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ひもろぎ逍遥

ウーナⅡ43 第八王子ラサエル② 「もう一つの部屋」風と黒い魔物



ここで菊如が何かを観たらしい。第八王子ラサエルに尋ねた。


「星の出ている日に、人間じゃない、金色のヘアバンドをした人、みんな白なのに、金なの。その人に会わなかった?」


その人はクーフィーヤ(布)を頭から被って金色のヘアバンドをし、あごひげがあった。顔は平井堅ふうだ。


ラサエルの方が尋ねた。

「寝てる時?」


「記憶にない?」


「あれは人間ではねえ、あれは幻の王」


「王家の方なのに、その人は金。そこを作った人ではないかしら。剣を持って。夢見たりしなかった?」


「剣を手に入れてから、色んなことが頭に流れ込んだ。夢か、現実か、何も分からない。その男の人が持ち主ってこと?」

「分からない」


「剣を手に入れたら、いろいろ流れ込んで。

聖杯も大事だったけど、『風』をどうにかしたかった。それが先だった。


剣を持つと、想像したことのない言葉、呪文が勝手に出てくるんだ。

行ったことのない地域や動物、知らないはずなのに、行くと知ってる。


『風』の正体を知りたかった。

風が吹く満月の夜、剣を持って待った。


竜巻が吹いた時に剣を持って立った。表に出たら暗闇の中ですごい竜巻だ。

剣が青く光った。使える!

オレは向かって行った。


次に目が覚めるとあのピラミッドの地下にいた。


剣の間の手前で右に曲がると一つの部屋があった。

レンガで出来た部屋に大きな石の台座、50センチくらいの、がある。


ちょうど真ん中に線があって、剣を挿すようになっている。

剣を挿して十字に切ると、パカッと開くんだよ。


砂漠の風を起こしているヤツと、対決出来るんではないかと思った」


「鍵を閉めればいいんでしょ」


「そうなんだ。でも、鍵がねえんだよ。

鍵は2つある。王家に一つある。もう1個はどこにあると思う?」

「ヴァル?」


「そう!すげえだろ。

ヴァルに一緒に来てもらって、剣を挿して鍵をはずし、台座を開けた。


大きな風と共に黒い魔物たちが沢山入って来て、部屋に充満し、流れていった。

オレはこわくなってヴァルと共に逃げた。


オレは事を大きくしてしまった。


でも、お前、その鍵を閉めてくれただろう?

次の満月の時、聖杯を取りに行くことを決めた。


そんな事をしたオレだぞ。

ヴァルが涙をを流したんだよ。

行かねば。


たくさん悪い事をして来たし、邪魔をして来たし、自分を良いと思わないし、そんなオレでもヴァルの役に立つんだ。


オレは、このドアは二度と出れぬかも知れねえと思ったけど、ヴァルと過ごした時間は  貴重だった。アイツを良い人と思えたし。


生まれた意味はねえ、と思っていたのが、役割があるかも知れねえと思った。

後悔ねえなあと思えたから、ドアを閉めた。


どのくらいかな。ヴァルと居たのは。

ヴァルに挨拶して中に入った。


中に入って、暗闇がいっそう暗くなった。


オレのまわりをぐるぐるまわるものが出ている。50センチぐらいの。


生まれた頃の映像とか、八番目だが、王が結構喜んだこと、オレがしたことを全部見せられた。

ここで口に出すのも恐ろしい事も、全部表に出された。


でも、そんな人間と思ってたから、分かっていたし。

でも、ヴァルがオレに頼んだから、やった。


『オレは人間だ。すべての力を手に入れようとは思わない。だが、力が必要だ。そのためにお前たちの力を貸せ』

思いっきり叫んだ。


すると、まわるものが消え、光が差し…、聖杯がそこにあるんだよ。

入った時、そんなのなかったよ。


それを手に取った時、後で分かったけど、手に持ち上げたら、五センチぐらいの石がガタンと上がった。


ドアを開け、ヴァルに報告した時、揺れが来て、台座から崩れて行った。

あわてて逃げるだろ、でも、両方手に持っていると上手く走れなくて」


「今も持ったままね」

「うん。これを認識すると、とても危険」


「狙われる」

「ああ、この時まで公には出来なかった」


菊如がさらに言った。

「もう一つの映像が観える。

川じゃなくて溝みたいになっている。金と黒が混ざるもの。動いていった」

「鉱物か」


「金のドロドロしたものと黒のドロドロしたもの。ヴァルサムと何かやった?見た?」


「三十センチ幅の細長い溝。金とウランが豊富。

地下しかないではないか。黒の方がこの先役に立つが、金と技術が必要だ。

表に出まわっていない。


私達の知識では、それが砂にしか見えない。何なのかは分からない。

黒は火に当てると増える。攪拌するとゴムのよう。

金7割、黒3割。左から右へ流れた」


「混ざらないけど」


「普通は液体。火で温めると、ゴムのような耐久性を持つ。

寒い所では元の液体に戻る。


その特性を生かして暑い国で役に立つ、技術ができるのではないかと、ヴァルは考えた。


技術が必要。大きく掘る必要はない。10㌢の筒。上がって空気に触れると固体になる。金は山のようにある。害もある」


このあと、第八王子の転生者、三輪自身が尋ねた。


第八師団、首を斬られたやつ、風についてだった。第八王子は答えた。


「蓋を開けてしまった。この前、閉めてくれた。それまで吹かせたままにしていた。


今この時にしか表に出せないこともあって、この前は先にお前が蓋を閉めてくれて、私の罪を補ってくれた」


剣を挿した部屋はそれから蓋が開いたままで、最近閉じられたようだ。


また、三輪は今も聖杯と剣を持っているという。



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ウーナⅡ43 第八王子ラサエル② 「もう一つの部屋」風と黒い魔物_c0222861_15441632.jpg


by lunabura | 2022-01-27 17:58 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

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