2012年 03月 01日
染井神社・豊玉姫と山幸彦の夫婦神が祀られていた・鎧懸の松
染井神社
そめい
福岡県糸島市大門
豊玉姫と山幸彦の夫婦神が祀られていた
神功皇后の鎧懸けの松
染井神社は高祖山と同じ山脈の北の方にあります。
山脈の裾を走る県道58号線の染井の信号から山に登って行きます。
舗装はしていますが道が狭く、山道の感じになって心細くなりかけた時、
左に池と石橋を見つけました。上の方に鳥居が見えます。
石段を上って行くと、参道は苔むして深い緑。
しかし、イノシシが掘り返したあとが…。
『もののけ姫』の映画でイノシシが突進する場面がありましたが、
実際に猛スピードで映像そっくりに走るのを見た事があり、
ニュースでも人が襲われた話を見かけるので気を付けるようになりました。
(と言っても遭遇したらどうしようもないのですが…。)
それでも植物相の豊かな参道に感激しながら上りつめると、明るい境内に出ました。
拝殿は左の方にありました。
拝殿正面です。
裏に廻って神殿を見ると二つありました。
ここには神功皇后の染井の井戸の伝承があるのでやって来ました。
戦勝を占って白い鎧を付けしたら赤く染まったという伝説です。
井戸を探していると境内の左端に木造で屋根覆いしたものがあるので
近づいて見ると、「鎧掛松」(よろいかけのまつ)と石碑がありました。
その巨大さにびっくり。
貝原益軒によると彼の時代(1650年頃)には枯れていたそうです。
それがこうして屋根を付けるだけで後世でも見る事が出来るので
参考になる保存法だなと思いました。
さて、御祭神を福岡県神社誌で調べると
祭神 熊野三柱大神、豊玉姫命、彦火火出見尊、息長足姫命、玉依姫となっています。
由緒 神功皇后三韓出征の時、奇瑞あり。井水に白糸鎧(よろい)をひたされるとたちまちに緋縅(ひおどし・赤色の縅)になったので、その井戸を染井という。
ついに彦火火出見尊と豊玉姫の夫婦神を祀る神社に出会えました。
息長足姫とはもちろん神功皇后で、玉依姫は豊玉姫命の妹です。
ストックから系図をまたまた引っ張り出して来ました。
何度見ても新鮮ですね。見るたびに発見があります。(負け惜しみ)
この糸島には大山津見神と大綿津見神の系譜の伝承が沢山あります。
この染井神社に祀られたホホデミ(山幸彦)と豊玉姫が結ばれて
ウガヤフキアエズが生まれ、そのフキアエズと玉依姫とが結ばれています。
豊玉姫は出産時に亀の姿に戻ったのを見られたために龍宮へ戻るのですが、
妹の玉依姫の出産時には、なんら問題がなかったようです。
そんな矛盾も神話だったらそれでいいのですが、
豊玉姫が各地で格別に祀られているのを見ると、
何か哀しい事件があったのだろうなと想像したりしています。
だから、ここに夫婦で祀られているのを見てほっとしました。
さて、祭神の中の熊野三柱大神が残りました。
筑前国続風土記によると
この染井山は高麗寺村にあって染井山霊鷲寺があり、熊野権現が祀られていたそうです。
また昔は豊玉姫を祀り、上宮中宮下宮と三宮あったとか。
この染井神社は中宮にあたるそうです。
今残っているのはこの中宮だけのようです。
栄枯盛衰の中でこのよう神社とお寺の神々が一緒に祀られているのでしょう。
二つの神殿はそれの現われかと思いましたが、未確認です。
山の頂上から麓にかけては怡土城(いとじょう)も造られました。
奈良時代に吉備真備によって756年から13年かけて築城されたということです。
古代、ここは祭祀的にかつ政治的軍事的にも重要な場所だったのが伺えます。
怡土城跡を紹介しているサイトです。
http://www.ss.iij4u.or.jp/~hsumi/docs/iseki/itojyou.htm
さて、肝心の染井の井戸は境内にはありませんでした。
いったん山を下りて県道に戻って探す事にしました。
地図 染井神社
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