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ウーナ64  七つの珠25 イワナガ姫



ウーナ64

七つの珠25 

イワナガ姫
 



糸島の桜谷。若宮神社。
数輪花をつけた桜の木の根元に「繁栄の種」を納めたあと、私たちは本殿に行って参拝をした。

崋山は裏手の崖をずっと見ている。
そして何者かが懸かった。それはイナリだった。

菊如が尋ねる。
「いつからここに?」
「1872年から。ここを建て直し、われらは要らぬ存在。川べりに御社があった」
そう言うと、山に向かって狼のように遠吠えをした。

「ここのことを教えてくださいな。どなたかいらっしゃる?もともとどなたが居られたの?」
そう尋ねると、イナリは去り、代わりに女人が懸かった。

「はじめまして。菊如と申します。どなた様ですか」
「わたくしはこの祠の地に休むイワナガでございます。あのイナリたちはこの奥に入らぬように守っている者でございます」

私が尋ねることになった。
「桜の木に納めた繁栄の種について教えてくれませんか」
「わたくしの思いと神々の思いと暗い森の中。
その中に一厘の花が咲く思い。

コノハナサクヤ姫と共にこの地に舞い降り、あの木に始まるのでございます。
全国に回り、この地に戻り、再びあの木から始まるのです。

暗い世に花を咲かすコノハナサクヤ姫。
花が咲くことをこの地より、コノハナサクヤ姫が始めるのでございます。

すべてが始まり、暖かい日が始まり、寒くて花の咲かぬところに花が咲き始めます。
日本の暮らし。

この地を守り、日本の国が乗り越え、また花を咲かせるのでございます。
必ず、どんな花も、その花を咲かせます。

この周期をここからすべて見守っているのでございます。
今日植えた種はさまざまな人と共に、暖かな空気と共に日本に広がっていきます。
わたくしはここに眠ります」


イワナガ姫はコノハナサクヤ姫と共にこの地に舞い降り、
あの桜の木から花を開かせていくのだと言う。

この谷は暗くて寂しい。
その暗さに意味があった。
陰から陽へ。
冬から春へ。
その自然の周期がこの地から始まるのだという。

陽極まって陰に転ず。
夏が極まると冬に向かっていく。
来る年、来る年、イワナガ姫とコノハナサクヤ姫はこの木から始める。

桜谷の持つ意味は人間の想像を超えていた。

菊如はかつて一粒万倍(いちりゅうまんばい)の日に
ここに来るように告げられて祈祷をしたことがあるという。

その物語もここから始まった。





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異世界小説
20180717




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by lunabura | 2018-07-17 21:38 | 「ウーナ」 | Comments(0)
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