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ひもろぎ逍遥

ウーナⅡ9 ガードゥ4 木の種族ギムロ


12人の乗組員を明らかにする必要があった。
この日、居合わせた白皇について確認した。

「白皇も12人の一人ですか」
「ああ。のちのタケルよ。その頃の名を知りたいのか」

「ええ。何かに長けていた方ですか。それはどんなものですか」

「名前はギムロ。青い目をしていた。年が一番若い。戦のさなか、母を亡くした幼き子だ。
我が船に乗せた。7歳だった。その目に光る忠誠心が見えた。名が無かったのでギムロと私が付けた。
母から譲られた首飾りを付けていた。木の丸い輪っかに木の皮の紐を付けていた」

これに驚いたのが白皇だった。たまたま直前に同じようなものを購入したばかりだったのだ。
まさしく木製でドーナツ型をした輪に革紐がついていた。


私は質問を続けた。
「サタンはギムロを狙っていましたか」

「いいや。ウーナがギムロを可愛がった。自分の古里の話を聞かせておった。寝る時もギムロを離さなかった。星の話、そう、星を見ていろいろ話していた。自分の両親が死んだ話もしていた。ウーナの古里も攻撃を受けた」

「ウーナの故郷はシュメールですか」

「スメル。スメルの姫。賢く、どんな種族とも言葉は無くとも、心で通じ合って、戦をせぬ国に生まれた。他の国はこの小さな国の力を欲しがり、かつ恐れていた。
ウーナはスメルの姫。ギムロは木の種族。冷えた土地に水さえあれば木々を生やすことが出来る」

「緑生ですね」

「ああ。ギムロは水さえあれば無敵だ」

「航海するメンバーに、そんな小さな子も必要だったのですか」

「乗せた始まりは、母の傍らで泣いていた子を置いては行けぬからだ。そしてギムロは目覚めて行った」

「その能力は六ケ岳が岩山だったから必要だったのですか」

「そうだ。使命があった。岩山で鉱山があると木が生えない。木を生やしてその土地を繁栄させる必要があった。使命のためにその土地を汚すことはできない。今、空気が悪い所でも木が生えると浄化されるであろう」

「そうですね。ところで、ウーナが死んだ場所はどこですか」

「六ケ岳寄り、平たい土地だ。ウーナはその土地で書き物や占いをした。文字を地元の子供に教え、石で首飾りを造った。石占いの始まりはウーナだ」

「え?そうすると、亀甲(かめのこう)ですか」

「ああ」

――思いがけない所で話が繋がった。「脇巫女」の時代に石占いのタギツが出て来た。ヤマトタケルとスクネがタギツに道を占ってもらったが、彼女がいた場所が亀甲だった。ウーナが教えた石占いが連綿とこの地で受け継がれたことになる。

ウーナはその亀甲で殺された。サマルは誰かに転生しているのだろうか。

「殺した人は今は男性ですか。あなたが知っている人ですか」
「ウーナは背中から殺された。首飾りを返せば分かる。分かれば苦しいぞ」

――え?現世の私が首飾りを手に入れたら分かる?
う~ん。今は別に必要じゃないし… 苦しいのなら、要らないなあ。
「それなら要りません」と私は答えておいた。


鉱山として思い浮かんだのが銀韓塚古墳の裏手の山だった。
「重要な地として銀冠塚古墳のあった山はどうですか」

「ああ。あそこは鉱物が豊かに出る。金銀取り放題だ。そこらじゅうキラキラする黄金の地だ」

鞍手にかつてあった巨大な銀冠塚古墳は近年、団地建造の為に破壊され、埋蔵物の調査もされなかったようだが、一市民がいたたまれずに発掘した結果、銀の冠の一部が出土した。その冠の形は法隆寺の薬師仏の脇侍仏の冠と同様のデザインと考えられている。聖徳太子の時代だ。

その古墳が築かれた丘陵地帯は六嶽神社から見える断層帯に連なっていて、水銀が採れるなら、他にも多くの鉱物があったと想像した。

とりあえず、12人の中にギムロがいたことが分かった。

幼いウーナとギムロは大人たちの相手にされず、夜は船室の入り口で、たった一つ付けられた灯りの下、いつも二人で遊んでいたという。




ここからは、アリサが質問をした。

「ヤハエの復活が成功していたら、今より良い世界になっていたということですか」

「少なくとも人の間に入る魔を封印できるな。その力は抑えることが出来る。人の体に入り、この地に入ってくる憑依に気づけない者、我が気質と信じて生きている者が多い。

憑依すると魔物が芽を吹く。怒りを数千倍にし、後で後悔する。悲しみを増幅させ、魔物のエサになる。それは我らが失敗しているせいだ」

「石板を降ろすのは何のためですか」

「そのために使う。ヤハエを復活させる。生きている者の為に働き出さねばならない。神々にはっきりと祈りながら、何をしなければならないか理解する必要がある。

天から学び、どういう生き様を神に見せるか。もう祈る時代は終わった。お願いする時代は終わった。もう、祈りではない。

どういう生き様を見せるか。それを見て神は采配する。
全滅か。再生か。まだまだ人間はやれるのか。
采配を受ける。その先端に生きているのが我らだ。

そこで学んだ物を持ちより、どういう生き様を天にお返しするのか。今はその時、我も返していく。
もう、この魂の苦しみを終わりにしたい」

そう言うと、ガードゥは去っていった。


<20200122>




「ウーナⅡ」を始めから読む
https://lunabura.exblog.jp/i260/


ウーナⅡ9 ガードゥ4 木の種族ギムロ_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-22 21:25 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

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