2022年 01月 27日
ウーナⅡ43 第八王子ラサエル② 「もう一つの部屋」風と黒い魔物
ここで菊如が何かを観たらしい。第八王子ラサエルに尋ねた。
「星の出ている日に、人間じゃない、金色のヘアバンドをした人、みんな白なのに、金なの。その人に会わなかった?」
その人はクーフィーヤ(布)を頭から被って金色のヘアバンドをし、あごひげがあった。顔は平井堅ふうだ。
ラサエルの方が尋ねた。
「寝てる時?」
「記憶にない?」
「あれは人間ではねえ、あれは幻の王」
「王家の方なのに、その人は金。そこを作った人ではないかしら。剣を持って。夢見たりしなかった?」
「剣を手に入れてから、色んなことが頭に流れ込んだ。夢か、現実か、何も分からない。その男の人が持ち主ってこと?」
「分からない」
「剣を手に入れたら、いろいろ流れ込んで。
聖杯も大事だったけど、『風』をどうにかしたかった。それが先だった。
剣を持つと、想像したことのない言葉、呪文が勝手に出てくるんだ。
行ったことのない地域や動物、知らないはずなのに、行くと知ってる。
『風』の正体を知りたかった。
風が吹く満月の夜、剣を持って待った。
竜巻が吹いた時に剣を持って立った。表に出たら暗闇の中ですごい竜巻だ。
剣が青く光った。使える!
オレは向かって行った。
次に目が覚めるとあのピラミッドの地下にいた。
剣の間の手前で右に曲がると一つの部屋があった。
レンガで出来た部屋に大きな石の台座、50センチくらいの、がある。
ちょうど真ん中に線があって、剣を挿すようになっている。
剣を挿して十字に切ると、パカッと開くんだよ。
砂漠の風を起こしているヤツと、対決出来るんではないかと思った」
「鍵を閉めればいいんでしょ」
「そうなんだ。でも、鍵がねえんだよ。
鍵は2つある。王家に一つある。もう1個はどこにあると思う?」
「ヴァル?」
「そう!すげえだろ。
ヴァルに一緒に来てもらって、剣を挿して鍵をはずし、台座を開けた。
大きな風と共に黒い魔物たちが沢山入って来て、部屋に充満し、流れていった。
オレはこわくなってヴァルと共に逃げた。
オレは事を大きくしてしまった。
でも、お前、その鍵を閉めてくれただろう?
次の満月の時、聖杯を取りに行くことを決めた。
そんな事をしたオレだぞ。
ヴァルが涙をを流したんだよ。
行かねば。
たくさん悪い事をして来たし、邪魔をして来たし、自分を良いと思わないし、そんなオレでもヴァルの役に立つんだ。
オレは、このドアは二度と出れぬかも知れねえと思ったけど、ヴァルと過ごした時間は 貴重だった。アイツを良い人と思えたし。
生まれた意味はねえ、と思っていたのが、役割があるかも知れねえと思った。
後悔ねえなあと思えたから、ドアを閉めた。
どのくらいかな。ヴァルと居たのは。
ヴァルに挨拶して中に入った。
中に入って、暗闇がいっそう暗くなった。
オレのまわりをぐるぐるまわるものが出ている。50センチぐらいの。
生まれた頃の映像とか、八番目だが、王が結構喜んだこと、オレがしたことを全部見せられた。
ここで口に出すのも恐ろしい事も、全部表に出された。
でも、そんな人間と思ってたから、分かっていたし。
でも、ヴァルがオレに頼んだから、やった。
『オレは人間だ。すべての力を手に入れようとは思わない。だが、力が必要だ。そのためにお前たちの力を貸せ』
思いっきり叫んだ。
すると、まわるものが消え、光が差し…、聖杯がそこにあるんだよ。
入った時、そんなのなかったよ。
それを手に取った時、後で分かったけど、手に持ち上げたら、五センチぐらいの石がガタンと上がった。
ドアを開け、ヴァルに報告した時、揺れが来て、台座から崩れて行った。
あわてて逃げるだろ、でも、両方手に持っていると上手く走れなくて」
「今も持ったままね」
「うん。これを認識すると、とても危険」
「狙われる」
「ああ、この時まで公には出来なかった」
菊如がさらに言った。
「もう一つの映像が観える。
川じゃなくて溝みたいになっている。金と黒が混ざるもの。動いていった」
「鉱物か」
「金のドロドロしたものと黒のドロドロしたもの。ヴァルサムと何かやった?見た?」
「三十センチ幅の細長い溝。金とウランが豊富。
地下しかないではないか。黒の方がこの先役に立つが、金と技術が必要だ。
表に出まわっていない。
私達の知識では、それが砂にしか見えない。何なのかは分からない。
黒は火に当てると増える。攪拌するとゴムのよう。
金7割、黒3割。左から右へ流れた」
「混ざらないけど」
「普通は液体。火で温めると、ゴムのような耐久性を持つ。
寒い所では元の液体に戻る。
その特性を生かして暑い国で役に立つ、技術ができるのではないかと、ヴァルは考えた。
技術が必要。大きく掘る必要はない。10㌢の筒。上がって空気に触れると固体になる。金は山のようにある。害もある」
このあと、第八王子の転生者、三輪自身が尋ねた。
第八師団、首を斬られたやつ、風についてだった。第八王子は答えた。
「蓋を開けてしまった。この前、閉めてくれた。それまで吹かせたままにしていた。
今この時にしか表に出せないこともあって、この前は先にお前が蓋を閉めてくれて、私の罪を補ってくれた」
剣を挿した部屋はそれから蓋が開いたままで、最近閉じられたようだ。
また、三輪は今も聖杯と剣を持っているという。










