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ひもろぎ逍遥

脇巫女Ⅱ32ヒイラギ・ミクマナル2 古出雲と出雲

脇巫女Ⅱ
32ヒイラギ・ミクマナル2 

古出雲と出雲




ヒイラギに尋ねた。
「あなたはあの地に埋葬されたのですか?」
「ええ、出雲に」

「今でもお墓はあるのですか。出雲の大きなお墓がそうですか」
「大きな墓です」

「10月10日、菊如さんたちが行った所ですか?」
「ええ」

「大きな川が近くにある?飯塚、王塚古墳の近く?」
と尋ねると、菊如がはっと気づいて尋ねた。
「神社がいっぱいあった、その中?」
「ええ」

「分かった!貴船神社。貴船神社の方ですか?」
「ええ」
この貴船神社とは王塚古墳の近くにある神社だった。
ヒイラギ・ミクマナルとは、菊如と崋山が訪ねた時、そこに現れた女人だった。
そこの祭神はクラオカミ。水の神だ。

私は確認した。
「そこに祀られているのですか?」
「いいえ。埋まっています」

菊如が言った。
「木の間に何かありましたね」
「わが遺体を埋めた所。木の間。木の二つ目」

――ヒイラギは貴船神社に埋葬されている?これは大きな問題だ。しかし、現地に行っていない私には状況が分からなかった。そこで出雲と大国主について確認することにした。

「それでは、ヌタはどちらの出雲に?そして、何故、あの地を出雲というのですか。ヌタとは大国主と同じですか」
「ヌタが居たからイヅモ。出雲は繋がっています」

「あなたのいる所は出雲の地名が残っているだけで、一般的には出雲とは言わないですが」
「元々の出雲はここです」
――すると、飯塚の方が古出雲となるのか。もう一度、念を押した。
「あなたが居た所は出雲ですか」
「出雲はそこ」

――ヒイラギは飯塚の方が古出雲と語った。もう一つの質問、ヌタについて再度確認した。

「ヌタを大国主というんですか。昔、オオアガタヌシと言ったのですか」
「ええ」

「王塚にはヌタ様が眠っておられるのですか」
ヒイラギはその質問には答えず、ヌタの説明をした。

「代々、ヌタといいます。かなり遠い所にいる人たちもヌタ。
それは代々、日本に残っている名前とは継ぐもの。我々には個人の名前の重さはピンときません」

――やはり、ヌタとは大国主であり、オオアガタヌシであり、代々襲名するものらしい。すると、ヌタが来たと言う岡垣の大国主神社も関連があるのか。

「ところで、岡垣の大国主神社はご存知ですか」
「いいえ、分かりません。ヌタ様は我々の地を去り、船で今の出雲(島根)に出向かわれたのは嘘ではありません。あの地には我々の地から出立しました」

「出雲という邑はもう飯塚には存在しません。どうして二か所に出雲があるのですか」
「本物は隠さないと。こうやって出るべき時に出ているではございませんか」

「どちらの出雲も嘘ではないのですね。血筋は向こうまで続いているのですね」
「ええ。この日本国の象徴は要るではないですか。様々の人の心を一つにするには象徴がいります。ただ、荒らされては困ります。このため日本国の中心の方には隠れ蓑が要ります。

大切なものは必ず二つ。だから、島根の出雲も嘘ではありません。確かにヌタ様は出雲に行って戻り、この地に眠られました」

鞍手には島根の出雲地方と似た地名「キヅキ」がある。それについて、菊如が尋ねた。
「クラ―ジュはご存知ですか」
「行ったことはございません。話に聞いています」

「キヅキ(木月一杵築)とヌタ様は関係ないのですか。ずっと歩いていかれたのですか」
「今の出雲に直線的に進んだのではございません。舟で回っては行っていません。山伝いに歩いていき、舟で本州に渡り、中の地を歩いていきました。

何故か?私たちは身の周りの集落しか知らないので、他の集落に入り、どのような生き方、どのような集落があるか見ていくのです。報告は受けていません。

ヌタ様にはヌタ様の考えがあり、この地をわたくしに任せて去っていかれました。私は私のやるべきことをしただけですから。ただお互いに、自分を慕う者をむげにはできないのでございます」

――キヅキの地名については、答えは無かったが、ヌタは調査しながら出来るだけ歩いていったことは分かった。

もともとヌタの名が出たのは大国主神社だ。そこに現れて崋山に懸かった豊玉姫のことを尋ねた。
「ヌタ様がピンクの衣を来た女性と一緒だったそうですが」
「その人のことは知りません」

「海の者の船に乗ったはずなのですが、それはご存知ですか」
「それは私が言いました。海の者には海の種族がいると」

――何も分からなかった。


(つづく)


<20191218>


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Commented by チェリー at 2019-12-20 23:51 x
また不思議なお話なんですが、これは皆さん試してみると面白いと思うのですが…
スマフォでの方法はわからないのですが、パソコンで、例えばGoogle mapを航空写真の画面にして「王塚古墳」を表示します。キーボードの矢印キーの上方向を押すと真北に進むことができます。(動かないときは、キーを押す前に、ほんの少し画面を動かすとよいです)
ずっと、ずーっと諦めずに動かしていくと、到達するのは鞍手の「六嶽神社」なのです!(10mくらいずれるようですが)
昔書きましたけれども、六嶽神社の北東が長門国一宮住吉神社、長門国一宮住吉神社の北東が出雲大社でありました。
Commented by lunabura at 2019-12-24 21:07
やはり不思議ですね。
ところで、前話してあった、小城の城山の展望を撮ってきました。後日、掲載しますね。
by lunabura | 2019-12-18 20:02 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(2)

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