。スパイだった。運び人として入った。
殉葬されるとき、毒薬を飲むが、星読が姫に「今日、助けが来るので、この薬を飲むように」と渡した。仮死状態になる薬だった。
ウーナは見知らぬ男を信じるしかなかった。この仕事は人の懐に入るのが上手い星読が選ばれた。この時、暗号を伝えた。まわりは敵ばかりだが、その男は姫に信じさせるものがあった。その暗号はシュメールの暗号。
月夜の晩。風は無い。
星読は鏡を盗んで騒ぎを起こし、四士がかけつけて結界がくずれる間、ガドゥ族が姫を盗み出した。
姫は殉葬されるとき、最高の飾りつけをされていた。冠も大きい。それが人に見つからぬように毛布を被った。他の三人の女の人も同じ毛布を被って、姫を守りながら逃げた。
ガドゥの一族は四人の女性を守って、戦いながら船に向かった。大勢の戦士が追いかけてきた。その姿は半分裸。上半身は裸で、両手に刃よけの腕輪をつけ、銀色の兜(かぶと)を着けていた。その兜の上部には赤色の鳥の羽のような飾りがついていた。腰布を巻いていた。赤色でカーテンのフリンジのような飾りがついている。
靴はサンダルで、脛まで蛇が巻き付くような紐結びをしていた。
崋山はそんな説明をしてくれた。
王冠をつけた金色の蛇。
これに私は見覚えがある。何かの本で見たのだろうか。あとでネットで探したが、見つからなかった。
g22が教えてくれた
3500年前のギリシャ戦士の墓から出てきた浮彫の印章。
殺されている方の戦士たちの腰布がこれとそっくりだった。
<2017年11月13日>
異世界小説
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舞台はエジプト… 私は古エッダの一場面が過りました。
エッダでは鏡それ自体が太陽でそれを盗もうとする狼が出てくる。鏡を盗む事は日蝕を起こす事。月蝕も同じ。蛇と狼の闘いもあり。
運命の三女神が現れ木片にルーンを刻み付けると運命が定められたのでした。こちらは楔文字ではなくルーン文字でしたが。
オガム文字に興味があって歴史を見ていた時に読んだものなので記憶が曖昧ですがふと、思い出しましたので。
ルナさんの文章は記憶を甦らせますね。場違いなコメントでしたら、すみません。
私の文で、それぞれに思い出すきっかけになれば、うれしいです。