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志式神社(6)荒ぶる神 豊玉姫


志式神社(6)

荒ぶる神 豊玉姫


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この絵は青木繁の「わだつみのいろこの宮」です。
山幸彦と豊玉姫の出会いのシーンです。

山幸彦の顔をしげしげと見ると、
若くて迷いの多い年頃の青年として描かれているのが分かります。
桂の木の上にいますが、背景は海藻のようです。

豊玉姫は左の赤い薄衣の女性です。
横顔からは少し年上のように見えます。
いずれも下からの光を受けて独特の神秘性を醸し出しています。

右にいる白い衣の女性は侍女でしょう。
水を汲みに来てそこに若者の顔が写っていて、驚いて見上げているシーンです。

神話のストーリーでは、その後豊玉姫がやってくるのですが、
それを破綻ない構成で見事に描いています。

三人の髪の毛の色が茶髪ですね。
青木繁の生きた時代は黒髪の人しかいなかったので、
現代の男女を見るようで、不思議な感じがします。

日本であり、かつどこか異国の情景を見ているかのような
芳しく豊かな神話の世界です。

豊玉姫の右手から下の方に水の泡が描かれていて、
これが海の底の物語だと暗示しています。

私はこの青木繁の絵が好きで、小学生のころ、
一人で何度も美術館に行っては見たものです。
小学生…十歳の頃なんですね、この絵に出会ったのは。
今見たら、意外に小さく見えるかもしれないな…。



それから時が経って、今。
三年前、豊玉姫を現代語訳してブログにUPしたのですが、
訳をしながら上手く行かなくてハタと困ったことがあります。
私はこの絵の影響を受けて、海神豊玉彦の宮は海の底にあると
完全に思い込んでいたのです。

そろそろ自分の訳を見直さないとイケない時期なのですが、
ちょっと見直す気になれない。

豊玉姫の出産シーンは亀の出産シーンそのものです。
ワニの訳で悩みました。
通説のサメではなく亀で訳した記憶があります。
こんな訳をするのは私ぐらいですから、勇気がいりました。
ワニはバニに通じ、フトマニのマニに通じる。
亀の甲羅を焼いて占いをした時代のワニとは亀のこと。

亀は神。
豊玉姫は本来の亀の姿に戻って出産したことになっています。
しかし妹の玉依姫は人間として問題なく出産している。

どうして豊玉姫は山幸彦と添い遂げられなかったのか。
子を自分で育てる事ができなかったのか。
妹だけが何故留まったのか。

そこに倭国の始まりの秘められた政情があるのではないか。
日本の歴史はこの時代にも捻じれを起こしている。
その謎を解く事は出来るだろうか。

妹の玉依姫は志賀海神社に祀られているのに、
豊玉姫の名前がない。

そして豊玉姫はこの志式神社に祀られています。
荒ぶる神として。
いったい何が起こったのか。

それを神功皇后が七日七晩、神楽で慰撫したというのですから、
神話に残されない哀しい出来事が秘められているのでしょうね。


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ここがその舞台。奈多の浜です。
日本の海が何処も美しかった時代にあっても、
この浜の美しさは名をとどろかせていました。
左に見えるのが志賀島です。
(つづく)




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by lunabura | 2013-03-15 21:18 | 志式神社・ししき・福岡市 | Trackback | Comments(0)
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