2022年 05月 09日
26 脊翁律(せおりつ)3 人間の魂の輝きが神々の力になる
私はセオリツに尋ねた。
「造り固めについて、ワダツミの神と話し合いをされるのですか」
「私はワダツミの神とは話をしない。この先々の結果がどうなるか分かりません」
「ワダツミの神は大島に封印されていましたが、七つの珠で封印を解きました。それで終わりではないのですか」
「終わりではなく、最終章です。
ワダツミの話を復活させることがメインではなく、私を出すことが最終章です。
代々、八百万の神を名乗る者、あるいは人間で八百万の神となる者がいるのも間違いではない。
神降ろしをする者は多々ある。
巫女の役目として神降ろしの出来る子、それがいつしかセオリツ姫と呼ばれるようになる。そして、今使われている瀬織津という文字になることも。
本当のセオリツとは男でも女でもありません。
この宇宙、地球そのものなのです。
ワダツミの神が封印され、私も三方に別れました。私は封印では無く、身を隠しました。
三つに分かれた分霊として、最後のひとしずくを分けました。
ただ、私の本体はあの山の奥へ」
「あの山とは六ケ岳のことですね」
「ええ。あの山に巣食う者を排除しなければなりません。
それにはワダツミの力が。人間の力も要りましょうぞ。
腕っぷしではなく、自分が何かを知り、力強く生き抜こうとする力。
その、すべてのもの、自分をも、きちんとした眼(まなこ)で見れる心、それが人間の強さです。
どういう状況であれ、生き抜こうとする者。
魂の輝きが力になるのです。
私を三体集め、ワダツミの神の元へ。
あとは、私達に任せればよい。
その後、私の本体は大海原の沖ノ島に帰ります。
あとは三体集めた時、話をしましょうぞ」
「三体とは、一つは波折神社、そしてあなた様ともう一つ、となりますが、もう一か所は何処ですか。
年毛(としも)神社ではありませんか。
以前、夕陽が沈む、ワダツミが祀られる所と言われましたが、年毛神社の北にあるアチメの宮ではありませんか」
「アチメですね。アチメと聞こえます」
「そこにはワダツミの宮は無いんですけれど、目の前が海です。勝島があってその先に大島が見えていますが、アチメで良いですね。
じゃあ今日行けます。今は神社がないけれど、行けば分かりますね。
ところで、六角形の箱の中には、もうすでに応神天皇のへその緒が入ってるんですよね。それに加えていいですか」
「応神のへその緒は取り出して、私のへその緒を入れてください。そのまま、ワダツミの所へ。
応神のへその緒を依代(よりしろ)に入れて、時が来たら、ジングウの宮へ」
「ジングウの宮とは?」
神功皇后を祀る宮は百社以上ある。その中で香椎宮が思い浮かんだ。
「香椎宮でよろしいですか」
「ええ。香椎の宮は神功皇后が唯一、心やすらかに、穏やかに過ごせた場所でした。香椎の宮へ。ジングウの魂と共に、応神のへその緒を持っていけばよろしい。応神は静かに眠っておられます。
箱には私のものを入れて竜宮へ。
大島の全てが終わりし時、私は沖ノ島へ帰ります」
「もともと沖ノ島におられたのですか」
「長い年月をかけて変化をしました。私もそこにずっといる訳ではありません。
ある意味、沖ノ島は宇宙の始まりと繋がっているような場所。
今度はほんとに神宿る島になりましょうぞ。
今は空き殿があるだけです。
形で表した、空と海が重なる場所。ラセンの階段がある」
「遠い昔話、そこはワダツミの神の妻の宮殿と聞いたんですけど、それは本当ですか」
「ええ。ワダツミの神の一族が住む屋敷でした。
ワダツミの宮殿とは、人間の意識が一つの頃、一族で一つの国で、とてつもない広さの国が当たり前の頃の、海の中で暮らす者たちの宮殿。
陸地で生きて過ごす者よりも長い年月、人間は海の中で暮らしていたのです。
そこから分かれて行った。
そこから分かれて地面で過ごすようになりました。
海の底が先なのです」
<20220509>








