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ひもろぎ逍遥

アマテラスvsスサノオ(2)神話の暗号 天の斑馬


アマテラスvsスサノオ(2)

神話の暗号 天の斑馬


アマテラス大御神が、忌み清めた機織りの御殿に行って、神の御衣を織らせている時に、スサノオの命はその御殿の棟に穴を開けて、天の斑馬(ふちこま)を尾の方から逆に皮を剥いだものを落とし入れたので、天の機織女(はたおりめ)が驚いて、オサ(機織りの道具)で陰部を突いて死んでしまいました。

これは前回の『古事記』の続きです。
スサノオの行いは理解に苦しみます。なぜ、こんな残酷な嫌がらせをしたのか。

しかし、真鍋によると、この赤字の部分にもまた、鉄の民の大事なものが
描かれているというのです。
(「玄海灘の海上気象)p129 一部読みやすいように改変)

(略)『古事記』上巻の素盞嗚尊が天照大神の機屋(はたや)に逆剥(さかは)ぎにして投げ込んだ天の斑馬(ふちこま)について、
アマテラス大御神が、忌み清めた機織りの御殿に行って、神の御衣を織らせている時に、スサノオの命はその御殿の棟に穴を開けて、天の斑馬(ふちこま)を尾の方から逆に皮を剥いだものを落とし入れたので、天の機織女(はたおりめ)が驚いて、オサ(機織りの道具)で陰部を突いて死んでしまいました。(るな訳)
に出てくる「天の斑馬」とは「鹿」のことで、しかも白い斑点が鮮やかな夏秋は鞴(ふいご)の採取に絶好の繁殖力の盛んな時期であり、同時に熔鉄作業開始の時期でもあった。

斑馬は「ふく」である。ここを「鞴(ふいご)を吹く」ということであろうか。また背に負う負籠(ふご)もこれであろうか。

鹿は「しし」とも言う。鹿が乱獲され、これに代わる猪を充てたか。治承元(1777)年、平家追討の陰謀は洛中東山鹿ケ谷(ししがたに)で行われた。

 このときの平清盛、平重盛に由緒ある志摩郡金屋に十六町の小字名があり、これは鹿待(しかまち)を四四十六(ししじゅうろく)と戯化したものであろうか。鹿が可也山系から餌を求めて下りて来るところを、適当な頭数を揃えて捕獲していたところと思う。
引用文の中で、私が理解できる部分は言葉を補って改変していますが、
分からない部分に関してはそのままにしています。
(研究する方は原典をみてください)

アマテラスの神聖な仕事の一つに機織りがありますが、
その建物の屋根に穴を空けてスサノオはひどいものを投げ込みました。

それは「天斑馬」(あめのふちこま)の皮でした。
しかも尾の方からはぎ取ったものなのです。

この「天斑馬」とは「鹿」のことだと真鍋は言います。

当時の日本には馬は存在しているのですが、
魏志倭人伝に「そのほか、牛・馬・虎・豹・羊・鵲(かささぎ)は無い」と
書かれていることから、馬はいなかったというのが定説です。

しかし、対馬では馬がまるまる一頭出土していますし、
旧石器時代の馬の化石が発見されたので、きっと定説は変わるだろうと思っています。

で、話を戻すと、『古事記』に書かれた「馬」は「斑馬」と書かれて、
「斑点」が描写されているので、「馬」のことではなく「鹿」の事だと真鍋は言います。


アマテラスvsスサノオ(2)神話の暗号 天の斑馬_c0222861_2317503.jpg

写真は鹿の斑点のようすです。(画像出典 フリースタイル)
この斑点が出ると、冬の製鉄作業に備えて鹿を捕獲していたわけです。

古代では鹿の皮を使って「フイゴ」を作っていました。

鞴(ふいご)の字には「革」篇がありますね。

ふい‐ご【×鞴/×韛/▽吹子/▽吹▽革】. 《「ふきがわ」の変化した「ふいごう」の音変化》火力を強めるために用いる送風装置。箱の中のピストンを動かして風を送る。古代から金属の精錬や加工に使用された。ふいごまつり【鞴祭(り)】
多く11月8日に、鍛冶屋(かじや)・鋳物師(いもじ)など、ふいごを使って仕事をする職人が、稲荷神または金屋子(かなやご)神を祭り、ふいごを清めて祝う行事。踏鞴(たたら)祭り。《季 冬》
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/189930/m0u/
(g00辞書より)
空気の漏れない袋を古代にどうやって作ったのかというと、
p131
四足を切り取って、空剥(うつはぎ)にした鹿の皮の袋がフイゴに利用された。

とあります。稲の民からみると、残酷極まりないのですが、これが現実です。
肉も大事に食されたことでしょう。
アジアでは牛?の浮袋を抱えて川を泳いで渡る人をテレビで見ました。

「鹿」(しか)は「しし」と読み、その例として、真鍋は「鹿ケ谷」を挙げています。
古賀市の地名「鹿部」は「ししぶ」と読みますね。

福岡市西区の「拾六町」という地名は九九の掛け算、シシジュウロクから来たもので、
「鹿」をシシと呼んだことから「拾六」となったのではないかと推測しています。

万葉集には九九を使った歌はいくつもあるので、
掛け算は早くから知られていたことが分かります。
「四四の乙女」とかは「十六の乙女」と訳します。

糸島では、可也山の鹿が山を下りてくるのを待って、
必要な数を捕獲するための鹿待(しかまち)を「ししまち」と呼んで
「拾六まち」と呼んだと推測しています。
都市高速のインターの名前にも出てきますね。

話は冒頭の神話に戻りますが、
スサノオの投げ込んだ「天斑馬の逆剥ぎ」とは鉄の民の大事な「フイゴ」だったことになります。

それにしても、機織り女の死に方は異様です。
これについて真鍋はこう言っています。

煤煙で黒くなった爐壁(ろへき)と中の赤い火種を陰(ほと)すなわち女体に比喩したのは、このように脚色することによって神話が永遠に語り継がれる事を意識した、更年四十を越した巫女の臆するところなき洞察と見なければならぬ。

大胆な脚色をすれば未来に語り継がれると考えた巫女、
きっと四十を越えた知恵のある巫女の洞察だろうと真鍋は言います。
なるほどですね。




拾六町





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by lunabura | 2014-08-15 23:19 | ◆古代鉄・スズ鉄 | Comments(0)

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