2020年 01月 14日
ウーナⅡ4 ガードゥ
シュメールの姫が埋葬される直前に救い出したガードゥたちは船に乗り込んだ。
「それなら、崋山、記憶あるよ」
と言うと、菊如は崋山から魂のカケラを抜き出した。
ガードゥは崋山に転生していた。
崋山は一瞬でガードゥになった。
左手で船に手をかけ、右手を大きく振りながら、
「さあ、早く!船に戻れ。皆、乗ったか。東に向かう。船を出せ。
姫は無事か。東の果て、まっすぐ進め!」
と命じた。さらに、
「今日は星がきれいだ。追っ手はもう来ぬ。
これからモーゼより受け継ぎし、父ヤコブの神託をもとに姫を連れだし、開かれぬ地に挑む。
姫はヤハエをこの地に降ろす。あの飾りを使ってその地にてヤハエとの交信、モーゼとの交信をする。決して、敵・シ―ヴァは近づけさせない。
首飾りに集められし者たちが、かの地を開く」
と言った。
それから菊如に向かい、「そう、あせるでない」と言った。
菊如はサル―ディについて尋ね始めた。既に二人の間に出てくる名前だったらしい。
「サル―ディとはどなたですか」
「我らがこの地にたどり着いた時、新しく付けた我の名だ。ガードゥは名乗れぬ。ガードゥの名は捨てた。サル―ディ、サルージと変えた。
新しく動き出すぞ。我は闇のサルタヒコ。この地を守る。案ずるでない。
すべては上手くいく。鞍手からすべては始まる」
「鞍手からですか」
「クラを手に持って神輿を挙げる。この地に初めて降りた証。クラージュ、クラテ。
ガードゥ族のサルタヒコはそなたの集めた猿田彦ではない。我は裏より操る」
「サル―ディ。そうすると、姫の新しい名前は?浮かぶのは「月の沙漠を」という歌です。何故、この歌が?」
「契約の箱は二つある。本物は鞍手、もう一つは剣山。大事なものは二つある。必ず一つは偽物」
答えがずれていた。菊如は先の話題を続けた。
「白山くくり姫?セオリツ姫?ククリ姫?姫の名は?」
「そなたが知っていることは教えん」
「分かりませぬ」
「ケルト、クルト、ククリだ。
透かしの技法がある。月や日の光と影。昔は月は明るかった。月の明かりで透かしの影ができる。これが暗号になる。
姫はシュメール。守っていかねばならぬものがある。胸にある。良くも悪くも使える。ウーナはシュメール人でケルトに関わりがあった。ガードゥと一緒に来た。
ウーナはケルトの名に変えた。クルトの姫と」
菊如と崋山はかつて、各地に祀られていた六柱の猿田彦神を集め、宗像の猿田峠の豊日社におさめている。当時、そこの猿田彦の石祠は倒れて落ち葉に埋もれ、忘れ去られていた。それを整えて祀っていた。
ガードゥはサルージと名を変え、サルタヒコとなった。しかし、豊日社の猿田彦とは別神で、表と裏の関係になっているようだった。
菊如が突然歌い出した「月の沙漠」は私が既にブログに書いていた。
何故か、この夜、私はこのネックレスを着けねばと思って胸に下げていた。
それは二枚の円で三日月が見える仕組みになっていて、透かし模様があった。
「透かし模様」の「影」がシュメールの暗号解きのヒントとして示された。
<20200114>