瀬戸第14号装飾横穴・馬上に立つ武人像 消滅した装飾壁画
瀬戸第14号装飾横穴
福岡県 中間市歴史民俗資料館
馬上に立つ武人像 消滅した装飾壁画に出会った
今回は垣生(はぶ)羅漢百穴のリベンジ編のつもりが、凄い装飾横穴古墳に出会ったお話です。
埴生(はぶ)神社を含む広大な公園に垣生羅漢百穴があり、
線刻画がたくさん残されていて、いくつも写真を撮ったので、
専門的な評価を知りたくて歴史資料館を探しました。
その日は見つからず、HPを見たり、地図を見たりしても分からないので
ついに電話をかけました。
すると、埴生神社のすぐ前の「さくらの里」の敷地内にあるではないですか。
電話番号を変えずに移転したのでナビに入力しても、違う所に案内される事が判明しました。
(資料館に行く人は、「さくらの里」を目指して下さい。)
しかし、やっと行けた資料館には線刻画の写真が一枚もなく、
パンフレットもなく、論文もありません。
まだ本格的な調査がされていないとパネルに書いてありました。(哀)
あえなく退却かと帰りかけて、何?これ!!!
装飾古墳の復元模型があるではないですか。そこには見た事もない壁画が…。
撮影OKだったので、ブログ上で再現します。

資料館のコーナーを利用して斜めから観察できるようになっています。
説明板を引用します。
「瀬戸大14号装飾横穴は、昭和31年9月に発見されましたが、
翌昭和32年2月の採土工事によって崩壊しました。」

「墓室は天井より屋根を示す垂木(たるぎ)・棟木(むなぎ)を彫り込み、
最奥に死床台を配置したもので、正面奥壁に矢を放たんとする馬上武人の姿、
その左に鳥獣、その下に日輪、右側上に船と月輪が見られ、」

「東壁には鹿らしきものに矢を構える狩猟図、空間を朱線の格子状文様でうずめています。
壁画は周囲を外から削り込み、
絵の部分を赤色でうずめ浮彫りとみられる技法がとられていました。
奥壁の騎馬武人図は、墓の被葬者の生前の勇姿をあらわしているのでしょうか。
しかし、その左右に日輪と月輪を配してあり、
現世の生活と黄泉の世界への船旅を意味するものとも考えられます。」
天井の線彫りを見ると、家の屋根を再現したものだというのですから、凝ってます。
壁の格子状文様は大胆に描かれていて、その形状が単なる斜めの線ではないことから、
現実の壁の構造などを描写しようとしたのだろうと思いました。
このように格子を壁に描いた例として、
古月横穴古墳(鞍手郡)や花立山穴観音古墳(小郡市)を思い出します。
総合すると、斜め格子は装飾というより、
当時の建築様式を再現したものとして考えられるなと思いました。

正面奥壁の武人は馬上に立って射るという、凄い技量をアピールしています。
主たる被葬者の特技だったのでしょう。
ゴンドラはこの遠賀川で使われた船でしょうね。
見逃せないのは「太陽と月」です。当然普遍的なモチーフですが、
日本でこのように対照的に描かれているのは意外と珍しい?
(私はまだ沢山見ていないので、当てになりませんが…。)

床にある穴は枕?そうすると、左右にずらりとファミリーが埋葬されている?
そう思って測量図を見ると、かなりぎゅうぎゅう詰めの状態。
1m強に3人も並べられるのだろうかと、自分の肩を壁にぎゅうっと押し当てて図ると40㎝強。
まあ、ギリギリOK。埋葬された人たちは小柄な人たちのようです。
私の田舎の親戚のおばあちゃんたちを思い出すととてもちっちゃいし、
エジプトのミイラなんかも130~40㎝ほどだったのを思うと、
この配置はそう無理はないのかも。
各室を見て、左奥に一人だけ埋葬されているのはは馬上の武人なんだろうけど、
他の3人×3はどんな血縁関係なのか気になる所です。
場所は写真で教えて戴いたのですが、よく分かりませんでした。(汗)
「瀬戸」という地名は垣生公園の南側にあります。
中間市歴史民俗資料館所在地〒809-0001 中間市大字垣生660番地1
開館時間午前9時30分~午後6時
休館日毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日休み)、年末年始(12月29日~1月3日)
入館料無料
交 通JR福北ゆたか線 筑前垣生駅から徒歩約5分
西鉄バス 垣生駅バス停から徒歩約3分
お問い合わせは…地域交流センター(資料館)TEL093-245-4665
このページはシリーズで散歩してね。
埴生神社 埴生神社/桜の名所は古代の島?ここもまた神功皇后が…
http://lunabura.exblog.jp/i101/
垣生羅漢百穴(1)線刻画は開口前からあるのだろうか。
http://lunabura.exblog.jp/16261371/
垣生羅漢百穴(2)ツインの墓にも線刻画?
http://lunabura.exblog.jp/16266719/
地図 中間市歴史民俗資料館
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