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ひもろぎ逍遥

万葉 534,5 采女を愛してしまった 



安貴王(あきのおほきみ)が因幡(いなば)の八上采女(やかみのうねめ)を妻にした。


安貴王は采女をとても愛した。


ところが、采女は後宮で天皇に仕える身分。


采女を勝手に妻にした事が発覚して不敬罪となり、八上采女には帰郷命令が出た。

妻が忘れられない安貴王は悲しんで歌を詠んだ。


534

遠妻の ここにあらねば 玉鉾の 道をた遠み

(とほづまの ここにあらねば たまほこの みちをたとほみ)


思うそら 安けなくに 嘆くそら 安からぬものを

(おもうそら やすけなくに なげくそら やすからぬものを)


み空行く 雲にもがも 高飛ぶ 鳥にもがも

(みそらゆく くもにもがも たかとぶ とりにもがも)


明日行きて 妹に言問ひ わがために 妹も事無く

(あすゆきて いもにことどい わがために いももことなく)


妹がため われも事無く 今も見るごと 副ひてもがも

(いもがため われもことなく いまもみるごと たぐいてもがも)


【訳】

遠く離れた妻が ここにいないので 道が遠すぎるので

お前を思えば 心は穏やかでおられず 嘆けば つらすぎる


空行く雲になりたい 高く飛ぶ鳥になりたい

明日には行って お前を訪ねたい 私のために お前も無事で


お前のために 私も無事で 今も逢って 一緒にいたい


反歌

535

敷栲の 手枕巻かず 間置きて 年そ経にける 逢はなく思へば

(しきたえの たまくらまかず あいだおきて としぞへにける あわなくおもえば)


【訳】

お前を腕に抱いて寝ることもなく 時が流れて 一年経った 逢えないと思うと辛すぎる


采女(うねめ)とは、天皇の側近くに仕えて食事などのお世話をする者で、貴族や地方豪族が子女を献上していた。


当時は13歳から30歳ぐらいの采女がいたという。


采女は天皇しか触れることが許されぬ身分だが、安貴王は八上采女を見初め、勝手に連れて帰ったのだろう。


妻として寵愛したが、発覚して不敬罪となった。


采女と密通した罪は重く、処刑された者もいる。


安貴王の場合は、皇族だったから謹慎程度で済んだのだろう。


八上采女には帰郷命令が出て、離れ離れになってしまった。


妻と愛し合う日は、もう二度と戻らない。


<20221110>




by lunabura | 2022-11-10 13:10 | 万葉・日本書紀の風景 | Comments(0)

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