人気ブログランキング |
ブログトップ

ひもろぎ逍遥

脇巫女Ⅱ 12 香月物部サネアツサブロウタ 


脇巫女Ⅱ


12 香月物部サネアツサブロウタ 



ヤマトタケルは鞍手(くらて)で何者かに殺された。
その時の様子を語るとヤマトタケルは崋山から去った。
そのあと、香月(かつき)物部が現れた。


◇◇ ◇
続いて「香月物部」がお見えになった

星読はその男に嘆きと怒りを感じた
菊如さんが落ち着かせようと話しかけるが、香月物部は怒りをぶちまけた
「ヤマトタケル」の名を挙げた

内容はこうだ

九州は今のような形ではなく、いくつもの島が点在していた
九州が日本国だった

この地はわれらモノノベが守ってきた地
なぜ、ヤマトタケルに渡さねばならぬのか

モノノベたちは反発した
ヤマトタケルは自分たちが守った地を取り上げた、と。


菊如さんはかねてから疑問を持っていた「草薙の剣」のことについて尋ねた

ヤマトタケルは戦いに行く直前に、なぜ草薙の剣をミヤズ姫に預けたのか
――預けていない
答えがあった
・・・やはり、戦いの時、ヤマトタケルは剣を持っていた

菊如さんは続けて尋ねた
新羅僧が盗んだ「草薙の剣」が何故「古物神社」にあったのかと

香月物部は「モノノベが奪った」と答えた

星読は「熱田モノノベ」について尋ねてもらった
なぜ、「熱田」は武器を「古物神社」に移したのか

香月物部は「フルベ」は数が多かった、三千を越していたと答えた

つづけて菊如さんはヤマトタケルについて尋ねた
「ヤマトタケルを刺したのは誰か、ご存知か」

香月物部はいやーな笑顔で星読を見た
「俺?」
星読は思わず自分を指差して声にした

大きく笑う香月物部
星読は両手をついた

その姿を見た香月物部は手の震えは「この時の震えだ」と言った

つづけて菊如さんは
「香月物部はなぜこの地を離れたのか、逃げたのか」と尋ねた

香月物部は
「逃げたのではない。去ったのだ。
われらは、ヤマトタケルが来てからモノノベが分裂したのに嫌気がさし、
この地から去ったのだ」
と答えた

つづけて菊如さんは香月物部に名前を尋ねた

香月物部はサネアツサブロウタと名乗り、お戻りになった

崋山さんが「星読さん、誰も恨んでないよ」と言ってくれた
・・・やさしい響き・・・すーっと心に入ってくるような・・・

◇◇ ◇
香月物部については、歴史的には、小狭田彦がヤマトタケルを援助して共に戦い、娘も差し出している。クマソ討伐に成功して戻ってくると、香月姓をタケルから賜った。この時、鞍手の六嶽神社と直方の剣神社も与えられている。

今回、崋山を通して語った香月物部は、香月はもともと鞍手にいたが、ヤマトタケルが来て物部が受け入れ派と反対派に分裂すると、嫌気がさして遠賀川の右岸の香月に移ったという。

この香月物部は物部サネアツサブロウタと名乗った。
そして、その男は、ヤマトタケルを殺したのは星読だと語った。星読の手の震えはその時の魂の記憶だという。

ああ、だから、星読はヤマトタケルが水銀の汚染水を飲んだ場所が「泉水」(せんすい)だと知っていたのか。1800年も前の話だが。




<20190925>





異世界小説
「脇巫女」はコチラ  「脇巫女Ⅱ」を始めから読む⇒コチラ



c0222861_18414040.jpg

by lunabura | 2019-09-25 20:42 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(0)

綾杉るなのブログ 神社伝承を求めてぶらぶら歩き 『神功皇后伝承を歩く』『ガイアの森』   Since2009.10.25