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ひもろぎ逍遥

2020年 01月 19日 ( 1 )

ウーナⅡ7  ガードゥ2 過去生と現世の葛藤


2018年9月15日。

崋山が頭が痛いと言い出した。
崋山の過去生がガードゥだった。

痛くさせているのはガードゥだ。
話を聞くことにした。


ガードゥは睨むような眼つきをした。

「お前たちが皆、ワシを裏切った。ここまで我が先導し、ここまで来て、平穏な暮らしを求め、どんなに疲れても一つの信念を持ち、この地に来たはず。ワシがどのような思いで来たか。先に逝った者たちの思い、悲しみが分からぬのか。
ここまで来て、これ、苦しそう、やれ、かわいそうなど、言って。
いったい、どれだけの者が苦しんだ。命を絶やしてきた。
その者たちのために来たのではない。

ここには来たくはなかった。我はもう誰も信じん。我の思いを封印する。
もうあのような思いはしたくはない。
何千年経っても人間は変わっていない。

一人減り、二人減り、肉体を失った者の思いを胸に負い、この地に来た。
我と同じになれ、とは言わん。何故、人はぶれる。貫き通さねばならないものがある。何故変わるのだ。

神は言った。それが人だと。しかし、我は許せぬ。肉体は無くなっても大勢の者がすがりつく。立て直せと。それを分かち合える者が我にはおらん。孤独が我をさいなむ。

我の使命は果たさねばならない。そうしないと永遠にこの思いが続く」

崋山の中で覚醒したガードゥは怒り、苦しんでいた。
が、いったい何が起きたのか私には分からない。


菊如が言った。
「神はあきらめてはいませんよ」
「我は耳を閉ざした。神の声が聞こえぬように。それを分かち合える者はいない」

「何回も生まれ変わって来たのでしょうが、そんなに沢山の人がいるのですか。一人だけ居たらいいのではないのですか」
と菊如が言うと、ガードゥは少し落ち着いてきた。そして、語り始めた。

「12人と姫一人と船出をした。
毎晩、月明りの中で自分を乱さぬように、魔が入らぬようにと気を配った。魔は人の心の隙に入り、いざこざを起こす。
姫を送り届けるため、封印を解くため、かの地を目指した。使命を忘れぬように。

私を信じなくてもよい。先人の思いを背負い、やるべきことがある。何をしにいくのか。
我が12人を守り先導する。
魔は心の隙間に入り、一人は一つの間違いから責められて、身を投げた。一人は、女を二人で取り合って殺した。そして最後には我もあの地で命を失った」

「あの地とは?」
「六ケ岳。頂上で」

「風を起こしたのはあなたですか」
「ああ」

「シナイ山を見せたのはあなたですか」
「ああ。もうこのような思いをさせぬ。神はあきらめておらん。永遠に受け継がれていく」

「今日で終わるとは思っていません。13回ぐらい続くはず」

「私は今日、出る気は無かったが、12人の話が出た。まるで選ばれし者のように。とんでもない。どんなに大変か。魔が入らぬようにし、目的地を見つけ、目的を達成せねばならなかった。
おどしに聞こえるかもしれないが、何故、何度も失敗しているか」

「その波乱万丈な人生を受け入れ、希望を持ち、自分を信じていけば、ぶれずに生きていけるのではないですか」

「12人、決して楽ではない。崋山にとって一つの救いは友がいること。自分の間違いには気づけぬ。見定めてくれる人がいる。気づけぬ時、魔は入ってくる。
私の気が大きくなればなるほど崋山が苦しむ。孤独になる」

崋山の中でガードゥが目覚めた。ガードゥは違う人生を歩んでいる崋山のやり方に不満を持つようだった。
崋山の中で二つの価値観がせめぎ合っていた。それは今を生きる者には大きな負担となった。


菊如はガードゥに語りかけた。

「何十回も生まれ変わって経験して、魂は少しずつ磨かれていくんではないでしょうか。崋山の心の中でいつもけんかをしておる。でも、現世では私が居るんですよ。その頃の崋山とは違います。私が支えられます」
「私を裏切った者もそう言った」

「でもね。何かの原因と結果もあるんです。あなたも素晴らしい所はいっぱいあるけど、向き合う心が要るかもしれませんね。
12人は選ばれたのではではなく、「なってしまった人」ではないですか。

完全無欠な人はいません。自分の正義が相手に通じるとは限らない。伝わらない人には伝わらない。魂の色が違うから。

私もあなたとかなりの年月一緒にいるけど、この時代でも正しい事は伝わらない。相手に伝わらなかったら正しいとは違う。12人が乗ってしまった船の中にその意味があるのでは。
神が見たら傷だらけの魂。受け入れて」

「何で分からん」
ガードゥは心で泣いていた。

菊如は話し続けた。
「未熟だから分からないこともあるのです」
「何で我が想いが分からん」

「自分を責めたり、執着して疲れさせ、混乱させないで。魂の磨きはそれぞれだから。
あと30回経って出会ったらまた違う」
「もう、船は出ん。神が何と言おうと船は出ん」
そう言って、ガードゥは頭を抱えた。


菊如は伝え続けた。

「大切なことは、全部海に投げ捨てること。あなたが楽になるために。人や何かはいい。

人間とは色んな人がいて、生まれ変わった回数、経験、気づきが違えば、出逢い方が違えば、自分と同じようではないのです。経験、気づき、学びが違う。12人は置いといて良いのです。

あなたが楽になれれば良い。それが神が喜ぶこと。執着をはずすのです。
神があなたに気づいてほしい事は、執着から離れろ、という事ではないですか」

「使命を全うせねばならない」

「いつまでも執着してはダメです。あなたが執着を捨てなければ。皆、経験が違うのです。使命も今のあなたには出来ない。自分の正しいは、あの人の正しいではないのです。人とトラブルになっていく。

言い方が違えば受け取り方が違う。同じような人が12人集まれるわけではないのです。
使命を優先するより、あなたを神は救いたいのです」

「我にしか出来ぬこと。それに執着するのは当たりまえ」

「挑戦する事は望んでいても、執着するのは望まないのでは。
ここまで来る前に正義感で動いたのでしょうが、その過程で苦しんで、沢山の傷を負ってきている。昔の12人とは違う経験をしています。神が助けたいのはあなたの心」


ガードゥはしばらく考えた。それを見て菊如は伝え続けた。

「今の崋山は一人ではない。私がいます。私も一人ではない。崋山がいます。たった一人いればいいんじゃないですか。100人より、真剣に考える人が一人いればいいのではないですか。

長い苦しみから離れてください。神が喜びますか。執着から解放されると心の扉が開きます。そこには大海の海水が入ってきます。池の水ではなく。

執着から離れた者は魔は扱いにくい。魔は手こずるんですよ。そうするとあなたが強くなるんです。執着はエサです。

そこから12人になる。そうなれば無敵ですよ。崋山からはずし、次に12人がそれぞれの我と執着をはずす。そうすれば船は動き出すのです。自分の垢を先導する者がはずして行動する。それからそれぞれから垢を外していくのです」

「一か月前から正義について考えた」
「分かっています。
まず、見当違いが一つ。分かってくれるだろう、というのは上から目線です。
二つ目に、その人にあった伝え方をしていない。理解できない人に対しては、相手の受け取り方を知って話す必要があります」

「ワシは生き様を見せれば付いてくると思っていた。寄り添うことはしなかった。本人が乗り越えると思っておった。ただ今の言葉を聴けば寄り添う事が必要だと分かった。私の行動を見れば理解してくれると思っておった。前しか見ておらんかった。

崋山の中で崋山の行動を見ておると、必死に、私がしておらぬことを、吐き気を催しながらやっておる」

「人間はすぐに輝く水晶にはなりませんが、無垢の水晶ではどれか分からない。違ってよいのです。転生しながら、あなたはここまでやって来ています。水晶の一面を磨くのです」

「もう繰り返しとうない」

「神のことを思っていますが、神は執着を外して喜びます。苦痛に強いられた使命など、神は喜ばないのです。まずはあなたが楽になられること」

「私が変わらねば崋山が苦しいのか。心が苦しい。心が痛い。刃物で造った切り口より心が痛い。良う、そなたから言われたことを考えてみる。時間を取らせて悪かったな。待っておる者がいる。ワシが泣けば皆が迷う」

「そうですね。みんなはみんなで良い。太陽に向かってひまわりが動くように、人間ってそんなに変わらない。でも、変わろうと思えば変わっていきます」
「ヤコブがその時を待っている」

「執着が離れなければ魔は喜びます。だから執着から離れねばらない。私が言わなくても、あなたが行くべき方に向いていくかもしれない。
13回でも、やらなければならないなら、やっていきます。

執着が離れれば前向きになる。守らねばと言わなくても守れている。「ねば」という意識が戦いになる。柳腰。崋山は船。柳はすっと通す。

崋山は今を楽しめばいいのです。楽しむ心に魔は入らない。

厭なことが起こるから認識する。災い転じて福となる。無駄なことは一つもない。わたくしは楽しもうと思います。過酷だね、と言われても。厭なことは苦しい事だった。悩み事と一緒に執着を離していく。個人のブロックをはずす。そうすれば、他の12人の色んな問題のフォローになれるかもしれませんね」

ようやくガードゥも前を向いた。晴れ晴れとした顔だった。

誰もが、この人生では体験していないのに、失敗への恐怖を持っていたり、怒りの感情を持っていたりする。それが何処から来るのか原因を知り、その感情を見つめると、囚われが消えて行く。

それを目の当たりにした夜だった。

いったいガードゥは何をそんなに苦しんでいるのか。
何が起きたのか。
裏切りとは何か。
目覚めていない私は、ガードゥに尋ねるしかなかった。

<2020019>


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ウーナⅡ7  ガードゥ2 過去生と現世の葛藤_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-19 21:24 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

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