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ひもろぎ逍遥

2018年 06月 22日 ( 1 )

ウーナ56 七つの珠18  サワラビメのミコト1



ウーナ56

七つの珠18  

サワラビメのミコト1
 



その日は白皇の右目が初めから変だった。

ワダツミの神の話が終わって一段落すると、
白皇は敵対するような眼つきになった。

「ジンムか?話を聞くゆえに、その者を解放せよ」
と、菊如が言うと、その存在は崋山に懸かった。

その男は両手で誰かの首を絞めるような動作をし、
「ひと~つ。ふた~つ。みいっつ。
ひと~つ。ふた~つ。みいっつ」
と低い声で挑発するような物言いをした。

菊如は言った。
「鐘を鳴らしながら来られたんですね。銅鑼(どら)のような」
それを聞くと、男はすばやく剣を抜く構えをした。


菊如は「どちら様ですか」と尋ねた。
「我に何を尋ねる」

「菊如と申します」
「我の邪魔をするでない」

「どんな邪魔ですか」
「あの宮はわれらの物」

「どちらの方から来られたんですか。あの宮に」
「我らは海よりあの宮にやって来た」

「周りは海だったんですか。干潮と満潮の差が激しい所だったんですか。何ゆえに来られたのですか。どなたかいらっしゃいましたか。多くの者が見えますけど」
「わしの仲間か」

「いえ、もともと居た」
「あそこに住んでいた者のことか。
あの一族?
海を自由に操る一族。
海神族。
そう我らは聞いておる。我らの行く手をはばむ一族」

「大きな一族のようですね」
「ああ。一説には海の底で暮らしている者が上がって来たとな。
海の底にある宝をた~んと持つ、不思議な一族だとな」

「あなたのお名前は?」
「わしの名はジンムではない。ジンムは動かぬ」

「イワレビコですか」と私は尋ねた。イワレビコとは神武の本名だ。
「イワレビコではない。わしの名はサワラビメのミコトだ」

「ウガヤフキアエズをご存知ですか」と菊如が尋ねた。
「ウガヤフキアエズか。あの地を去った。自分で去った。
去ったのか?
去って何処に行ったのじゃ。
ウガヤフキアエズは去ったのか?」

「去ってないのですか?それはどういうことですか?」

訳の分からないことを言い出した男は白皇に向き直って言った。
「そなたは去ったのか。あの地から」
含み笑いをしていた。

「殺されたのですか?」
と菊如が尋ねると、男は笑った。


20180622

異世界小説






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by lunabura | 2018-06-22 23:45 | 「ウーナ」 | Comments(6)

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