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ひもろぎ逍遥

13 八咫烏 鎖は地底に続く



如月が「この印は私の魂の過去生からのもの。私は永遠に鎖につながれている。鎖に…」と言うのを遮って現れる者がいた。


菊如が「こんにちは」と挨拶したが、ソレは何も言わずに菊如を上目遣い(うわめづかい)で見、右の手で自分の膝をはらうばかりだった。


菊如が強く、

「何故に、この女性を苦しめるのだ」と言うとようやく答えた。


「もう、そろそろ、蓋を開けるか?お前たち」

と挑発した。


「どういうことですか。開けましょうか」

「その覚悟があってのことか」


「う~ん。どうでしょうかねえ」

「その鎖を辿っていけば良い。地の底に続く。

お前も感じておろう。その最後の蓋を開けるか。今この場で」


「必要であれば開くときに開くんじゃないですか。あなたはどなたですか」


「お前の話があるのはワシだ。ワシに話すことはないか。元の位置に戻って蓋を開けるなら、それで良かろう。ここまで来たのだからな」


私達には意味不明だった。怪しい雰囲気を醸し出す存在が出て来た。私達は単に関連者の話を聞いているだけなのに、いつのまにか地底の最後の蓋を開ける段階に来ているというのか。


菊如がどう答えるのか、見守るしかなかった。菊如はじっと精査しているようすだった。しばらくして言った。


「なんでこの人に懸かるのですか」

「行く末を見ておるだけだ」


「宮地岳の封印はあなたですか」

「宮地岳も六ケ岳も全部つながっている」


「その根拠は?」

「鎖が見えぬか。火の中から出ておる鎖がな」


「宮地岳に」

「ああ」


「燃えながら?」

「ああ。宗像三女神にな。

手を貸せ。ワシに繋がっていく鎖を辿ればよい。全容が見える」


その者は右手を菊如に差し出した。その手を取れば次の段階に進むことになる。

菊如はその手を取らずに言った。

「まだ、いいかな。宗像三女神に関係しているのですか」

「ワシが宗像三女神をな…」


「宮地岳系統の人?」


「ワシは、お前が名前を知っているかどうかは知らぬが。

あの辺一帯を守っている八咫烏と呼ばれる者だ。足三本の。聞いたことがあるだろう」


ソレは八咫烏と答えた。あまりに唐突で、私は状況が呑み込めなかった。

八咫烏と名乗る者は急に首を振り始め、一人で葛藤を始めた。


そして正座をした。八咫烏を押しのけて、女性が話し出した。


「私が全部お話しします」


如月ではなかった。


20210810




by lunabura | 2021-08-10 17:05 | ヒカリ | Comments(0)

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