2026年 01月 06日
サザンカとメジロ

サザンカが満開の季節になると、ついつい七分咲きのものを探してしまう。

そうそう、この大きさの花だ。これが毎日玄関先に落ちていた時期があった。
不思議に思っていると、メジロがチルチルチル~~と鳴いて、存在を知らせてくる。私が彼らを見つけて手を振るまで鳴くのを止めなかった。
メジロと交流するようになったのは、五年前のことだ。
メジロはもともと三兄弟だった。
毎朝、三羽で梅の木で楽しそうに遊んでいた。
ある日の午後、一羽が交通事故に遭ったのか、道路に横たわっていた。
私がそのメジロを片付けに行くと、残りの二羽が道路に降りて心配そうに仲間を見ていた。私は裏庭の花壇に埋葬した。
メジロたちはそれからも二羽でやって来たが、一週間経った頃、雪が降り積もったので、ミカンを梅の枝に乗せてみた。彼らは喜んでついばんだ。
気付くと、30センチほど目の前にいても、逃げようとしない。
それからだ。私が庭に出ると、チュルチュルチュルチュル~ と何処からか長鳴きするようになった。
訳すと、「出て来たよ、来たよ」という感じかな。
いや、「こっちだよ」という意味かな。
姿を見つけて手を振ると、鳴くのを止めた。
私が道路に出ると、何処からか飛んで来て、チョコチョコ歩いてみせ、近くの木に留まって素敵な姿を見せてくれることもあった。
彼らは、いつもヒヨドリに追い払われていて、私がいるとヒヨドリが逃げるので、安心しているのだろうと思った。
しかし、時々サザンカが落ちているのを見かけるようになってから、考えが変わった。
サザンカは散る時、花びらを散らすので、七分咲きの花が落ちることはないのだ。だから、落ちたサザンカを続けて見かけるようになって、私は彼らの気持ちだと思うようになった。
七分咲きのサザンカは、一番力がみなぎって美しい。そんな花を選ぶセンスに、メジロは美を見極める力も持っていることを教えられた。
そんなメジロたちも、桜だよりが聞こえ始めると、何処かにいってしまう。
サザンカより桜の方が好みらしい。
淋しい思いをしていると、ある日、例の鳴き声がした。
見ると、梅の木に二羽並んでこちらを見ていた。すぐ目の前だ。
「ああ、季節の別れに来てくれたんだね。」
そう言って手を振った。
やはり、その日を境に姿を見せなくなった。
それから私は七分咲きのサザンカを愛でるようになった。
そして、サザンカが満開になると、彼らを待つようになった。
今年も会えるだろうか。
サザンカの中で。
<20260106>









