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ひもろぎ逍遥

脇巫女Ⅱ48 アルゴラの王妃3 「マナの壺」と「マナイの壺」



「黄金の壺について教えていただけますか」

「雲を起こす壺です。水を張り、三日三晩祈ると、その水は未来を映し出します。
それで未来を見ていました。
時代の流れを見ていくのです。
その力を借りに来る者もいましたが、本当にこの日本の事を思い、民のために武器を持たずに来る人だけに会いました。

色んな国の人が来ました。
ある時、金の壺を探しているものたちがガタガタの船でやっとの思いでやって来ました。
私が儀式に使う壺を欲しいと。
何に使いたいのか尋ねると、自分たちの土地には水が無いので欲しいと。
この壺を渡すことはできないが、その者たちには代わりに私が使っていた金の皿を渡しました。
これに一滴、水を垂らすと水が湧き、祈りを三日三晩して土に埋めるとそこから泉が湧き出します。その皿を持たせました。
私が一度やってみせました。
これを見て私に賛同した者がこの地に留まりました。そして、共に来た者たちに金の皿を持たせて帰らせました。
この時、残った五人が共に埋葬されたのです。

この地のために。この世で困った者たちのために。
旱魃、日照り、雨が多い、そんな問題が起き、どうにか人が暮らせる地にならぬか、そういった問題に応え、その地に合った生き方を教えると帰って行きました。
かわりにこの地では採れないものと交換しました。鏡を置いて行く者もいました。

とても交流がありました。海外の者たちと集う場所というのは過言ではありません」


「その黄金の壺はどうやって手に入ったのですか」
「遠い昔、東の方より持ち込んだ者がいました。大きな地震があり、多くの者たちが死にました。
ある男がその壺を抱えたままま村の入り口に倒れていました。命からがら逃げてきた、と語り継がれています」

「その話は何百年も前の話ですか」
「ええ」

「マナの壺という壺のことは聞いたことがありますか。その事ですか」
「それが代々受け継がれています。守らねばなりません。私が預かるのが一番。マナの壺を持って倒れていた男から受け継ぎました」

菊如が尋ねた。
「それはもう一つセットで何か無いですか」
「もう一つの壺?一つしか伝わっていません。二つあるのですか。私が持っていたのは一つです」

――地震があって、男が持ち込んだというなら、それはカミラではないか。ウーナの時代の男だ。シナイ山の麓に隠されていた壺をカミラは地震の後、手に入れたのではないか、そんな疑問が湧いた。私は話を戻した。

「壺を持っていた男の名前は伝わっていますか」
「行きずりのボロボロの服で、かっぷくの良い男。こちらの者ではない見たことのない男だったと聞いています」

「カミラという名とか、アミラカミラとか、聞いたことはないですか」
「ああ、その男が最期に語った言葉がカミラかアミラか、呪文のように唱えていたと。
壺はこの地で手に入るようなものではありません。装飾がありました。元は赤か茶のような色の文字が書かれていました」

「黄金だけど、赤か茶色で文字か書かれていたということですか」
「ええ」
――やはり、カミラだ。ウーナの時代、ガードゥがエジプトで発見し、それを日本に持ち込んだ。シナイ山の麓に封印されていて、カミラとアミラが合わせ鏡で取り出すはずだったが失敗したと言っていた。
しかし、地震の後、カミラは成し遂げていた?

ここで菊如が尋ねた。
「マナイの壺というのは聞いたことがないですか?水が湧くという壺」
「聞いたことがあります。マナイの壺とマナの壺は違います。八所宮にあるのはマナイの壺です」

「そうですか。ひょっとして宗像の八所宮の真名井の池かと思いまして。あそこの地域は稲が枯れたことば無いと。そこで、ひょっとして、かな、と思ったんですが。それは知りませんか?
宗像の吉留は元々は海でしたが、旱魃も無かったと聞いておりましたので、ひょっとして真名井の池にマナイの壺があるのかなと、ただ思いまして。それとは違うんですね。別ですね」
「マナイは知りません。似た名前なんですね。あの時代の水は大事でした。真水が湧くというのはとても大事なことでした」

――これを聞いていて、私たちは壺について混同していたのを理解した。
壺には「マナの壺」と「マナイの壺」の二つがあったのだ。
ガードゥが持ち込んだのはマナの壺だ。カミラによってアルゴラの王妃に伝わった。
マナイの壺はその由来は分からないが、水の湧く壺で宗像市の八所宮の真名井の池にある。

かつて、ガードゥらの航海の時に、水はどうしたのかと尋ねたら水の湧く壺があると言っていた。
食べ物の湧く壺もあるらしい。

ドゥックらがエジプトから水の湧く壺の噂を聞いてはるばると桂川町にあるアルゴアまでやって来た。そしてアルゴアで見たのは黄金の壺で、王妃が持っていた。ドゥック等は探していた壺と王妃の持つ黄金の壺と勘違いしたのかもしれない。
王妃の持つ黄金の壺は「雲を呼ぶ壺」だと言っていた。そして「未来を映す壺」だと。

整理すると、
マナの壺:雲を呼び、未来を映す壺 エジプト→ガードゥ→日本のシナイ山→カミラ→アルゴアの王妃  
マナイの壺:水が湧く壺   ? → 八所宮        

そうすると、王妃が死んだあと、マナの壺は何処にいったのか。王妃はヒイラギに伝世したはずだ。ヒイラギが「金と月の光と水で祭祀をした」というのはこれだろう。
ヒイラギが死んだあと、その壺はどうなったのか。



<20200324>







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by lunabura | 2020-03-24 20:12 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(0)

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