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ひもろぎ逍遥

ウーナⅡ12 ウーナの最期は


私は咳をし続けた。

「胸の奥が熱い」と言うと、菊如はそれを両手で取り出し、崋山の第三の目に入れた。すると、崋山は胸の前で両手を胸を合わせた。

ウーナだった。

菊如が尋ねた。
「はじめまして。どうなさいました」

「何故、人々は殺し合わねばならない。何故。
何故、私を始めとする小さな子供まで。
旅をするのがいや。この地で静かにやっと安らげるかと思ったのに。
どんどん私の生まれた国の人が散り散りばらばらになり、魂が消えていった…。

私は各地を転々としてまいりました。
やっとこの地で落ち着けると思ったのに…。
この村で…。
ただこの首飾りが災いをなす…。
けれども、守っていかねばならない…」

三連の首飾りを狙う者がいた。そのため、エルマはその一連を飲み込んで死んだ。
何故、首飾りはそんなに重要なのか。また、三連がバラバラになった理由は何か。

菊如は尋ねた。
「その首飾りが別々に出てくるのは何故?」
「私が殺された時に引きちぎられました。手元に残ったのは一つだけです」

「引きちぎられたのはどの部分?誰が引きちぎったの?」

「私はこの首飾りを持って、ガードゥと共にシナイ山に登る予定にしていました。
“準備があるのでこの村で待つように”とガードゥに言われました。

ここには森があり、優しい子供たちがいました。
私たちはその村人に歓迎され、部屋も用意されました。ガードゥには“ここで待つように”と言いました。
そしてガードゥが戻って来て、“明日、決行の日”と告げられ、いよいよ私の役目が、と思っておりました。

その晩、村の女の子に、月の照らす夜でしたが、“その首飾りが欲しい”と言われました。でも、首飾りは私の首からははずれません。普段から服の中に隠していたのですが、少し見えたのでしょうか。

私は月の光に照らして、私の胸元にあるのを見せていると、突然後ろから、誰か分かりませんが、ナイフで背中を刺しました。その後、私はその場に倒れ、後は記憶にございません」

「その首飾りは何故狙われているのですか」
「分かりません。これは代々伝わるものです。身に残ったのは一連だけでございます」

「誰からいただいたのですか」
「父からです。私の国を出発する時です。あの頃は様々な国が私の国を狙って入って来ていました。国を守ってもらうために、私は砂漠の国に送られました。首飾りと共に。

その役目は分かりませんが、はずれないのです。石がついていますが、どういうことかは分かりません」

菊如は人の目には見えないこの首飾りをはずす時に、ネジを回していた。

「はずす時に、ネジをまわしたら、何か入っていましたよ。そう、紙切れ。字が書いてあるでしょ、あなたの国の字?何と書いてあるのですか」

「この文字は私たちの言葉でアミーラです」

「どういう意味ですか」

「アミーラとは”復活“です」

「お父さんが持たせたのですね。代々どんな家だったのですか」

「シュメールです。様々の言葉や文字が入って来ていました。戦いを好みませんでした。神々と対話できる人がいて、自然を愛する国でした。神々と共に暮らしていました。夢を見る人が多いです。預言をしました。

言葉の通じない人とも、頭の中で会話できる力があります。よその国々はその力を求めました。
しかし、皆、散り散りバラバラになり、私は国を出ました。

復活…。
誰かの復活なんですね。
あの山のシナイ山の誰かを呼び戻すんですね」

ウーナはそれが誰か知っているだろうか。菊如は尋ねた。
「それはヤコブですか」
「いいえ」

「ヤハウエですか」
「ええ。ヤーベです」

「ヤーベとはどんな神ですか?八幡ですか?」
「ヤーベ… それは再生と破壊と…」

「シナイ山の近くにウサがありますか。何処にあるかご存知ですか」
「ウサ?今の場所?」

「今は大分にあります。それではなくて、ホントの場所です」
「シナイ山の近くです」

「どういう場所ですか」
「様々な神が集まる場所です。破壊だけでは何も生まれません。シヴァという破壊と再生の神だけでは。それを救うために命を落としたのがヤーベです」

「ヤーベがいたのがウサですか」
「はい。そこで子孫を作り、ヤーベの力を受け継ぎました。
この国にはガードゥが来ました。
シュメールの神話では黒く大きな翼を付けた神で、杖をつき、マントを付け、牛のような悪魔のような神が降臨して光を放つと言います」

「ゴウズとはどんな神ですか」
「黒い羽根はみるみる溶けていき、光が降り注ぐ、荒れ狂った時代に光を降り注ぐといいます」

「ヤハウエとゴウズは同じですか」
「ええ。私たちの神がヤーベ。この地にある海より右手ではゴウズと呼びました。同じ神ですが、少々形は違います。同じ者だろうと思いますが、ただ少し違います」

「ゴズは宇佐にいます」
「そのうち、ドアを開けてやってまいります。ス―サの後ろでその時まで隠れているのです。その時が来るまで」

漢字で書けば須佐、牛頭、宇佐となる。

「スサ、ゴズ、ウサの発音はスーサー、ゴーズー、ウーサーでいいのですね。
スーサ―は海から来たのですか」
「ええ。海を越えて来た者です」

ここでいうシナイ山、すなわち六ケ岳の南に実際に宇佐という地名があり、こちらが大分の宇佐の前身だという伝承がある。かつて宇佐の巫女が六嶽神社に来て、「大分宇佐の方が第一の宮だ」と言いにきたあと、六嶽神社の宮司家は断絶したという記録があった。

ウーナは決行の前夜、村の女の子に首飾りが欲しいと言われた。それは首からははずせなかったので、月明りの中で見せていると、後ろから何者かに刺された。
それがウーナの最期だった。

<20200126>





「ウーナⅡ」を始めから読む
https://lunabura.exblog.jp/i260/


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Commented at 2020-01-27 16:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lunabura at 2020-01-27 20:21
ホント、お久しぶりです。
そのキーワードは今のところ、関連するものは出ていませんねえ。
Commented at 2020-01-27 22:22 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lunabura at 2020-01-27 23:27
あ、でも、ガードウって、それかも。猿田彦は祭列の前を歩くときにはそのお面をかぶる。
by lunabura | 2020-01-26 20:21 | 「ウーナⅡ」 | Comments(4)

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