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ひもろぎ逍遥

2019年 11月 04日 ( 1 )

脇巫女Ⅱ 25 スクネ再び


脇巫女Ⅱ


25 スクネ再び



2018年14日。
崋山に頭痛をもたらす原因の者が現れた。

菊如が挨拶した。
「こんばんは。前もそうやって出て来られましたね。
どちら様ですか。スクネさまですか」
男は左手を振り、頭をかきむしった。

「どうされましたか」
男は床を叩き苦しんだ。
「最後の最後に。すべてこの国。あの方の思いを遂げ…」

「あの方とは神功皇后ですか」
「すべて… くら~い くら~い ここは海の底。くら~い」

「頭はどうして痛くなったのですか」
「心許したばかりに。何がいけなかったか。間違いだったか」

「神功皇后の御子は二人でしたね。男と男か、女と女か、それとも男と女ですか」
「男と女」

「その子はどなたのお子さんですか。あなたのお子さんですか」
「私は誰も信じぬ」

「お二人が生まれたのをどなたからお聞きになりましたか。神功皇后からですか」
「違う。私の子と知ったのは生まれてしばらく経ってから」

「誰から連絡していただいたのですか。ヤマトタケルからですか」
「その頃、神功皇后は私を遠ざけようとしていた」

「何があったのですか」
「私の意見は、今は遠征の時期ではない。今はその地を治める時だ。東の風が吹くときに挑んでは行けないと…。しかし、神功皇后は今しかないと…」

「御子が生まれる前ですか」
「仲を取り持とうと…。ヤマトタケルが取り持ってくれた。神功皇后は、今せねば、この追い風に乗らねばと…。

私は今、国では内紛が起こっている。我が国は一つではない。内側を固めてからだと言ったが、神功皇后は何故か急いでおられた。
だんだん神功皇后から離れていかれた。
タケルが、御子は二人だと教えてくれた。
双子は不吉とされ、女の子は隠された。
一人目の男の子を神の子とした。
二人目の女の子の方が神の子と分かっていた」

「スクネさんには霊感があったのですか」
「分かったからといって、私一人が分かったとしても、人と意見が違えば世迷言。(よまいごと)
一度だけタケルからその子を抱かせてもらった」

「ある記録には、神功皇后の子とスクネの子が同じ日に生まれたと書かれていますが」
「私の子。ただ、そういう流れは私たちの時代はどうでも出来た」

「スクネさんの身分は?」
「あくまでも神功皇后のお側付き。方位、風を見て助言をする立場」

ここから私が質問した。
「ヤマトタケルとはどちらが年上ですか」
「私が二つ年上。
タケルはこちらのことばが分からない。タケルの代わりに話して、タケルに伝えた」

「ヤマトタケルの言葉はどの国の言葉ですか」
「今でいう、ポルトガル」

「神功皇后と住吉が寝所を共にした話が神社に伝わっているのですが」
「あの地に入ってすぐだった。
緑の葉を立て、巫女がこうして手に木の根を持ち、祭祀をする。
我が願いを、その住吉にお願いしたが、われわれもいた。
福岡の西。すみよし。潮の香がするところ。
滞在の為の屋敷があった。
神功皇后は浅はかでもない。

仲哀天皇が亡くなっておることを、神功皇后は霊力があるのに死を防ぐことが出来なかったと嘆いておられた。

世のため、人のため、祭祀をした自分が一番そばにいて、愛する者を守ることが出来ぬと嘆いておられた。
一番大切なものを守れないとき、自分の無力さ、人間であることを知るものだ」

「仲哀天皇の死の原因は何ですか?」
「仲哀天皇は毒を盛られた」

「誰からですか」
「私だ」

「何故ですか」
「神功皇后の仲哀天皇への愛情が邪魔になった。
愛情を知ると人は弱くなる。
神功皇后は普通の女になりたいと思っていたが、周りがそれを許さぬ。

「毒をあなたに渡したのは誰ですか」
「私たち周りの者だ。
神功皇后が立ちあがり、一つになる。
ある意味、可愛そうな女。
悲しい物語だ。
私の命令で始まったこと。戻るわけにはいかなかった。

皇后はそれをうすうす気づいて、少しずつ私を遠ざけて…」

「毒を盛ったのは何処ですか」
「仲哀天皇はその時、病に臥していた。
薬があると言ったら、仲哀天皇は疑いもしなかった。薬を運ばせ…」

「天皇の生命を奪ったのは何故?」
「神功皇后のままで居させるために」

「あなたと恋に落ちたのですか」
「同志のような」

「神功皇后の妹の豊姫はあなたの妻と言われていますが」
「違う。二人が近いため、私にあてがおうとしたが。二人が一緒になることは許されぬ。
神功皇后より先に死んだ。神功皇后の命令で殺されたのだろう」

「あなたが亡くなったのは」
「小舟で三人。暗い海。灯りは一つ。何かを受け取るために灯りを灯し、船の先端に立っていた。
向こうから船が近づいて来た。
何かを交換する。振り向いた瞬間に頭を殴打されてそのまま海に。
暗い海に落ちて行った。
意識が無くなる瞬間、いろんなことを考えた。
いろいろの者の死に顔を思い出した。
そして自分の死を受け入れた。
こうして私は地獄に落ちた。
私が知っているのはそのくらい」

「何を交換したのですか」
「暗闇の中に行ってでも欲しいもの。
私の子が欲しかった。
私の子ではなかった。
タケルが最後に抱かせてくれた」

「交換したのは誰と誰ですか」
「女の子と女の子。
自分の子と神功皇后の生んだ神の子。
女の子を見つけ出した。
女官の子を沖ノ島に。

仲介したのは他の国の者。海賊。
小さい子。女官の子。
神功皇后が我を遠ざけ始め、残るものはその子しかいなかった」

「取り戻したかった?」
「私も普通の人間ということ。私にはその子しかいなかった」

再び菊如が語り掛けた。
「その子を愛していたのですね」
「香椎宮には私が子供を一度だけ抱いた銅像がある。
この子は神功皇后の子。役目がある。そなたにお返しするぞ」

「名前は?」
「ピンクの着物を来た。そなたたちが必死に探しておる子。
大海原を守る子。
せおりつ。

我も心が晴れた。
我の罪を償い、この国のため、この人々のため、今ひとつ力を使わしてもらう。
今日、この良き日。感謝したてまつる」

「スクネさま。3月14日。亡くなったのはこの日ですか」
「今日、3月14日」

「忘れずにおきます。おつかれさまでした」

――これで崋山の頭痛も収まった。

今、読み返すと、分かったようで、よく分からない。
神功皇后が生んだのは双子で男と女だ。その父親はスクネだという。

しかし、沖ノ島の女の子と交換したのが誰と誰なのか。話が不明瞭だ。
スクネは自分の子と神功皇后の子を交換しにいったという。
すると、あの日、2月24日に子供が三人生まれたというのか。
出て来た女官というのは脇巫女サガミのことだ。
三人ともスクネの子なのか。

仲哀天皇を毒殺したのはスクネだという。
神功皇后はそれを薄々感じ、意見も異なるスクネを遠ざけ始めた。
それから、スクネは沖ノ島に幽閉された子と交換しにいって海に落とされた。
前回の記録ではスクネはセオリツと共に海に沈んだという。
何か肝要なことが不鮮明だ。

しかも、スクネは私たちがセオリツを必死に探しているという。
いや、全くそんな事はない。
何も分からないのだから。探す動機はない。

星読の想像した記録とも合致しない部分がある。

スクネは崋山に痛みを感じさせてまで伝えたかった本題とは何だったのだろうか。

<20191104>



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by lunabura | 2019-11-04 20:09 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(0)

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