人気ブログランキング |
ブログトップ

ひもろぎ逍遥

脇巫女Ⅱ 21 モリヤモノノベ


脇巫女Ⅱ

21 モリヤモノノベ



後日、初代ヤマトタケルの側近で、タケルの墓で自決した男が現れた。

モリヤモノノベといった。

モリヤモノノベの一族は鞍手の中心に住み、田畑を耕し、農耕を糧としていた。
戦いを好まぬ種族だった。

そのモリヤモノノベはサンジカネモチのことを知っていた。
「熱田モノノベはサンジカネモチのものではない。
あれは船でやって来た。
そして、熱田モノノベを自分達の物のようにした。
我々の地を奪ったのだ。

ヤマトタケルは鎧を付けて兜(かぶと)をかぶり、顔を隠していた。髪の色も分からない。
武内宿禰がヤマトタケルに近づけないようにしていた。

ある時、サンジカネモチとヤマトタケルが話していた。
モノノベは一体化してきているのに、サンジカネモチが反対していた。
私はヤマトタケル側について一緒に行動した」

「それなら、ヤマトタケルの最期のようすはご存知?」
「…。あの時…。
サンジカネモチが…。
タケル様が油断したから討たれた」

「サンジカネモチがヤマトタケルに容易に近づけたのは?」
「日本は古来から3m離れて礼をする。しかし、タケル様は握手を求める人だった。
あの時はサンジカネモチの方から手を差し出してきた。
『ヤマトタケル殿に協力する』と言って。

タケル様は馬を進めてサンジカネモチに右手を差し出した。
一撃だった。カネモチは左手で剣を抜いて胴体を刺した。
あいつは左利きだったのだ。

タケル様は倒れた。我らは山へ逃げ込んだ。
が、サンジカネモチは兵を隠していた。戦が始まった。
我はタケル様の鎧を身に着けて戦った。

敵が去ると、我らは山に入って、タケル様を埋葬した。
ところが、あの武内宿禰が影武者を立てた。
我らにはいく所が無くなった。
タケル様を囲んで我らは自決した」

「もし、サンジカネモチが殺さなければヤマトタケルが国を統一したと思いますか」
「タケル様は新しい景色、知識を持って来た。この地域を変える力があった。
船でやって来る人が変えてくれると…我も信じてもいた。

思えば、タケル様も駒の一つだった。自分たちも。
タケル様は心優しい人だった。この地を繁栄させる力が感じられた。
サンジカネモチは心がぶれた。
戦ではなく、この地で豊かに暮らすことが理想なのに、道を外れてしまった」

一つの事件も語る人が違えばこうも違う。
そんなことを考えさせられた。

<20191030>





異世界小説
「脇巫女」はコチラ  「脇巫女Ⅱ」を始めから読む⇒コチラ



c0222861_18414040.jpg

Commented by 崋山 at 2019-11-01 12:17 x
結願に参加させて頂いて10年。1番感じた事は善悪の判断です。それぞれの物語があり、それぞれの主人公は自分が善だと信じ、それに反するものは悪だと・・・
今の世も同じような事が繰り返されてますよね・・・
人は人をジャッヂすべき存在ではないと学びました。
Commented at 2019-11-01 17:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lunabura at 2019-11-04 21:37
崋山さん、全く同感です。
Commented by lunabura at 2019-11-04 21:38
非公開さん。
地元の若者たちが立ちあがって、技術を習得して完成させるのを夢見ています。
by lunabura | 2019-10-30 19:56 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(4)

綾杉るなのブログ 神社伝承を求めてぶらぶら歩き 『神功皇后伝承を歩く』『ガイアの森』   Since2009.10.25