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ひもろぎ逍遥

脇巫女Ⅱ 14 ムナカタ物部 


脇巫女Ⅱ


14 ムナカタ物部 



その男は怒りに満ちていた。崋山の口を借りて怒りを伝えて来た。

「我の怒りを、そなたは聞いておろう。我らの想いを踏みにじるのが人間。
この地を守るという想いを…。
この地はそなたらのものか。
我ら先人たちの思いはどうでも良いのか。

何を以っても、この怒りは収まらず。
我らが守ろうとしたものが、分かっているのか。

物部が分裂したのは知っておるな。
我らはムナカタ物部。
我らムナカタ族が大事にし、鉱山から採れるものを物部が奪い、熱田神社の裏手に武器を隠しておった。

四方八方から狙われておる。
ムナカタの物を物部が奪ったのだ。

ヤマトタケルの出現で二手に分かれた。
思いを一つにしてまとまっていたのが、ヤマトタケルのせいで。
鉱山の武器の開発で思いがバラバラになってしまった。

フルべモノノベがヤマトタケルに付いたのは思いがけなかった。

何故、物部が守っていたものをヤマトタケルに譲らねばならぬ。

土地を耕し、鉱山を見つけ、ようやく暮らせるようにした。
ヤマトタケルは正義の味方か。
討った我らは悪役か。
ヤマトタケルは何人殺した。
正義の味方はこの地を守ろうとしたのか」

ムナカタ物部を名乗る男は一気に思いを述べた。
菊如は応えた。


「話がすり替わっているのですね。過去のことを知りたいのです。
人が集まっています。

真実を解き明かしたいのです。しかし、資料がありません。
お手伝いさせてください。

物部の真実を知りたいのです。知らなければ守れないのです」

菊如は思いを伝えると、私に質問が無いか、と聞いた。

私は夢の中の馬上の武人を探していた。

「私の夢の中で、おだ山の所から馬上の武人が現れたのですが、ご存知ないですか」

さすがに、ムナカタ物部は首を振った。
そして、当時の話をした。

「九州は今より半分の大きさだった。島が点在していた。
物部が入植して島を開墾していった。もともと居た農耕の民と仲良くやっていた。

しかし、この島国を狙い、今でいう新羅、百済が船で目を盗んで住んだ。
我らは日本を国外から守ることがせいいっぱいだった。

いつも戦い、火薬や武器を造った。
戦闘が激しくなり、武器を持ち、隣国との戦いが続いた。

ヤマトタケルは統合すると偽った。
全然違う。
ヤマトタケルは日本人ではない。目を見たらわかる。
仲哀天皇?その子だから、日本人ではない。神功皇后は日本人だ」

そう言うと、ムナカタ物部は菊如に手を出すように促した。
菊如が両手を差し出すと、男はその手に何かを乗せた。
「重い。重いです」
手は重さに耐えきれずに畳に着いた。
「何ですか?これ」と尋ねると、男は答えた。

「鉱山から採れるものだ。これを我らは黒玉と呼んでいる。これから武器や農耕具を造っておる。相手を打てば一撃だ。ヤリ、刀、弓の矢…。一撃で死ぬ」

「重くてたまりません。お返しします」
と菊如はそれを返した。もちろん、目には見えない。

話題は物部に移った。今まで分かっているのは、フルべモノノベと熱田物部だった。

その時、ムナカタ物部は星読を見つめた。
「熱田の上には、この者が居る」
つまり、星読は熱田物部の長だった。

これを聞いて、星読は思い切って尋ねた。
「熱田モノノフがヤマトタケルの軍勢に攻め込んだことはご存知か」
すると、ムナカタ物部は星読を見つめて、
「お主が一番知っておろう」
とニヤリとしながら言った。

しかし、その後斬られたヤマトタケルが泉水で水銀の水と知らずに飲んで絶命したことは知らなかった。

星読は「ヤマトタケルを殺したのは自分だ」と受け止めた。
そして尋ねた。
「名前は?ヤマトタケルに戦いを挑んだ熱田モノノフの名前は?ご存知であれば、教えていただきたい」
「サンジカネモチ」
ムナカタ物部は即座に答えた。

星読は熱田物部を統べる長で、サンジカネモチという名だった。


<20191008>



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Commented by 崋山 at 2019-10-09 08:27 x
事を勧めて行くのに、過去の事なのに気持ちやクセは今、現在もなお生きている。
色んな思いの中、やはり起承転結は大切・・・と友に言葉を貰いました。
腑に落ちました。心身ともにその時に向けて準備してます。
by lunabura | 2019-10-08 20:26 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(1)

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