2012年 10月 31日
永尾剱神社(1)不知火が現代でも見える宮
永尾剱神社(1)
えいのおつるぎ
熊本県宇城市不知火町永尾
不知火が現代でも見える宮
今回から、熊本県の天草北部の旅です。
久留米地名研究会主催の、
観光旅行では味わえないマニアックな古代の旅に参加しました。
最初は永尾剱神社です。「エイノオツルギ」と読みます。
「魚のエイの尾」を思い浮かべますが、
まさしく地形がエイの尻尾のように細長くなっています。

これが神社の杜で、右の方から撮りました。
左端に一の鳥居があります。

国道266号線沿いです。
しかし、社殿は海の方を向いているので、ここから登ると神殿の裏側に出ます。
そこで右脇の路地から杜の麓に沿って歩いて、裏というか、正面に廻って行きました。

突端付近です。神社はこの崖の左奥に建っています。
地層を見ると波が岬を侵食しているのがよく分かります。
よほど激しい波が立ったのでしょう。上の方も侵食しています。
でも、ここは入り海です。八代海です。
津波でも入って来たのでしょうか。
津波は奥に入るにつれて巨大化するという話を思い出しました。
もう海のそばです。
海の中の鳥居が目に飛び込んできました。

社殿が海の方を向いているので、こちらの方が一の鳥居かも知れません。
海から参拝するようになっています。
海の向こうに見えるのは九州島です。熊本県が見えています。
後ろを振り向くと

海からまっすぐ上る急な石段がありました。

石段を登りつめると、二つ目の鳥居がありました。

境内に出ました。

拝殿です。
御祭神は海童神(わだつみのかみ)(神武天皇の御母様)
菅原道真公外三柱
です。
なんと道真公の名前がここにも。
前回まで飯塚市や嘉麻市の神社を書いたのですが、
そちらでも道真公がよく祀られていました。
「道真公信仰」は古代筑紫を見て行くのに、これまたキーポイントなんですね。
さて、何よりも主祭神の名前に驚きました。
「海童神(神武天皇の御母様)」です。
「海童神」(わだつみのかみ)といえば志賀三神・綿津見神でした。
なのに、「神武天皇の母」となっています。
母といえば玉依姫ですよね。むむ。
どうしてこうなっているのだろう。
玉依姫の父神は豊玉彦。豊玉彦といえば海神です。
その童だから海童神というのでしょうか。
これは興味深い名称に出会いました。
さてぐるりと境内を見回すと説明板がありました。

神秘の火 不知火(しらぬい)不知火がここから見える!!しかも現代でも!
不知火は、今から千数百年前、景行天皇九州に御巡幸のとき、暗夜の八代海上に天皇を導き、無事火の国の海岸へお誘いした怪火がそのはじまりで、以来この主知らずの火を不知火と呼ぶようになった。(日本書紀)
不知火は毎年八朔(旧暦8月1日)の未明、干潮時に現れる。
今年の八朔は9月15・16日です。
予備知識なしに来たので、驚きました。
ここはビューポイントなんだ。

あいにくの曇天ですが、ここから不知火が見えるのでしょう。
しかも日本書紀の景行天皇紀に描かれた不知火です。
拝殿には不知火の写真がたくさん奉納されていました。

景行天皇と不知火について、
取り敢えず、日本書紀から該当部分を読んでみましょう。
5月1日に葦北から船を出して火の国に着いたのですが、日が暮れてしまい、暗くて岸部が分かりませんでした。遥かに火の光が見えました。
天皇は舵取りに、
「まっすぐ火を目指せ」と言いました。
そこでその火を目指して行って、岸に着く事が出来ました。天皇はその火の場所を尋ね、
「何というムラか。」と言いました。国の人が
「ここは八代の県の豊村です。」と言いました。
またその火について、
「これは誰が焚いた火か。」
と聞きましたが、誰なのか分かりませんでした。
結局、人が焚いた火ではないことが分かりました。こうして、その国を火の国と言うようになりました。
6月3日に高来の県から玉杵名のムラに渡りました。その時、土蜘蛛・津頬(つつら)を殺しました。
16日に阿蘇の国に着きました。その国は野が広く遠大で、人家がありませんでした。天皇は
「この国に人はいるのか。」
と言いました。その時、二柱の神が出て来ました。
阿蘇都彦・阿蘇都姫と言いました。たちまちに人間の姿を取って現れて、
「吾ら二人がいる。どうして人がいないことがあろうか。」
と言いました。この事から、その国を阿蘇と名付けました。
「人が焚いたのではない火」
これが不知火(しらぬい)ですが、文面では5月1日になっています。
現代では8月1日です。
不知火の現象を伝承に取り込んだのでしょうか。
あるいは暦の計算の違いなのか、時代の差か、昔は毎月1日には出現したのか、
いろいろ想像すると、また謎だらけになりました。
(つづく)
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by lunabura
| 2012-10-31 13:27
| 神社(エ)
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