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ひもろぎ逍遥

ワダツミ42 相島 立岩 海亀の記憶




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私たちは立岩の海岸に降りようと、道に迷いながら剣神社の前の急な山道を降りて、ようやく海岸に出た。


丸い人頭大の石がゴロゴロとずっと続く。

歩きにくくて仕方がない。


累々たる石の向こうにある立岩は近くから見ても海亀に見えた。

石の浜に座って対岸を見ると、照葉のマンション群や糸島など、福岡市内がよく見えた。

そして、先ほどまでいた若宮神社の前の港もよく見えた。


崋山が言った。

「豊玉姫は若宮神社からこの立岩に来ていたんよ」


私は尋ねた。

「それは、海亀を弔うため?」

「そう」


「船に乗って?」

「海亀に乗って」


「年に一度とか?」

「そう」



だから、崋山はずっとこの立岩を見ていたんだ。

豊玉姫は干珠満珠を司る女神。海亀もまた司っていたのだろう。


役目を終えた海亀の終焉の地がここだという。

 


また、崋山は、

「この島は優しい。豊玉姫がいつくしんでいた」

と何度も繰り返した。




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立岩の右手に回って見上げると、こちらからも優しい目をした海亀に見えた。


そして、アリサが岩に登るためのロープを見つけた。

ロープの強度を確かめている様子だったが、どんどん登って頂上から顔を覗かせた。


崋山も、登って行った。


私も……と思ったが、頂上は狭そうだったので、二人が降りてから登ろうと思ったが、機を逸した。



崋山が

「ここから夕陽を眺めたい」と言う。


「そうね、冬なら夕陽を見て、フェリーに間に合いそうね」

と、返事しながら、「冬は寒かっぺ」と考えていた。


帰りもゴロゴロ石に足を取られながら苦戦した。


バスハイクでは、みんな行きたがるかな。

でも、大変過ぎる。


どうしよう。ま、その時のみんなの気分で決めようと考えながら道路に戻った。


(みんな、どうする? フェリーの時間があるからね……)


20230323


 ワダツミ   
  
 
異世界小説  ワダツミ42 相島 立岩 海亀の記憶_c0222861_15184581.gif

by lunabura | 2023-03-23 20:07 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

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