2021年 08月 10日
13 八咫烏 鎖は地底に続く
如月が「この印は私の魂の過去生からのもの。私は永遠に鎖につながれている。鎖に…」と言うのを遮って現れる者がいた。
菊如が「こんにちは」と挨拶したが、ソレは何も言わずに菊如を上目遣い(うわめづかい)で見、右の手で自分の膝をはらうばかりだった。
菊如が強く、
「何故に、この女性を苦しめるのだ」と言うとようやく答えた。
「もう、そろそろ、蓋を開けるか?お前たち」
と挑発した。
「どういうことですか。開けましょうか」
「その覚悟があってのことか」
「う~ん。どうでしょうかねえ」
「その鎖を辿っていけば良い。地の底に続く。
お前も感じておろう。その最後の蓋を開けるか。今この場で」
「必要であれば開くときに開くんじゃないですか。あなたはどなたですか」
「お前の話があるのはワシだ。ワシに話すことはないか。元の位置に戻って蓋を開けるなら、それで良かろう。ここまで来たのだからな」
私達には意味不明だった。怪しい雰囲気を醸し出す存在が出て来た。私達は単に関連者の話を聞いているだけなのに、いつのまにか地底の最後の蓋を開ける段階に来ているというのか。
菊如がどう答えるのか、見守るしかなかった。菊如はじっと精査しているようすだった。しばらくして言った。
「なんでこの人に懸かるのですか」
「行く末を見ておるだけだ」
「宮地岳の封印はあなたですか」
「宮地岳も六ケ岳も全部つながっている」
「その根拠は?」
「鎖が見えぬか。火の中から出ておる鎖がな」
「宮地岳に」
「ああ」
「燃えながら?」
「ああ。宗像三女神にな。
手を貸せ。ワシに繋がっていく鎖を辿ればよい。全容が見える」
その者は右手を菊如に差し出した。その手を取れば次の段階に進むことになる。
菊如はその手を取らずに言った。
「まだ、いいかな。宗像三女神に関係しているのですか」
「ワシが宗像三女神をな…」
「宮地岳系統の人?」
「ワシは、お前が名前を知っているかどうかは知らぬが。
あの辺一帯を守っている八咫烏と呼ばれる者だ。足三本の。聞いたことがあるだろう」
ソレは八咫烏と答えた。あまりに唐突で、私は状況が呑み込めなかった。
八咫烏と名乗る者は急に首を振り始め、一人で葛藤を始めた。
そして正座をした。八咫烏を押しのけて、女性が話し出した。
「私が全部お話しします」
如月ではなかった。
<20210810>








