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ひもろぎ逍遥

2020年 01月 04日 ( 1 )

脇巫女Ⅱ44 スクネ 気づき

脇巫女Ⅱ44

スクネ 

気づき



ヤマトタケルが去ると、入れ替わりにスクネが出て来た。

頭を抱えて痛がっている。
「何故じゃ。何故じゃ」と泣きながら。

「あんなに楽しかったではないか。何故じゃ、何故じゃ。
私はそなたのために頑張って来た。
私を分かってくれるのはそなたしかおらん。
私を、私の力を受け入れてくれるのはそなたしかおらん。

私より神功皇后が大事か。
私より神功皇后が大事か。

そなたを失ったら私には何もない。
私には・・何もない。
何もない・・・

勝ち負けなど、どうでもよかった。
共に居て、語らい、戦い、酒を酌み交わし・・・そなたは分かってくれると思った。
私の思い。
でも、そなたは私より神功皇后を選んだ。
そなたは・・・」

ひとしきり泣くと少し収まったのか、スクネは自己を振り返り始めた。

「分かっておる。私も沢山の者を裏切って来た。そなたの目が語っている。
これ以上、罪を重ねぬようにタケルが私の命を絶った。
分かっておる。
でも、私の子供が・・のう・・・

人に無い力があるというのは・・・皆怖がって近寄らん。
都合の良い時には助けに力を求めてくれるが・・・
タケルは違った。私の能力は関係なかった。

タケルは普通の友のように付き合ってくれた。
私にとってタケルは唯一であった。

タケルが死なずに済むように戦略を立てた。
安全な所に居られるように戦略を立てた。
タケルが戦わずに済むように私が交渉した。

なのに、タケルが神功皇后の方を取った。

私には何も無くなった。
残るのは悲しみと、この痛みだけ。
海の中に。
暗~い海の中に沈んでいく。

いろいろと考えたが、自分には答えが出ぬ。
何故だ。
私が邪魔になったか。

私は自分の子を手元に置きたかっただけだ。
神の子なんて、どうでもよい。我が子を手元に置きたかっただけ。
それが間違いか」




菊如は語りかけた。

「間違いではないけど、方法が、手段が、間違っていただけかもしれませんね。反対の立場だったらどうなさいますか」

それを聞いて、スクネははっとした。何かを思い出した。
「話していた。そう、酒を飲みながら、どちらかが道をはずれたら、どうするか。
私はお前の手で死にたいと言った」

「思い出されましたか」
「タケルは約束を守っただけか」

「ええ。つらかったと思います」
「タケルは約束を守った。最後の最後に約束を守ってくれた。
そうか。そうか」

スクネの顔が明るくなった。

「またこうやって会うことになるんですね。時空を超えて」
「形を変えてな。今度は形を変えて。方法を変えて、戦略を変えて」

「今の時代に会うやり方でね」
「人タラシには気を付けよ。
不思議よのう。こういう力を元々持つというのは。
つらいことも多いのう。

でもそういう人たちが世に出るという事は、その力が必要だということ。
私にもまだまだ出来ることが。
今一度心してみる。
そうか。約束を守ってくれたのか」

スクネは納得して去っていった。



<20200104>



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by lunabura | 2020-01-04 19:44 | 「脇巫女Ⅱ」 | Comments(0)

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