2016年 10月 28日
「規矩県主・耳熊丸」と「企救の重留遺跡」の広形銅矛はどうなんだろう。
「規矩県主・耳熊丸」と「企救の重留遺跡」
の広形銅矛はどうなんだろう。
さて、先日「いのちのたび博物館」に出向いたのは
「企救の国の青銅器文化」展があっていたからだ。
北九州から巨大な銅矛が出土した。

これはそのチラシ。
卑弥呼の時代だ。
この時代は銅矛がここまで大きくなっている。
約85センチだったと思う。
このサイズだと、もう女性では簡単に抱えられない。
持つとき、必ず刃の部分を支えないといけないので危険だ。
だからなのか、刃の研ぎ出しはしていないようだ。
北九州で出土した銅矛は出雲のそれとサイズも似ている印象だが、
出雲の剣身に見られた矢羽のような研ぎ出しは見当たらない。
これが住居の隅に一本だけ埋納されていたという。
何度か使用しては埋め戻していた痕跡があるそうだ。
この地域は「企救(きく)郡」があった所なので、
「企救国」が想定され始めている。

「企救」で思い出すのは、ここに県主(あがたぬし)の名が
伝えられていることだ。
その名を「耳熊丸」という。
拙著『神功皇后伝承を歩く』下巻をお持ちの方は96番を見てほしい。

神功皇后は京都郡(みやこぐん)の生立八幡神社(おいたつ)から
何処に向かったのか、
海上の行き先を探していたとき、次の伝承を知った。
「豊前国の葛城藤丸と規矩(きく)県主の耳熊丸は
神功皇后を筑豊の境に迎えに行った。」
寒風の吹く冬に船を仕立てて皇后たちを迎えにいった人たちの名が伝わっていた。
葛城藤丸。
規矩県主の耳熊丸。
この名は記紀には出てこないが、篠崎八幡神社に伝わっていた。
(小倉北区篠崎)
もともと高尾山の麓に鎮座していたのが、現在地に遷宮している。
この耳熊丸と同時代に生きていたのが
岡県主の祖の熊鰐であり、
伊都県主の祖の五十迹手(いとて)だ。
耳熊丸は紫川流域、
熊鰐は遠賀川流域と棲み分けていたのか。
「きく」は企救、規矩、菊とも表記される。
「企救国」が想定されるなら、この耳熊丸が治めていたと考えられる。
「きく」で思い起こすのは菊物部という名称だ。
耳熊丸が物部かどうかは分からない。
ただ、一緒に出て来た葛城藤丸は葛城氏だ。
篠崎八幡の葛城小藤丸は葛城襲津彦の末裔だという。
そして、時代は違うが、中大兄皇子の諱(実名)は葛城皇子だ。
こう連想すると、当地には物部氏、葛城氏のいずれかの
リーダーの存在が考えられる。
重留遺跡のすぐ北にある「城野遺跡」には
伊都国の平原遺跡と同様の「方形周溝墓」が発見されていた。
2基の石棺には水銀朱が塗られ、子供が埋葬されていたという。
規模は城野の方が大きいそうだ。
棺が平原遺跡は割竹木棺なので、こちらが石棺なのは興味深い。
しかも、水銀朱愛は同じ。
この城野遺跡は国有地だったのが、民間企業に売却されてしまったそうだ。
実に惜しい。
が、まだ間に合うはずだ。
この重留、城野遺跡と篠崎八幡神社の距離は2キロ未満だ。
その元宮と遺跡の関わりは深い。
これを探っていくことで、
企救国の古代が立体的に描き出せる予感はするのだが。
いちブロガーではどうにもならない。
「企救の国の青銅器文化」2016年11月6日(日)まで。
いのちのたび博物館
北九州市八幡東区東田2-4-1 スペースワールド駅下車
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企救国といえば、7月の西谷先生講演会と9月の重留銅矛シンポジウムにいってみました。
復元銅矛の大きかったこと!
ステージで持たされていた若い女性の学芸員さんが気の毒なほどでした。
昔の人は、どうやって祀ったのでしょうか。
見せびらかしてきらきらさせたと、パネリストの方々はおっしゃっていましたが、
それはそれは、力仕事ですね、たくましい!
でも、本当に惜しいですね。遺跡が保存されるといいのですが。
吉野ヶ里や、古賀市の船原古墳のように、自治体が大切に考えてくれればいいなと思います。
城野遺跡の石棺には、頭の所に方相氏らしき絵がかかれているというのに、
びっくりしました。そうすると最古の例になるそうですね。
方形周溝墓も近畿から広がったとかというけれど、真実かなあという気もしています。
このごろ、るなさんのHPを拝見する中で、興味深いだけじゃなくて、
「は!これだったのか!」という驚きや、何かが自分の中でつながってきていて、
お勉強の成果がでてきたのかも!?
というか、単純に知識が少しは増えたので、
話がわかるようになったということですね、、、。
宮地嶽神社では、るなさんにお会いできなかったものの、同じ時間を共有できて
いたことがわかり、嬉しく思いました。
コメントへのお返事、いつもありがとうございます!!!
出雲とか、360人ほどで並んで立っていたのかな?
城野遺跡が子供の墳墓だとすると、王や女王の古墳が近くにあるはずなんですがね。
途方もないものが出るのではないでしょうか。

あまりにピッタリ北西なので、コメントしてしまいました…