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ひもろぎ逍遥

祈りとは交歓か

   


月が輝く冬至の夜に、
冬至にうたう「阿知女作法」~ISOLA2018~
(藤枝守作)が催された。

暗いホールの中に一歩踏み込むと、背後から波の音が聞こえてきた。

円筒形の暗い空間はすでに海の中だった。
左右から、また上から波の音が聞こえてくる。

あのワダツミの神の世界へ、海の底へ、
現身(うつしみ)を持ちながら踏み込んでいく、しつらえだった。






祈りとは交歓か_c0222861_20465659.jpg

床の中央には志賀島が白く映し出されていた。

そこを貫く塩の道。

この日、冬至の太陽はこの塩の道を通って行った。

到達点は沖津宮。


志賀島に重なって満潮の波のたゆたいが映し出されると、自分は浜辺に立っていた。
波の音が上から響くと海の底で揺れている。

観客は音と映像によって、海の底、荒磯の浜辺、そして天空からと多次元の視点を持たされた。
それは肉体の耳ではなく、魂の次元で聞くことを促した。

そこに風の音か、海の中の音か、形を成す前の未分化の精霊の吐息か、土笛が結界を歩む。

それは鳥のさえずりに変わり、あるいは精霊の目覚めの歌なのか、響きを刻々と変えていく。
竪琴が植物の唄う歌を奏でる。

塩の道に対峙して座る二人の人間によって
「あぢめ~ おう~ おう~」
と磯良を呼び出す言霊が唱えられた。


阿知女作法という神楽は宮廷深く1000年以上も前から奏されているという。
冬に天皇の御霊を奮う御神楽として。

その美しいメロディーは魂の記憶を揺さぶる。

磯良の出現を促す御神楽は祈りそのものだ。


「祈り」とは願いではなく、交歓なのかもしれない。

「いのり」という言葉も「い」(神聖)と「のる」(言葉を発する)からできている。

精霊や神に届くのはその世界の音魂や言霊なのだ。

研ぎ澄まされなければ到達できない波動の世界。

いにしえの日本人はそれを良く知っていて、このような御神楽を生み出したのだろう。

「神楽」とは「神が楽しむ」と書く。



笙(しょう)は天上界の音の響きを持つという。

それによって天上界を演じるのではなく、天上界と人間を結ぶ音魂として創造されたのだと、この日理解した。



万葉歌が新しいメロディーを得て歌われた。

海原の 道遠みかも 月読の 光少なき 夜は更けにつつ 巻七1075

志賀の海人は め刈り塩焼き 暇なみ くしらの小櫛 取りもみなくに 巻三 278

志賀の海人の 塩焼く煙 風を疾み 立ちは上らず 山にたなびく 巻七 1246



それは曙光の女神のように
萎えた太陽の新生の寿(ことほ)ぎのように響き渡った。


このような世界を生み出そうとする藤枝守と志賀島。

この鬼才と同じ時代を生きて目撃していくことの不思議を思う。




20181223

ブログを見て沢山の方が来てくださいました。ありがとうございます。
最後、アフタートークで藤枝氏からヤバいこと言われましたねえ。
それが叶うように精進します^^ 



 祈りとは交歓か_c0222861_15184581.gif

Commented by 崋山 at 2018-12-23 21:11
昨日はホントに参加させて頂き感謝、感謝😊
あの空間に居て色んな事を巡らせました。
またあの空間には様々な老若男女の方々が居て何らかの心の揺さぶられで参加してるんだろうなぁーと感慨深く静かに楽しんでると・・・それを打ち壊す様に私のお腹が「ぐぅー」と(//∇//)
現実に引き戻されました・・・
Commented by lunabura at 2018-12-23 23:03
そういえば、同じような効果音はあちこちから( ´∀` )
それも含める包容力のある異空間でしたね。
ご参加ありがとうございます。
by lunabura | 2018-12-23 20:47 | 甕の音なひ | Comments(2)

綾杉るなのブログ 神社伝承を求めてぶらぶら歩き 『神功皇后伝承を歩く』『豊玉』『星の迷宮へのいざない』   Since2009.10.25