ひもろぎ逍遥

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あれは健さんだったのだろうか


その日、全校生徒集会に向かう群れから、私は一人抜け出して、
普段使わない通用門から校舎を出た。
気づく人はいなかった。

私は、そのまま校門を出て、線路を渡って近くの寺に入り込んだ。
その奥に行けば川が臨める。

すると、見慣れた境内に、見知らぬ男性が立っていた。
その人は存在するだけで格別の雰囲気を持っていた。

研ぎ澄まされたというか、
隙が無いというか。

一瞬、ヤクザかも知れないと思った。
それなら関わりたくないと思って、その人の後ろを通って奥に行った。

私とその人は10mくらい離れていただろうか。
二人それぞれに川面を眺めた。

こんな時間に女高生が学校をサボって寺なんかに来ているのだから、
その人はきっと変に思っただろう。

その人だって、人が働く時間に、隙のない服装をして立っていたのだ。
特殊な人に思えた。

私から挨拶をすれば、きっとその人は笑顔で応えただろう。
しかし、私は挨拶しなかった。

私の記憶はそこまで。
今、思い返すと、私が先にその場を離れたのだろう。


それから何年後だったか、私は映画の中にそっくりな姿を見た。

しかし、こんな有名な人が、あの川のほとりに立っていることなどあるだろうか。
それでも、あれほど存在感のある男性を見た記憶は、この人生にない。

その人は、ただただ、立っていた。

もし、その人が高倉健だったとしたら、
あの時、彼はどんな思いで立っていたのだろうか。

今、その人生を辿ってみると、離婚したり独立したりで、
困難な時期を迎えていたようだ。

今朝の新聞に、高倉健はいつも立っていた、という一文を見て、
こんな事を思い出した。

あれは健さんだったのだろうか。
今でも、そんな思いとあの孤高の姿が蘇る。



御冥福をお祈りします。

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by lunabura | 2014-11-19 19:17 | にっき | Trackback | Comments(3)
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Commented by チェリー at 2014-11-20 22:55 x
今日の朝日新聞朝刊の地域総合(岐阜)のページに、作家の海月ルイという方の文章が載っていました。
高校生の時、30数年前の思い出で、撮影の合間の健さんと、少し話したということです。
その時、周囲の背景に全く溶け込んでいたそうです。通りがかった人達は誰も気付かなかった。
彼は意図的にオーラを消したり隠すことができたと、今ならわかるとのことでした。
lunaさんが見られた時は、隠してなかったのでしょう。
それにしても、何十年も前のほんの少しの出会いを、いつまでも心に残す、やっぱり特別な人なんだなぁと、思いました。
Commented by lunabura at 2014-11-21 20:08
チェリーさん、ありがとう^^
謎の人物のままですが、それが却ってよかったかも。
いい思い出です。
Commented by きりん at 2014-11-25 14:08 x
ご無沙汰してます。

高倉健さんは、福岡県遠賀郡岡垣町にある高倉神社から俳優名をとられて高倉としたと以前聞いたことがあります。
健さんが、剣(草薙の剣)とゆかりのある神社に縁があるとうのも、鍛えた剣のような人生と立ち姿に重なりますね。
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