2011年 05月 06日
摩利支神社・天の御中主の神だけを祀る宮・藤の花が見頃
摩利支神社
まりしじんじゃ
福岡県宗像市東郷
天の御中主の神だけを祀る宮
藤の花が見頃
5月が近くなると心の中には摩利支神社の藤があふれ出します。
その花房の長さに出会った時の衝撃は今でも忘れられません。
そして祭神を意識するようになった今、また驚きました。
誰だって、想像つかない。
神社の名前は「摩利支天」というインドの女神なのに、
祭神は「天の御中主」なんだから。
宗像市市役所近くに摩利支神社はあります。
道路に直角に鳥居が立っているので、入り口は分かりづらいかも。
一の鳥居をくぐると、すぐに神社前に出ます。駐車場は数台分あります。
車で正面近くに乗り付けます。そこから拝殿は目の前。
白い壁の神社の作りは珍しく、堂々とした雰囲気を醸し出しています。
拝殿の中は道場を思わせるほど広々として、正面には大変大きな鏡が見えました。
参拝を済ませて、由緒書き読んでみましょう。
摩利支神社御由緒
(御祭神)天之御中主大神(摩利支大明神)
(御神徳)勝運、商売繁昌、家内安全、学問成就
(御祭儀)春季大祭 5月8日 例大祭 10月第二土、日曜日
(御由緒)
当社の御由緒は、古く縁起によりますと、御創建は朱鳥5年(約1400年前)時の宗像大領、秋恵氏が郡の中央の地、東江郷(現在の東郷)に天地創造の神「天之御中主大神」を奉斎し、後に勝運、勇武の神(摩利支明神)現「摩利支神社」と称するようになったのが、始まりとされております。 (略)
元禄13年の大洪水により、社殿と共に一切の施設もことごとく流失し、その後(略)新たに榎圃(現在地「えのきはた」)に新築する。(略)
昭和53年に現在の社殿が完成。
この社殿は昭和の物だったんですね。だからとても新しくて建築様式も珍しいです。
この神社の創建は7世紀の頃です。
この時代の大領(郡の長官)秋恵氏が、
宗像郡の中央に「天之御中主大神」を祀ったのが始まりです。
この神に、武士の守り尊として慕われる「摩利支天」が重なって行き、
それが神社名となりました。
江戸時代の大洪水で流失したために、現在地に移転しています。
摩利支天とは、もともとインドの女神。梵語ではマリーシ。
陽炎(かげろう)や太陽の光の神格化で、曙の神です。
太陽の光は掴めないけど存在するという事から、陰で助けてくれるという
働きに注目して、武士たちが好むようになった背景があるそうです。
これは神殿の写真です。こんな光の神格化がマリーシなんですね。
神社名は変化しても、本来の御祭神の名前を残していました。
一柱だけを祀る神社って珍しいですよね。
この天の御中主大神はすごい神様なんです。
だって日本神話の筆頭に出てくるのですから。
天と地が初めて開けた時、高天の原(たかまのはら)に出現した神の名は
天の御中主(あめのみなかぬし)の神。
次に高御産巣日神(たかみむすひのかみ)。
次に神産巣日神(かみむすひのかみ)。
この三柱の神はみな独神(ひとりがみ)となって身を隠されました。(古事記より)
大地が出来たあとの高天原に最初に出現した神が「御中主」。
そのあと姿を消します。
一方、朝日が昇る直前に紫の光がすっと立つ。その一瞬の光が「摩利支天」。
古代の人はそんな神秘的な瞬間を重ね合わせたのかも知れません。
「天の御中主神社」で検索すると、他の神社では
北斗神や妙見菩薩と重ね合わせていました。
「妙見」とは北極星で北辰。現在は小熊座のポラリスです。
(時代によって北極星は変わる)
「北斗」は北斗七星で七つの星。天帝を守る剣。
不動の北極星(天帝)を中心にして、北斗はぐるぐると廻って天帝を守護します。
武士の守護神となった事情がよく分かります。
(時代が下がると、妙見と北斗は混同されて行きます。)
摩利支は曙光。北斗は七つ星。
いずれも、不透明な人生を導いてくれる光たちです。
漆黒の闇に輝く光に祈る古代の人々が目に浮かびます。
さあ、境内の藤の花は9分咲き。ゆっくりと堪能しましょう。
藤棚の中は甘い香りが満ちていました。
次回は同じ祭神の那珂川町の「天の御中主神社」に行きましょう。
摩利支神社
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少し多忙でブログ更新する時間がありません。
るなさんの記事もまだゆっくり読めてません。
時間があったら、葛井寺の藤をまた見せて下さい。(*^_^*)
摩利支天というと、仏教の天部なのに神社に祀られているのは、現代の感覚からは奇異にも思えてしまいますが、これも神仏混淆の名残なのでしょうね。
天の御中主大神と同一視されているのも本地垂迹なのでしょう。
おっしゃるとおり、神仏混淆のお宮ですね。
由来から、原点をあれこれ想像してみました。
お目に止まって光栄です。
これからも、よろしくお願いします。 (^-^)
また来てくださいね。 (^-^)