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ひもろぎ逍遥

ワダツミ29 クグマ1 豊玉姫とヌタ



 ワダツミ29
  
クグマ1 豊玉姫とヌタ

 
  
 
アリサが豊玉姫だとしたら、話を聞こう、
ということになったが、アリサからそのカケラを抜くと、
沢山の蛇の呪が掛かっていた。

その呪は含み笑いをし、ガラガラ蛇のように音を立てて話にならない。

それはこの物語の始まりの日、2017年10月10日、
岡垣の大国主神社の境内にいた小さなヘビだった。

菊如はそのへびに声を掛けた。
「こんばんは。大国主神社で会いました」
「あれは我が子の一部」

ヘビが子を沢山産んでいて、それが豊玉姫の呪となっていたというのだ。

「どういうことです」
「何故、そなたに話さねばならぬ」
剣もほろろだ。
確かに、話さねばならない義務は無いのだが。
これでは取り付く島もない。

すると、その直後、崋山に別の存在がかかった。

背中が曲がり、両腕をだらんと下げた年寄りの男だった。
ゼイゼイと息をし、座るのもやっとという重病人だった。

「何族ですか?」
「われらの一族のことか?我らはクグマ」

「クグマとは?かなりお年を召していますね。きついでしょ。
ノウマクシッチシッチ… 水を上げて」
菊如は答えを聞く前にその男に水を飲ませ、真言で癒した。

男は絞り出すような声だ。
背を丸めて何とか座っている。
咳を激しくすると、菊如は背中をさすってやった。

「何処から来られたんですか?さあ、吸って吐いて、吸って吐いて」
菊如が癒すと男は少しずつ話せるようになった。

「どうして、そう体が悪いのです?」
「何が聞きたいのだ」

「どうして大国主神社におられたんですか」
「あそこはもともとワシの物じゃ」

「クグマさん、何処から来られたんですか」
「海を渡って来た」

「どの国ですか」
と尋ねるが時代が違うので答えようがない。菊如は
「今で言う国の名が口からつい出てしまう」
と文殊菩薩の真言を唱えると、世界地図を見せた。
もちろん肉眼では見えない地図だ。

「人指し指でこの地図の何処かを指して」と言うと、
男は「我、インドの熱き国から来た。南の方から」と答えた。

「最初に広げていったのはあなた方?」
「黒い目の奴らが大勢であのあたり一帯を欲しがったが、分からん。
あの辺りは金が採れる」
男は水銀毒にやられていたのだ!

「それで体が悪い」
「あのあたりは金が採れるから、いろんなやつらがあの土地を狙いに来た」


「その時、豊玉姫が来られたの?」
「ああ。お付きの者も付けずに二人で来た」

「どなたと?」
「男の名前か?
男の名前はヌタと聞こえた。
お団子を一つにまとめた髪の男だ。
布を頭に被って女が後から来た。顔が見えなかった。
わしらには何も言わないが、分かった。
あれが海の女だと」

「なんで分かったのですか」
「ヌタがワシ等に言った。舟を一艘出してくれと」

「二人だけ?」
「女は薄いピンクのひらひらと、今で言う、襦袢のようなひらひらなのを着ていた。顔は見えん。二人で舟を出してくれと。これで」

「これって?」
「それを見てワダツミの娘かと分かった。
干珠満珠だ。
珠は二つ。泡が見えた。
ヌタが差し出した。

海は大荒れ。ワシはピーンと来た。
この男が豊玉姫をさらって逃げてるんだなあと。
さらった訳ではなく、一緒に逃げた。

ワシ等は考えた。たいそうもてなした。何せワダツミの娘だ。
舟を用意するまでに五日かかると言った。

すると、ヌタは用意するものがあるから”娘を頼む“と置いて行った。
ワシ等は“安心して行って来るがよい”と言った。
その頃、ヌタはワシ等の事を信用していたからな。
さあ、それからワシ等一族とワダツミの神との交渉が始まった」






2018019




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by lunabura | 2018-10-19 21:22 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

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