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ひもろぎ逍遥

2019年 12月 30日 ( 1 )

脇巫女Ⅱ41 神功皇后4 セオリツは

脇巫女Ⅱ

41 神功皇后4 セオリツは




神功皇后が語り始めて、かなり時間が経った。もうそろそろ終りの時だ。
しかしもう一つ、どうしても確認せねばならないことがあった。

それは神功皇后が生んだ双子の妹、セオリツの行方だ。
私は尋ねた。

「セオリツは生まれたあと、どうなったんですか」

「ある時、夜にお告げを受けました。夢うつつの中で『そなたは神の子を生む』と。その頃、自分が生んではいけない子、スクネの子を身籠りました。

私は迷い、不安の中にいました。生まれなければいい。しかし神の子を生まねばならないのなら、心して生もうと覚悟を決めました。
が、まさか双子とは思っていませんでした。

最初に生まれた男の子が神の子、この国を治めてくれる子だと思いました。
ところが、二人目の陣痛が始まって、女の子が生まれました。その子を見た時、光り輝き方が違う、神の子は女の子の方だと分かりました。でも、双子は不吉とされていました。

考えている余裕はありませんでした。隠さねばならない。神の子が一人で生きていけるため、しっかりと隠して育てなければならないと思いました。

何処に隠すか。

私は、一番信頼できる、感情が入らない二代目タケルに相談しました。

タケルは表情一つ変えず、分かりました、この子を守っていきます、と言いました。ただ、守るためなら、完全に縁を切らなければなりません。さもないと情報が洩れます。誰かが気づきます、と言いました。

私は娘をタケルに委ねました。私の思いは付けておりません。母の思いは伝えませんでした」



「二度と会わなかったんですか」

「ええ。それ以降、どうなったかは知りません。私が関われば、あの子の身に危険が及びます。もとに戻るわけにはいきませんでした。あの子を守るためなら、どんな我慢でもできる。

神の子を生んだのは事実です。それから一切の消息は取っていません。何処かで必ず生きている。様々な人のため、神の子として役に立っているだろうと思っています」


「でも、二十年ぐらい経ってなら、大丈夫だったんじゃなかったのですか」

「誰も信用できません。軍が大きくなりすぎました。身動きが取れなくなりました。あの頃に戻りたい。大きくなり過ぎました。進み出した船は止まりません」


「あなたは最終的には自分の宮を何処においたのですか。出雲ですか」

「仲哀天皇が生きているなら出雲に戻る気になったでしょうが。一番楽しかった香椎に戻りました。あの頃が一番大変だったけど、楽しかった。目を輝かして国の事を語り合っていました」

「朝廷は香椎宮になったのですね。何歳で亡くなったのですか」
「今でいう28歳。胸を患いました」

「その後、夫はいたのですか」
「いいえ」

「看取ってくれた人はいましたか」
「いいえ。木月の方から巫女が三人来ました。タケルが向かっているという知らせが来ましたが、間に合いませんでした。二代目タケル…タケルは次の世代になりました。それまでです」

――神功皇后は我が娘を守るために、セオリツを二代目タケルに預け、一切の消息を絶ったという。神功皇后の覚悟は壮絶だった。


 神功皇后は28歳で亡くなったという。
日本書紀は100歳まで生きて武内宿禰と共に政をしたように書いている。

『高良玉垂宮神秘書』では、誰よりも先に亡くなったように記す。そのため、妹の豊姫も武内宿禰も玉垂命も都を出なければならなくなったと。
史書もさまざまに記しているのが現状だ。


さて、最後に神功皇后は、セオリツを菊如に見せたいと言って、赤子を抱かせた。

やっと会えた…。

――セオリツの行方は二代目タケルしか知らない。


<20191226>



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by lunabura | 2019-12-30 18:01 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(0)

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