2018年 09月 29日
ワダツミ11 細石神社 繁栄の種を預かる
細石神社 繁栄の種を預かる
次の候補地に向かおうとするときに、急に立ち寄りたくなった神社があった。
細石(さざれいし)神社だ。
木花咲耶姫と磐長姫が祀られているのでワダツミ系の神社ではない。
しかし伊都国の始まりを考えるのに欠かせない神社だった。
細石神社で手を合わせると、その背後にある王と王妃の墓にも手を合わせることになる。
それが三雲南小路遺跡。水銀に関わる民。卑弥呼よりはるかに古い時代の遺跡になる。
そして、参道付近には木花咲耶姫が出産したという地があり、さらには高祖山に繋がっていた。
高祖山には山幸彦が祀られている。
つまり、木花開耶姫と山幸彦の母子の縁がラインで結ばれているのである。
そこに豊玉姫が輿入れした。
母子は豊玉姫から見たら姑(しゅうとめ)と夫となる。
古代の伊都国の始まりを考える時に
三雲南小路遺跡―細石神社―高祖神社
の祭祀線抜きには考えられない。
この画像の太陽光線の位置を見ると、直前に行った染井神社と同じ方向を向いているのが分かる。いずれも東を向いていた。
振り返れば高祖山がある。
さて、菊如はここでも祝詞を上げた。
それから私を呼んだ。
そして、横の楠の前で何かを受け取るようにと言った。
言われるまま両手を差し出すと、水のような涼しく揺らぐ物が降りて来た。
その形をなぞって両手の平をすぼめると、間でゆらゆらと涼しいものが揺らぐ。パール色のきらめきだ。
上の方は開いている。
ちょうどチューリップのつぼみが開こうとするように。
外側には花びらが重なるような、重なりがあった。
白皇も観えているらしい。
「ピスタチオ」と言った。
そう来るか。飲み屋で出てくるアレだ。
「そうそう、二つに分かれてるよね」
殻を割ると緑色の種が出てくるやつ。
白皇は形を捉え、私はエネルギーの状態を捉えていたようだ。
それはクスノキの「元木」(もとぎ)だという。
「国の元」でもあるという。
あとで崋山が精査すると、「繁栄の種」だ、とイワナガヒメが教えてくれたという。
「元木の種」とも言った。
サクヤヒメはこの時、同じ糸島の桜谷の方にいたそうだ。
「繁栄の種」はイワナガヒメから「桜谷の桜の木の下に置いて来てね」と言われたという。
それは私の役目だそうだ。
また、その時、崋山たちはイワナガヒメとサクヤヒメの関係を尋ねたらしい。
すると、イワナガヒメはお世話をする侍女で、姉妹ではないという。
サクヤヒメの御伴で行かされたそうだ。
「それでは富士山のコノハナサクヤヒメとは?」
と尋ねると、天狗族が来て、薄いピンクの衣を来た別人を連れていったという。
七つの珠とは全く関係のない話だったが、預かった種は桜の花の咲いている間に桜谷に持っていかねばならなくなった。
私単独で出来ることではないし、この日は3月11日で桜にはまだ早すぎるので、日を改めなければならない。
いつの間にか、菊如たちと共に行動する状況になった。
そういえば、桜谷は菊如にとっても始まりの宮だった。
神計らいとは、人間の頭では計り知れないものがあった。
さて、チェリーが関わった神社をプロットしてくれた。
大島の弁財天社と相島、志賀海神社、染井神社そしてこの細石神社が、
一直線のラインで結ばれていた。
それぞれに物語が宿っていた。
『神功皇后伝承を歩く』上巻28高祖神社
20180929
異世界小説