2022年 10月 16日
ウズ3 葛子の名の由来は
「勝村、勝頼さんと井田勝守さんが一時期はここで一緒に育ったと言うことですか」
「ん」
「そして、それぞれ別の所に移った。勝守さんはここに残って、宮地嶽が縁で一緒に祀られたということですね。勝頼さん達は阿部さんですか」
「ん」
「勝頼さんのお父さんは葛子さんですか」
「ん。私の父は腹違いの弟」
ということは、血のつながらない兄弟というのは、いとこ同士ということになるか。
「葛子さんの名前、本当の名前をご存知ですか。葛子の意味は何ですか」
「葛子と言うのは、奇(クズ)の御魂(みたま)のクズ。クズの御魂の力があるとのことでクズコと名前をつけた」
「クズの御魂の子という由来でクズコとしたのですね。漢字で書けば、「奇」。奇(くす)しきという、不思議な御魂の力、霊的に不思議な力があった、ということですね」
「ん。
ただ我々はその力だけではこの家は突発の時に全てを捧げることができぬ。
その力を持ちつつも、今この世で肉体を持っている人たちに分からせるためには、別のものが必要だ。
それわれわれはそういう祖母、また神々の力も分かりつつ、この家で、この位置を通して切り開いていく道を選んだ」
勝守はこの場で神と繋がりながら、人間としての道を切り開いたようだ。
このあと、勝守は三人の名を彫った石について語った。
「あの名前3人の名前を刻んだもの。あれはもっと昔、我々の時代に、あの位の大きさの石に名前を彫った。
三人の名前を彫った石。
我ら三人の誓いの意味として、ここの場に石に我々三人の名前を彫ったものを置いた。それを誰か見た者がああいう風にしたのであろう。
三人がここに留まったわけではない。一つの我々の誓いの場ということで、石に名前を刻んだ。だからわれわれは神でも何でもない」
「そういう力、神とつながる力があったものの、現実にはこの地を切り開き、先程言われた結界、ウズの結界を張られたって言うことですね」
「結界なんぞ張れるのは選ばれし者にしかできぬ。答えはない。
残念なことにわれらは選ばれし者ではない。多少の霊感があったとしても、それは主にするものではない。
ウズの専門家がいないと。専門家に任せる役割というものがある。
それを超えてすることは神の神ではない」
「でもそのアイディアはカツノお婆さんからですね。祖母の方が守るために。それは日本全体というより九州の意味が大きいのではないですか」
「ああ。九州が滞れば日本なんぞあっという間である。
九州が元気であるから日本はすごく、全部元気であると言っても過言ではない。
九州が取られてはいかん。九州が元気でなければいかん。そういうことである」
「それは昔も今も一緒だと言う事ですね」
「だから私は神でも何でもない。ただ宮地嶽がまだここにあって、我々に感謝し得る者たちが私の名前を残してくれたという場所である。別の所に行ったが一緒にということである」
「分かりました。今日はありがとうございました」
「ん。今日はよき1日である」
勝守は満足げな表情をして、遠い眼つきをした。
「それではありがとうございます」
感謝を述べると、勝守は崋山から離れて行った。
三人の名が彫られた石。
それは、もともと勝守と勝村、勝頼の誓いの石だったという。
それを誰かが今の形にしてここに残した。
そのお蔭で歴史に名を残さぬ勝守の名が伝えられた。
三人は九州を守るための結界の要の地にそれぞれ移って、倭国を守った。
その三点とそれぞれの宮地嶽神社と絡ませながら渦の結界が張られた。
ふと、思ったが、九州は勾玉の形をしている。
その形のように結界が張られたのかもしれない。
「脇巫女」以来、断片的に見つかった祭祀ラインはその一翼を担っていたか。
勝守はそれを発見してほしいとは言っていないが、もし見つかって、祈るべき人が祈れば、日本の危機も免れるのかもしれない。
後で、崋山が「カツノは巫女として、とても力があった。飯塚に嫁いだが、子は生まれなかった。その後、福津市の総本社の宮地嶽神社に移った」と言った。
そこにいた時に結界が張られたという。
時代から計算すると、おそらく西暦500年代の後半だ。
その後、宮地嶽古墳が造られた。
勝村、勝頼の功績は伝わっていないが、神社の祭神として祀られたのは、よほどの活躍があったからだろう。それは父の葛子の采配が大きい。
百済の聖明王の救援依頼に応えたのが葛子だ。
葛子はもう一人の子、鞍橋君を百済救援のために送った。
「筑紫君磐井をたずねて」の第四回ではその全体を通して描いている。
磐井君は豊国や火国と通婚して平和裏に倭国の強化を図った。
磐井君が死んだあとの葛子の大活躍が倭国の歴史だと言っても過言ではない。
残念ながら、崋山を通して勝守から聞いた話は、史料が出ない限りは歴史的事実として語ることはできない。
それが惜しまれるが、見えない世界を知る私達は、裏の世界として、これを知っておけばいいのだろう。
「渦の結界」が見つかるかどうか。これは、皆さんの協力があれば可能だろう。
何か小さな思いつきが生まれたら、コメント欄に書いていただけたらと思う。
<20221016>










