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ひもろぎ逍遥

ウーナⅡ15 ルナシオン 折れた翼


白皇から魂のカケラを取り出した。

男が出て来て溜息をつきながら言った。
「ふう。このような時代になってしまった」

菊如は尋ねた。
「お名前は?」
「ルナシオン。月の女神アルテミスの元に、左右を挟む兄妹の一人として仕えた。

我らは兄妹として生まれたが、アルテミスの目を盗み、契りを交わし、女神の逆鱗に触れてこの地に落とされた。ルナーダと。 

アルテミスは今までの我らの貢献を認め、せめて人のためにと、神の使いの者として別々に地上に下ろした。

ただ私の方は地上で人間の女性に心を奪われてしまった。
そしてその娘と契りを交わし、片方の翼が折れてしまった。

ルナーダとのことは許されない。私の過ち。
しかし、心にぽっかりと穴が空き、ただいつか出会えるとの思いが残った。

わが翼はまだ片方折れたままだが、ルナーダがその役割を果たし、神の力が戻りし時、わが翼が戻るであろう。

かの人間の娘は、我らを引き離すためのサターンの使いであったことはのちに知った。
わが力はまだ元には戻らぬ。
ただこのルナーダの役目が終わりし時、わが力が戻ると信じる。
すまん、ルナーダ。
私は惑わされてしまい、そなたに会えぬ日々が私の心に隙間を作った。

私は船には乗れなかった。
ただルナーダがこの役割をいつか果たす時、我が力は戻り、すべてのことが元に戻る。私はそれを待つ」


「船には誰が乗ったのですか?」
「ガドゥたち13人の船か。あれは神たちが集めたメンバー」

「ウーマとルナーダは別人ですか」
「私はルナーダと呼んだ。船に乗った者は知らん。周りではルナーダと呼んだ。いろんな場所の者が乗っていた。どう呼んでいたかは知らぬ」

「ルナシオンは何故、死んだのですか」
「死んだ?死んだというか、神の使いではなくなったということ。普通の人間になったということ。それまでの形と違う普通の人間になった」

「だから乗れなかった?」
「ほとんどの記憶を消され、普通の人として生きた。ただ、記憶の片隅にふと思う事はある。心の傷として残るだけ。記憶はない。自ら選んだ結果、堕ちた事だ。そのカケラ、心の傷のカケラ。よう見つけてくれた。
いつかその日が来るのを、いつか必ず来る。神の怒りも解ける」

「人間として死んだあと、妖精の双子に生まれ変わったりしませんでしたか」
「私はまだ神の怒りから解放されていはいない」

「妖精で片割れが生まれ変わらずにいるのでは?」
「ルナシオンは自殺して、ギムロに生まれ変わった」

「ウガヤフキアエズに生まれ変わったのは覚えていますか」
「分からない」

「神の怒りは解けているのでは?リエは羽根のついたネックレスを持っていますよ」
菊如はリエにそのネックレスを掛けてみせた。
それを見てルナシオンはにっこりとし、「これで戻れた」と言った。

「心の傷をいやして本体に戻しましょう」
と言って、菊如は白皇にカケラを戻した。

ルナシオンは右の翼が折れていたという。

ルナシオンはギムロに生まれ変わって、ガードゥの船に乗った。
こうして二人は出会ったのだが、ルナーダが胸の中の蛾のせいで早くに亡くなり、互いに気づかずに終わった。

ルナシオンとルナーダはツインソウルだった。
ガードゥに必要かどうかは分からないが、神が望むのはツインで仕えることだったという。



<20200130>


「ウーナⅡ」を始めから読む
https://lunabura.exblog.jp/i260/


ウーナⅡ15 ルナシオン 折れた翼_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-30 19:32 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

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