2014年 01月 06日
吉武高木遺跡(3)聖方位は北東か?夏至ラインか?
吉武高木遺跡(3)
聖方位は北東か?夏至ラインか?
ようやくすべてを出版社に委ねました。
中断していた記事、吉武高木遺跡(2)に戻ってみたら、
つづきにいったい何を書こうとしたのか、忘れてしまいました。
そこで、過去記事をジ~っと読み直し。
そうそう、埋葬の向きと夏至ラインが書きたかったのです。
聖方位―北東か?
Iさんから、メールが来ました。
「吉武高木遺跡(1)を拝見しました。
BC2世紀頃の甕棺墓群と大型建物跡があり、
三種の神器が副葬された最も古い時代の墓だそうですが、非常に興味をもっています。
甕棺の向きが全部北東方向ですので、地図で見ますと香椎宮の方向かなと思います。
香椎宮で正しいのであれば、奴国王の宮が香椎宮あたりかなと推測しますが、どうでしょうね。」
え?北東?
このメールのお蔭で、私は勘違いしていた事に気づきました。
説明板が北面していたので、南北を全く逆にイメージしていたのです。(・.・;)
るなには、何処にいても、自分の向いている方向が北だと考える癖があります。
これを方向音痴というのかも (´・ω・`)
で、改めて説明板を見直しました。

ホント、軸線は北東―南西だ。あるいは、少し東に傾いている。
しかし、被葬者の頭はもしかしたら、南西かも知れないと思って
甕棺の蓋の描き方を見ると、やはり北東になっているようです。
調査報告書をきちんと見れば簡単に確認できるのでしょうが、
不精して、今回は北東で考えて行きたいと思います。
(南西だったら、すべて水の泡ですぞ。るな、それでいいのか)
これは吉武高木遺跡と香椎宮。
確かに香椎宮が延長線上に考えられます。

これは遺跡から東の方向を撮ったものです。
地図と山を照らし合わせると、右の山裾は油山から流れたもの。
中央より左の二上山が立花山っぽい。さらに左奥にあるのが犬鳴連峰でしょうか。
(う~ん。地図と写真と上手く照合できません。分かる方、教えてください)
香椎宮は立花山の左の麓辺りにあります。
香椎宮が都となったのは仲哀天皇の時。
紀元200年頃です。
この遺跡は紀元前1~2世紀ですから、300年以上の隔たりがあります。
香椎宮は『日本書紀』では「儺県(なのあがた)」と書かれています。
「儺=奴=那」ですから、そこは奴国だったのでしょうが、
紀元前はどんなクニがあったのでしょうか。
古くは「倭奴国」と言ったかもしれませんね。
今の段階では何とも言えません。
名島に奴国の離宮があった話などを含めて、これからもっと調べる必要があります。
聖方位―夏至の日の出か?
Iさんが続きで「夏至の日の出方向」の可能性も指摘してありました。
遺跡の人たちは先程の地形から朝日が昇るのを毎日見ていたんですね!
角度的には夏至の日の出ラインの方が近いように思えますが、測った訳ではありません。
そういえば、当地はかつて「平群」という地名で、
昔、祖先に「かひ」と「とひ」の二つの氏族があった。「かひ」とは夏至を元日とする氏族であり、「とひ」は冬至を元日とする氏族であった。かすかな口伝ではあるが、平群氏は望旦夏至に固執し、曾我氏は朔旦冬至に改革したと説かれる。(『儺の国の星・拾遺』p245)
とあったので、夏至ラインかどうか確認する必要がありますね。
吉野ヶ里遺跡が夏至ラインを持っていることについては、
プラネタリウムに出掛けて、学芸員の方に調べて貰って確認して結論付けました。
るな的には専門家に尋ねないと、判断できないのです。
なお、この吉武高木遺跡の近くには吉武樋渡遺跡があります。
それは紀元前1世紀ごろなので、次の時代の人たちです。
その墓群は南北に近い軸線を持っているので、聖方位が異なる人たちです。
近い所で、約100年後には聖方位が違う人たちがいたという点で、
この吉武高木遺跡の聖方位は注目すべきところです。
もし、この遺跡の人たちが東征して行ったとしたら、
その聖方位を持っていった可能性があるからです。
ちなみに、「聖方位」って今回思い付いた言葉です。
それぞれの氏族に信仰する神がいて、聖方位がある。
氏族たちは移動しながらも、自分たちの神々と地名と聖方位を保ち続ける。
彼らは朝な夕なの太陽を望み、夜にはさんざめく星の輝きを見て遥かなる故郷をしのぶ。
神と聖方位は氏族のアイデンティティでもあった。
そんな古代の人々の思いが偲ばれます。
私たち個人にもそれぞれ聖方位があるのではないでしょうか。
いつも心惹かれる方位。
毎日、南のオリオン座を見ながら「北」と思い込む るなは、「北」が聖方位なのかも。
(方向音痴も重症ですな)
このはなさくや姫の里 15
シリーズで読む方は下の「♯」からどうぞ。
さて、木花開耶姫については、ニニギノ命の出会いの地など、
まだまだ探す所は沢山あります。
ひとまず、ここまで。
このシリーズ、またいつか続きが書けますように。
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通りすがりの者ですが、九州の神社等を調べる際に、拝見させていただいています。とても勉強になってます!感謝感謝です!!
私はとても変わったものを趣味で調べています。
天体の動きと關係のない、角度だけのレイラインを探しています。
吉武高木遺跡も、少し調べました。
日の出・日の入りとは別のものになってしまうのですが…
「地図でつなぐ聖地の旅 筑前国一宮「筥崎宮」(1)九州王朝」で検索できると思います。「その6」に書いたところです。
よかったら、一度見てやってくださいね。
地図はですねぇ、長い直線を引かなければならないので、フリーソフトのカシミール3Dから山旅地図を読み込んで使っています。角度もすぐわかるし、日の出や日の入りも見れます。そこから切り出した地図を、これまたフリーソフトのGINP 2で加工しています。
調べているラインは、山を信仰するためのようです。例えば、「大神神社(愛知県一宮市)」というところに書きましたが、ここに移民した人々が三輪山にお祈りする為だったようです。
カテゴリの「猿投山」を開くと、この山が、実は「天若日子」という神様を祀っていたのではないかという説が書いてあるのですが、いずれにせよ、夢物語みたいなものです。
遠い存在だと思っていました。
角度が分かるのはいいですね。
私、地図を印刷して分度器で…(古典の世界)
伝承って、意外と大事な事伝えてると思ってるんですよ。
天若日子とか、すごく気になります^^
ダウンロードするだけでも、国土地理院の地図は見れるんじゃないのかなぁ?でも、これは高さの要素が入ってないから、肝心の立体画像ができないです!
おすすめは入門編の本を購入することで(2500円くらい)、名古屋から福島までの地図が付いています。でも、九州地方の地図が入っているのはGPS応用編で、これも2500円くらいですねー
私は山旅地図を使っていますが、年間3000円くらいの契約です。5日間の試用期間があるようです。
夏至の頃は梅雨の期間なので、日の出や日の入りを見るのは、カシミールの立体画像が一番です!!
角度も100分の1°までわかりますよ。

「地図・空中写真閲覧サービス」と「地理院地図」は似てますけど別物のようです。
カシミールでプラグインできるのは「地理院地図」ですが、航空写真を見るには「地図・空中写真閲覧サービス」が便利です。
ただ、筥崎宮あたりの1949年の米軍の航空写真を見てて気づいたのですが、南北が全然合ってないです。要注意ですね。
でも、名古屋市の日泰寺というお寺の池の姿の変遷を調べていたのですが、とても役立ちました。
それというのも、今年の初め頃から「真清田神社」の御神体といわれる石の行方を、何人かの方と、「岩石祭祀学提唱地」というサイトの掲示板上で追いかけていたのです。管理人の方が「真清田神社の神体石と覚王山日泰寺の真清田弘法」(愛知県)にまとめてみえます。
もしも、お暇なときがありましたら、ごらんくださいね!