2022年 04月 11日
24 脊翁律(せおりつ)1 綿積神社にて
2022年4月9日。
前回動いたのが昨年の10月10日だったので、ちょうど半年経っていた。
セオリツの三つに分かれた魂を見つけ出して、一つにまとめ、竜宮社に持っていく期限が一か月後に迫っていた。
三つの分霊。
一つは福津市の波折神社。
一つは糸島市の綿積神社。
もう一つは不明のままだった。
「潮の香りがして夕陽が海に沈む所。住吉がらみで。ワダツミの宮」
しかも、六ケ岳を囲む一点。
この条件の神社を読者の方も調べてくれて、有り難かった。
糸島に行って、分霊に尋ねれば、もう一つは簡単に分かる。
そう思ったが、糸島は「ワダツミ」の始まりの場所であり、七つの珠の奉納の最後の場所でもあったので、今回も仕上げの場所になるのではないかという気がして、動き出せなかった。
しかし、三つ目が分からない以上、先に糸島に行って、セオリツに教えてもらうしかない。もし、糸島が仕上げだとしたら、また行けば良い。
そう決めた。
私は私で、最近、何度も何度も心に浮かぶ場所があった。
磐井の連載を書きながらも、その場所をどうしても書きたくて、話題を変えた程だった。
その場所というのが、「アチメの浦」だ。
二人を連れて行きたいと思った。
それは福津市の勝浦漁港から北に向かっていく岬の西側の浜にある。
神功皇后が住吉の神と共に訪れて、肉(しし)落ちの禊をしたという浜辺だ。
ただし、神社が無い。
しかも、六ケ岳を囲む三点からははずれる。
以前、その場所についてはブログに書いたが、風と波が強く、波が打ち寄せるたびに石がゴロゴロと音を立てながら、寄せては返す、そんな厳しい場所だった。
私は、菊如と崋山にそれぞれ「神功皇后が肉落ちの禊をした浦」とラインを送った。
ふふ。
これなら二人は気になって行きたいと思うだろう。
それから話し合って、先に糸島に行って、アチメの浦に行くスケジュールを立てた。
もし、アチメでなければ、それはそれで良い。
そして、4月9日。
まずは糸島市志摩船越の綿積神社に行った。
海と桜の名所だが、桜がまだ残っていた。
チラチラと花びらが舞う。
参拝を済ませて境内をそぞろ歩きして、アジャーシタが籠っていた珊瑚の前に出た。
崋山がそこから動かない。
菊如は「どうやって封印を解けばいい?太祝詞?君が代?」と言う。
私は「君が代、やって」と言った。
菊如が君が代を歌うと、崋山は正坐し、「もう一度、君が代」と言った。
二回目の君が代を終えると、崋山にはたおやかな女性が懸かっていた。
<20220411>