2010年 07月 05日
古代鉄の謎 ホの一族とはスズ鉄の一族だった?
古代鉄の謎 Q&A
ホの一族とはスズ鉄の一族だった?
ある日の昼さがり、ルナは聖洲さんと話をしていました。
(聖洲さんの絵は名島神社に載せてます。)
「聖洲さん、この前ですね、馬見神社をブログに出したんですけど、
アマテラス大御神の系図を書いていたら、名前にホが付いてる世代が
三代も続いているので、「ホの一族」と名前をつけちゃったんです。」
その系図がこれです。

古代史に詳しい人は、この赤字で書かれた人たちが
天皇家の祖先だとすぐピンと来ると思います。
でも、そんな先入観をなくすためにわざと、カタカナで書いてみました。
すると面白い事にアマテラスの子供からひ孫まで、
直系にずらりとホの字が付いています。
このホに「穂・菩・番・火」の字が当てられています。
稲穂を指しているというのが定説です。
『ひもろぎ逍遥』の旅をしていて分かったのは、
アマテラスの子供と孫が三人も遠賀川流域の山々に降臨したという
伝承がある事です。
具体的には、
天のオシホミミの命 ⇒ 英彦山
天のホアカリの命 ⇒ 笠置山
天のホノニニギの命 ⇒ 馬見山
です。
定説では、先ほど書いたように「ホ」を稲穂と解釈し、
「豊葦原の水穂の国」を「稲穂が豊かに実る国」とします。
でも、ルナはなんだか納得できなかった。
「葦原になんで稲穂が出来るんだ?」そんな素朴な疑問です。
訳をするととても不自然なのです。
ところが思いがけず、この日、そのホの謎が解けました!
では、先ほどの会話のつづきに戻りましょう。
ルナと聖洲さんの話に大長老の光さんが入って来ました。
光さん「あのね、豊葦原の水穂の国の水穂って何だか分かる?」
そう聞かれて、何故か突然、ホの意味が分かりました。
るな 「え?水穂?…。あっ、そうか。分かった!葦の穂ですね。」
光さん「そう。水穂の穂は稲穂の穂じゃなかとよ。」
るな 「何だあ。そうですね。そうか。
葦原の水穂って、そのまま解釈すればいいんですね。」
光さん「そう。」
「豊葦原の水穂の国」とは、そのまま、「葦が豊かに水辺で茂っている国」と
解釈すればいい事で、無理に葦を稲にすり替える必要なんてないんですね。
なんてシンプルな事。
でも?あの葦が沢山生えてる事が何の役に立つの?
なんで日本の国を象徴するんだろう?
そこまでルナが辿り着くと光さんがさらに話してくれました。
光さん「昔は、スズ鉄と言ってね、葦の根を焼いて精製して、
鉄を作りよったと。」
るな 「え~?葦ってあの植物の葦ですか?水辺に生えている。」
光さん「そう。これで作った鉄は固い。しかし、戦うと折れてしまうったい。
草薙のつるぎがそうたい。
韓国人が熱田神宮から、持って帰ろうとしたのがそれたい。」
るな 「韓国人が草薙の剣を持って帰ろうとしたんですか?」
これは今から二か月前の話で、まだ八剣神社を調べていなかったので、
初耳でびっくりするばかりでした。
今では、それが天智天皇の時代の事件で、犯人は道行で、
取り戻された草薙の剣は、一時期、八剣神社に保管されたかもしれない
とまで、知っています。
(初めての方は、八剣神社、古物神社を見て下さいね。)
光さんはさらに話してくれました。
「それから、青銅の時代になったと。そのあと、砂鉄の時代になった。
韓国の伽耶(かや)から出雲族が持ってきたのがそれたい。
玉鋼(たまはがね)の事で、日本刀の材料。
しなやかでそりが戻るのが特徴。」
「ああ、日本刀ですね。材料は砂鉄なんですか。」
それから数日後、偶然テレビで日本刀を作っている所を見ました。
白装束を着て、伝統的に作っていました。
そしてラスト。
まっすぐな刀を水に入れたとたん、ぐぐぐっとそりが入りました。
真っ直ぐの刀がですよ。
水の中で反るなんて。びっくりしましたよ。
光さんの言うのがこれ?
るな 「でも、ま、ま、待って下さい。
歴史の教科書では、青銅器時代から鉄器時代と習ったんですが、
そうじゃないんですか。」
光さん「そう。」
るな 「ええ?じゃあ、鉄器時代から青銅器時代になって、
また鉄器時代になったというのですか?」
光さん「そう。」
教科書を信じ込んでいたルナはホント、たまげました。
でもこれなら、「ホの一族」の謎が解ける!
とも思ったのですが、正直、半信半疑でした。
どうやってこれが検証できるの?
光さん「そのあと、鉄鋼石の時代が来たと。
これは切れ味がいい。ゾーリンゲン砲弾によい。
しかし鉄鋼石より、砂鉄のほうが質がよかった。
戦艦大和と陸奥はアメリカのクズ鉄の再生品で作ったね。
自分の所の船は新品でね。」
るな 「はあ。そうなんですか。そんな素材の違いの問題もあったんですか。」
光さんは、戦争の秘話にも詳しいのです。
さて、光さんが金属に詳しいとなると、どうしても知りたい事がもう一つある。
あの平原遺跡に眠る日の巫女は胸に水銀を入れた壺を抱えていた…。
るな 「じゃあ、水銀は?」
光さん「水銀があれば、金と銀が採れるね。」
るな 「そんなにすごいんですか。そう言えば昔は白粉や口紅も水銀で
作っていて、それで水俣病になったという話も聞きますよね。」
光さん「そう。」
水銀の重要性にもう一つ、鏡を磨くのに必要だったそうです。
平原の日の巫女は鏡のコレクターだったので、それで鏡を磨いたんだろうか。
それとも、お化粧として持っていたのだろうか。
なんでも詳しい光さんに、もう一つ聞きたいのは、
あの『竹内文書』に出てくるヒヒイロカネ。
るな 「ヒヒイロカネは?」
光さん「ヒヒイロカネは自然鋼。硬すぎて折れてしまう。」
ヒヒイロカネの存在を知る人も少ないと言うのに、
その使い心地まで知ってるなんて…。
余りにも物知りなので、ルナも興奮して、さらに質問です。
るな 「じゃあ、餅鉄(べいてつ)は?」
光さん「餅鉄はヒヒイロカネとは違う。」
まいったなあ。なんでも知ってるなんて。
餅鉄は川で自然に見つかったりするものらしく、もちのように丸い自然鋼です。
これをヒヒイロカネだと言う人があるのを御存じなんですね。
「ふうん。鉄と言っても色んな鉄があるんですね。」
光さんはうなずきました。
そうか、おかげで色んな謎が解けた。
「葦原の水穂の国」とは「葦からスズ鉄が採れる国」という事なんだ。
遠賀川河口に砂鉄で作る芦屋釜という茶道具の名品があるのですが、
これを現代に再現した人の話が新聞に載っていて、
砂鉄だけでは、割れてしまうので大変苦労したと書いてありました。
昔の人の技術の素晴らしさを痛感したそうですが、
もしかしたら、同じ鉄でも材料が違うんだ。
もっと上流に残っている、スズ鉄で作ったのが本来の芦屋釜かもしれない。
そんな事も考えながら、帰りましたが、
はてさて、どうやってスズ鉄を検証したらいいんだ…。
それで、ネットで「スズ鉄・葦」を検索すると、
「もりもりキッズ」さんのブログに写真入りで記事が出ていました。
川に油が浮かんでいるのを見た事がありませんか?
「こんな所に油を捨ててひどいなあ」とルナも思った事があるんですが、
その油は鉄バクテリアの集まったもので、それが鉄を集めているそうです。
ですから、その葦の根を焼けば簡単に鉄が採れるんですね。
温度は野焼きで大丈夫だったらしい。
知らなかったァ。
でもね、これで日本神話の初めの神の名の意味が分かったよ。
「古事記」の冒頭の文です。
天と地が初めて別れた時、高天(たかま)の原に現れた神は
天の御中主((あめのみなかぬし)の神でした。
次に、タカミムスヒの神。
次に、カミムスヒの神です。
この三柱の神は、みな単独の神として、身を隠されました。
次に国土が出来たばかりで、水に浮かんだ油のように、
クラゲのように漂っている時に、
葦の芽が牙のように大地を突き破って芽生えるようにして、
出現した神の名はウマシアシカビヒコヂの神。
次に、アメノトコタチの神。
この二柱の神もまた、単独の神として、身を隠されました。
以上の五柱の神は特別な天(あま)つ神です。
この太字の部分をスズ鉄の出来るようすとして解釈すると、
「それまで海だった所に次第に土砂が堆積して、国土が出来始めた頃に、
川には鉄バクテリアが油のように浮かんで、クラゲのように漂っている時に、
葦の芽が牙のように大地を突き破って芽生えるようす」を神格化したのが、
「ウマシ葦カビヒコヂの神」という事になります。
「ウマシ」は「すばらしい」、「カビ」は「芽」、「ヒコヂ」は「中州」です。
組み合わせると「すばらしい葦の芽が生える中州の神」。
おお、なんとすっきりと訳が出来るんだい。
スズ鉄の氏族はこの葦の芽映えを心から待ち望みました。
この神は、中州が出来て、鉄が採れる葦が生えて来るようすを
神格化したものでした。
こうすると、アマテラスのあと二人の息子の「天津日子根」
「活津日子根」の根も葦の根を象徴しているのが分かります。
この砂鉄とスズ鉄の事については、真鍋大覚氏も詳しいのですが、
さすが工学部の助教授らしく、化学式で説明されているんです。
鉄の鉱石成分はFe3O4とFe2O3の二種があって、
日本には前者は無限に埋蔵されており、原料に事欠くことは絶対にないが、
これを還元するには山林をあまねく伐採しなければならない。
しかし、後者はわずか少量で事足るが、産地が稀である。
これを言い換えると、
砂鉄は火山の国、日本なので、無限に採れるのですが、
木を沢山燃やすために、周りの森がすぐになくなってしまいます。
スズ鉄は葦の根を燃やせばいいので、木も少なくていいけど、
河口の湿原地でないといけないので、
遠賀川や信濃川など、産地が限られてしまう訳です。
スズ鉄は農耕には十分だけど、戦いの為の刀にすると折れやすいので、
砂鉄の部族の方が有利だったのが分かります。
なるほど、これで、いろんな歴史的事件の謎も解けるんだ。
(パズルがカチカチとはまる音)
でも、今日はここらへんで。
今回は、思いがけず「ホの一族」の謎が解けたページになりました。
なお、「もりもりキッズ」さんから教えてもらった、古代鉄を知る本はこれです。
「古代の鉄と神々」真弓常忠 学生社 1997年刊
これにスズ鉄の事が詳しく書かれています。
それでは、「銀の冠」を見に行きましょか♪
鞍手町歴史民俗資料館へ。
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なんて知的なブログでしょう!Σ( ̄□ ̄;)
こんなためになる内容のブログはなかなか拝見できないので、興味深く見させて頂きました。
これからも時々遊びにこさせて下さい〜
ではではー

光さんのような人を生き字引と言うんでしょうね。
この前は新聞に、福岡城の瓦に十字架が刻印されているのが発表されましたが、その瓦がどこで作られたのかまで御存じでした。
瓦の材料の粘土がどこで採れるのかも、頭の中で地図が出来ているのです。
戦争中の軍部の中の話にも詳しいので、それを研究している方には、
生きた宝のような方です。
そんな方から、タイムリーに話が聞けるのも、これまた不思議です。(・.・;)

これを基に真実があきらかになる事を望んでいます。 (^-^)
これって、本当オドロキですね!以前にもこちらは読みましたがオドロキの連続でしたが、スズ鉄については、とりあえず素通りしてしまってました。このブログ再読して調べると、わたしが参考にしてるHPにも載ってるのに気付きました。人間って興味がない時には読んでも気付かないのですね。とても、すてきな古事記の解読ありがとうございます。
今では、冒頭のタカミムスビの神が、天照大御神とともに高天原を共同経営していたというのが分かったので、さらに読み方が変化して来ています。

私もそちらには何度も伺いました。
事実って気になりますよね。
ブログを書き始めてようやく少しずつ理解し始めています。天文は気になるけど、難物です。
これからもよろしくお願いします。(^-^)
また遊びに来て下さいね。
