2021年 11月 22日
20 波折神社のセオリツ 魂は三つに分かれた
福津市波折神社の秋季大祭では、神輿が町を練り歩く。
2時からの大祭に遅れたが、到着したのは、ちょうど神輿が神社を出発するところだった。
神輿に手を合わせて見送ると、誰かが、神社に参拝しようと言った。
「神様は今、神輿に乗ってあるけど?」
と言いながらも、神は普遍だ。
神殿で参拝して戻ろうとしたら、崋山に何かが懸かった。
明らかに優美な女性だった。
話を聞こうにも、ここは神輿が戻って来る所なので、話を聞けない。私達は観光案内所に移動した。
その芝生に座り込み、改めてその女性から話を聞くことにした。
菊如は「お久しぶりです」と挨拶した。
その女性はセオリツだったのだ。それは神功皇后が生んだ双子の内の一人だった。
双子がタブーとされた時代だったため、秘かに育てられたのが女の子のセオリツだった。
セオリツは優雅に答えた。
「このような、世の為、こうして我が魂を信じ、お祭りをすること、ありがたく思っております。
私の在り処を様々な者たちが探しておりますが、私は本体ではありません。
本体は三つの分霊に分かれております。
この波折神社には分霊の一つが海の匂いと共におります。あと二体は封印され、一つは囚われの身となっております」
私は尋ねた。
「それは何処ですか」
「邪悪な者」
「六ケ岳ですか」
セオリツはうなずいた。そして語った。
「三女神とそなたらはいう。二女神とわらわ。よく考えておかれよ。
二女神はこの世に生をもたらす。
すべて私が背負い、囚われし。古代よりの邪悪な物に囚われしはわらわ。
わらわが身代わりとなり、二女神はこの世に生を受け、人として生きている。
六ケ岳の古代の魔物を押さえしわらわが本体は、その時、分かれた。
古代のわらわの御魂は三つの分霊として飛び散った。
この地にかけらとして。一つは波折神社、もう二つは潮の香りのする場所へ。
一つはワダツミの宮。
そして、もう一つもワダツミの宮に」
セオリツの本体が六ケ岳に囚われているという。
シナイ山(六ケ岳・むつがたけ)の魔物を封印しようとしたガードゥの代わりに三女神が身代わりとなった所までは分かっている。
その内、天の神はアマール、地の神はタゴール。
これにセオリツが関わっているのか。
六ケ岳の魔物を封印する時にセオリツの魂は三つに分かれて飛び散ったという。
その三ヶ所の一つがここ、福津市の波折神社ということだ。
それなら、あと二つは?
「糸島ですか?」
「ええ、ワダツミの宮」
「もう一つは小戸の宮ですか」
「いいえ」
菊如が念を押した。
「糸島市船越ですか」
「ええ」
一か所は糸島市船越の綿積神社だ。アジャーシタという玉依が珊瑚の中に封印されていた宮。そして、七つの珠を仕上げた宮でもある。
「もう一か所は何処ですか?」
「海に日の沈む場所。大きな赤い太陽が沈む場所」
「福岡市東区三苫の綿津見神社ですか」
「いいえ。海に日が沈み、私の世界となる」
「福津市楯崎神社ですか」
「いいえ。わらわはワダツミの宮に。住吉がらみで」
住吉なら、やはり小戸か。
「小戸神社?」
「いいえ」
「鐘の岬、織幡神社?」
「いいえ」
海が見え、夕陽が沈む神社。思いつく限りを言ったが、該当するものはなかった。
セオリツは地面に六ケ岳を書き、それを取り囲むように三角形を描いた。
その一つが波折神社。もう一つが綿積神社。そして、もう一つ。
もう一つは何処なのか。
あとで、地図で調べると、六ケ岳から見ると、波折神社と綿積神社はほぼ西の方に当たっていた。
六ケ岳を囲んだ三角形となると、苅田町(かんだまち)、行橋市(ゆくはしし)当たりの海岸沿いになる。
北九州空港周辺か。
北九州市の東にワダツミ神社があった。
かつての岬の上にあるようだが、果たして太陽が海に沈むのが見えるだろうか。
もしかしたら、山口県まで広げないといけないのだろうか。
「来年の竜宮祭までに三つの神社に行かれたし。ワダツミの神が力を貸してくれます」
とセオリツは言った。
「それでは波折神社はもう行かないでいいのですね」
と言うと、セオリツはうなずいた。
少し時間の余裕はあった。
「神の力で。私が身代わりになりました」
セオリツは人間でありながら、魔物の封印に関わったというのか。
「人でありながら、これほどまでに各地に祀られるわけは」
とセオリツは言った。
そういっても、時間軸が異なる。
ウーナの時代なのか。脇巫女の時代なのか。
一つ分かったようで、また一つ謎が増えた。
読者の方にお願いしよう。
もう一つのワダツミの宮の候補地探しを。
海に沈む夕陽が見えて、ワダツミの神、志賀神が祀られている宮。
それは六ケ岳を中にして、波折神社と綿積神社と三角形を成す所にある。
<2021122>

中々バスハイクなどタイミングが合わないまま時が流れまくってしまいました。
夕日の沈むのが見える神社…。
他ニ社との位置関係は分かりませんが門司の和布刈神社に行く時、夕方近くの参拝になるんですが沈む夕日が神事の時の階段にまで光の道を作るのをボ〜っと見ている風景と今回のセオリツちゃんの言ってた風景がダブるのでコメントさせて戴きました。
確か御祭神にも瀬織津媛の名前もあったなって。
自分の物語を繋いで一人で色々旅をしてます。その際にこちらのHPに出会いました。次の目的地は山口、北九州になりそうだとメッセージを受取り、色々調べている時に記事を見たのでご連絡しました。候補になるかは分かりませんが、下関市一の宮住吉神社が気になりました。夕陽というキーワードだと、福徳稲荷神社(志賀神ではなさそうですが)も引っ掛かりました。
講座も受けたかったのですが、神奈川なので断念しました。微力ながら応援しております。
気になる神社がありましたので 参考までにコメントします
大分県 中津にある 闇無浜神社です
波折 綿津見 そこ の3箇所を繋ぎ結界を張ると ガトゥや脇巫女 また ヒカリの舞台、香春町など 全てが入ります
御祭神には 瀬織津姫 綿津見神も入っていると思います
よろしければ 一度 当神社をグクっていただいて コメントされている方の記事をご覧になって下さい
確か 夕日の画像がありましたよ☺️