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ひもろぎ逍遥

摩利支神社・天の御中主の神だけを祀る宮・藤の花が見頃


摩利支神社
まりしじんじゃ
福岡県宗像市東郷
天の御中主の神だけを祀る宮
藤の花が見頃

5月が近くなると心の中には摩利支神社の藤があふれ出します。
その花房の長さに出会った時の衝撃は今でも忘れられません。

そして祭神を意識するようになった今、また驚きました。
誰だって、想像つかない。
神社の名前は「摩利支天」というインドの女神なのに、
祭神は「天の御中主」なんだから。

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宗像市市役所近くに摩利支神社はあります。
道路に直角に鳥居が立っているので、入り口は分かりづらいかも。
一の鳥居をくぐると、すぐに神社前に出ます。駐車場は数台分あります。

摩利支神社・天の御中主の神だけを祀る宮・藤の花が見頃_c0222861_15273682.jpg

車で正面近くに乗り付けます。そこから拝殿は目の前。
白い壁の神社の作りは珍しく、堂々とした雰囲気を醸し出しています。

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拝殿の中は道場を思わせるほど広々として、正面には大変大きな鏡が見えました。
参拝を済ませて、由緒書き読んでみましょう。
摩利支神社御由緒
(御祭神)天之御中主大神(摩利支大明神)
(御神徳)勝運、商売繁昌、家内安全、学問成就
(御祭儀)春季大祭 5月8日 例大祭 10月第二土、日曜日
(御由緒)
当社の御由緒は、古く縁起によりますと、御創建は朱鳥5年(約1400年前)時の宗像大領、秋恵氏が郡の中央の地、東江郷(現在の東郷)に天地創造の神「天之御中主大神」を奉斎し、後に勝運、勇武の神(摩利支明神)現「摩利支神社」と称するようになったのが、始まりとされております。 (略)
元禄13年の大洪水により、社殿と共に一切の施設もことごとく流失し、その後(略)新たに榎圃(現在地「えのきはた」)に新築する。(略)
昭和53年に現在の社殿が完成。

この社殿は昭和の物だったんですね。だからとても新しくて建築様式も珍しいです。

この神社の創建は7世紀の頃です。
この時代の大領(郡の長官)秋恵氏が、
宗像郡の中央に「天之御中主大神」を祀ったのが始まりです。
この神に、武士の守り尊として慕われる「摩利支天」が重なって行き、
それが神社名となりました。
江戸時代の大洪水で流失したために、現在地に移転しています。

摩利支天とは、もともとインドの女神。梵語ではマリーシ。
陽炎(かげろう)や太陽の光の神格化で、曙の神です。
太陽の光は掴めないけど存在するという事から、陰で助けてくれるという
働きに注目して、武士たちが好むようになった背景があるそうです。

摩利支神社・天の御中主の神だけを祀る宮・藤の花が見頃_c0222861_15303436.jpg

これは神殿の写真です。こんな光の神格化がマリーシなんですね。

神社名は変化しても、本来の御祭神の名前を残していました。
一柱だけを祀る神社って珍しいですよね。
この天の御中主大神はすごい神様なんです。
だって日本神話の筆頭に出てくるのですから。
天と地が初めて開けた時、高天の原(たかまのはら)に出現した神の名は
天の御中主(あめのみなかぬし)の神。
次に高御産巣日神(たかみむすひのかみ)。
次に神産巣日神(かみむすひのかみ)。
この三柱の神はみな独神(ひとりがみ)となって身を隠されました。(古事記より)

大地が出来たあとの高天原に最初に出現した神が「御中主」。
そのあと姿を消します。
一方、朝日が昇る直前に紫の光がすっと立つ。その一瞬の光が「摩利支天」。
古代の人はそんな神秘的な瞬間を重ね合わせたのかも知れません。

「天の御中主神社」で検索すると、他の神社では
北斗神妙見菩薩と重ね合わせていました。
「妙見」とは北極星で北辰。現在は小熊座のポラリスです。
(時代によって北極星は変わる)
「北斗」は北斗七星で七つの星。天帝を守る剣。
不動の北極星(天帝)を中心にして、北斗はぐるぐると廻って天帝を守護します。
武士の守護神となった事情がよく分かります。
(時代が下がると、妙見と北斗は混同されて行きます。)

摩利支は曙光。北斗は七つ星。
いずれも、不透明な人生を導いてくれる光たちです。
漆黒の闇に輝く光に祈る古代の人々が目に浮かびます。

さあ、境内の藤の花は9分咲き。ゆっくりと堪能しましょう。
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藤棚の中は甘い香りが満ちていました。

次回は同じ祭神の那珂川町の「天の御中主神社」に行きましょう。

摩利支神社




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Commented by jumgon at 2011-05-06 22:19
素晴らしい藤ですね!葛井寺の藤はまだ7分咲きでした。今日傍を通ると穂がこの間より長く優雅になってました。
少し多忙でブログ更新する時間がありません。
るなさんの記事もまだゆっくり読めてません。
Commented by lunabura at 2011-05-06 23:14
こちらの方が早かったのですね。
時間があったら、葛井寺の藤をまた見せて下さい。(*^_^*)
Commented by 桃源児 at 2011-10-02 00:37 x
この神社、先日、訪れました。
摩利支天というと、仏教の天部なのに神社に祀られているのは、現代の感覚からは奇異にも思えてしまいますが、これも神仏混淆の名残なのでしょうね。
天の御中主大神と同一視されているのも本地垂迹なのでしょう。
Commented by lunabura at 2011-10-02 08:36
桃源児さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、神仏混淆のお宮ですね。
由来から、原点をあれこれ想像してみました。
お目に止まって光栄です。
これからも、よろしくお願いします。 (^-^)
Commented by 履歴書の封筒 at 2011-12-11 11:52 x
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
Commented by lunabura at 2011-12-11 14:47
はじめまして。コメントありがとうございます。
また来てくださいね。 (^-^)
by lunabura | 2011-05-06 15:36 | (マ行)神社 | Comments(6)

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