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ひもろぎ逍遥

ウーナⅡ13 ウーナ 首飾りの暗号は

ここからは私が尋ねた。

「三連の首飾りに暗号があるのは知っていますか」
「あの時、月の光で見せた時、裏に明かりが透けて 見ました…」

「あなたを殺したのは星読ではありませんか」
「星読ではありません。村の人がウメルが…と言ったのが聞こえました」

――変だ。
かつてガードゥに、ウーナを殺した犯人を聞いたときにはサマルだと言った。サマルすなわち星読がウーナを殺した、とガードゥは言った。ウーナの話と食い違っている。

思えば、ガードゥは現場にいなかったので、犯人を知っているのは変だ。誰からか聞いたのだろうか。

一方、ウーナも背後から刺されたなら、ウメルかどうかは確実でない。
取りあえず、今はウーナの証言を詳細にする必要があった。

「首飾りを見たいと言ったのは誰ですか?」

「村の女の子です。私と同じくらいの年。村で仲良くなりました。言葉が違うのに思いで分かってくれました。あっという間に仲良くなりました」

「女の子のそばにいたのは誰ですか」
「その時は一人だったと思いましたが、後ろから忍び寄る人が」

「女の子の名前は?」
「イ―ヴァ。こちらではエヴァです」

「イ―ヴァはどうして首飾りのことを知っていたのですか」

「分かりません。首飾りを見せてほしいと言ったので見せました。儀式の前に殺されてしまいました。
前と背中にあります。前の物が偽物という訳ではありません。背中の物は知りませんでした。背中の物は実体のあるものではありません」

首飾りには暗号が隠されている。前後二つ揃って役割を果たす。前の物も後ろのものも三連で同じ形だ。

タケシは前の二連目を飲み込んでいる。
タケシが飲み込んだものは先程、水晶に入れたが、それを取り出して調べる事にした。

首飾りは一連目の中ほど、左右に留め金があって、そこで二連の首飾りが止められている。見かけは三つの石が縦に並んでいるように見えた。


崋山の第三の目に入れた。

崋山は読んだ。
一連目のアジャスタにアミーラ。
向かって左の留め金にアシーラ、右にピザロン。

意味は「復活、この地に、ヤーベー」
   アミーラ、アシーラ、ピザロン

ヤーベ―をこの地に復活させる。
あるいは、
ヤーベよ、この地に復活を。
という意味か。



この後、私の中から声が出始めた。
あ。
あ。
あ。
何かが話そうとしていた。
私は自分の考えや言葉が邪魔せぬように目を閉じて静観に努めた。

菊如が私の背中に気を入れ、「覚醒しよる」と言った。

ウーナが目覚めようとしていた。

その後、「アカーラ、アガ、アマン」と言った。

ただちに崋山が訳をした。
「我が魂の思い」 
しかし、アリサは「我が魂に戻れ」と記録していた。同じ場所にいて、二人の記録は違っていた。

菊如が私に尋ねた。
「まだ話せることはありますか?タイムリミットかな?るなさん」
すると、再び言葉が出て来た。

「アマール、アザ、アシータ、キマース」
崋山が同時に訳す。
「救いの手。でも来なかった」

崋山が、いや、崋山に懸かったウーナが泣くようにして
「ほんとは欲しかったんやね。私の持ってる首飾りを。
何もないのに何故狙われる」

そして、私の内なるウーナが言った。
「知らないんです。ほんとに。こんなものいらない!」

ウーナは崋山の中と私の中の両方に居た。バイロケーションだった。

崋山は顔をおおって泣くようだった。そして胸をさすっていた。

私は目を閉じたまま右手のひらにペンを乗せてコロコロところがした。
ペンは首飾りだった。

覚悟を決めてその手をネコに差し出した。

「はい。あげる」
と言うと、崋山が豹変してネコになり、私の手のひらから見えない首飾りを取った。
本当にネコの丸まった手の感触がして、私は驚いて目を開けた。
「どうするの?これで。なんで?」
と言うと、ネコは「ケッケッケッ。やった、やった」と手を上に挙げて喜んだ。

じっと見ていた菊如がネコに言った。

「そなたの額の中でそれは輝き始める。体中、しびれ始める。
良きものに使えば良きなり。悪しきものに使えば悪しきものなり」

「では人間はどうじゃ」
と、ネコは苦しみながら、言い返した。

「私たちには欲しいという欲がない。あなたにはある。ただそれだけ。
スーサー、ゴーズー、ヤーベ―。スーサー、ゴーズー、ヤーベ―」
とネコに言うとネコは苦しみ始めた。

菊如はさらに言った。
「三位一体なり。ゴーズー、スーサ―、ヤーベ―。
ウーサー、スーサ―、ゴーズー。すべて整えよ。すべてを整えよ。」

「しかと承った」
この瞬間、崋山に三位一体の神が懸かると、口から天に吐き出し、ネコを連れて行った。

すべてが終わると、崋山は
「ヤハウェとゴズは似ているけど違う。
ヤハウェとゴズのスサの三位一体なんやろうね」
と言った。


これで、三連の首飾りの後ろのネジと二つの留め金には「復活、この地に、ヤーベ」とあるのが分かったが、三つの石を透かして見える暗号は確認できなかった。今思えば、最初の質問の答えに突っ込むべきだった。同じものかも知れないし、違うかも知れない。

ただ、もしウーナから一連の首飾りがはずれなかったとしたら、埋葬されている場所にそのまま残されているのではないか。
鞍手の何処かに埋葬されているなら、物質としてまだ存在しているのではないか。
そんな思いにかられた。


<20200127>



「ウーナⅡ」を始めから読む
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ウーナⅡ13 ウーナ 首飾りの暗号は_c0222861_15441632.jpg

# by lunabura | 2020-01-27 20:19 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ12 ウーナの最期は


私は咳をし続けた。

「胸の奥が熱い」と言うと、菊如はそれを両手で取り出し、崋山の第三の目に入れた。すると、崋山は胸の前で両手を胸を合わせた。

ウーナだった。

菊如が尋ねた。
「はじめまして。どうなさいました」

「何故、人々は殺し合わねばならない。何故。
何故、私を始めとする小さな子供まで。
旅をするのがいや。この地で静かにやっと安らげるかと思ったのに。
どんどん私の生まれた国の人が散り散りばらばらになり、魂が消えていった…。

私は各地を転々としてまいりました。
やっとこの地で落ち着けると思ったのに…。
この村で…。
ただこの首飾りが災いをなす…。
けれども、守っていかねばならない…」

三連の首飾りを狙う者がいた。そのため、エルマはその一連を飲み込んで死んだ。
何故、首飾りはそんなに重要なのか。また、三連がバラバラになった理由は何か。

菊如は尋ねた。
「その首飾りが別々に出てくるのは何故?」
「私が殺された時に引きちぎられました。手元に残ったのは一つだけです」

「引きちぎられたのはどの部分?誰が引きちぎったの?」

「私はこの首飾りを持って、ガードゥと共にシナイ山に登る予定にしていました。
“準備があるのでこの村で待つように”とガードゥに言われました。

ここには森があり、優しい子供たちがいました。
私たちはその村人に歓迎され、部屋も用意されました。ガードゥには“ここで待つように”と言いました。
そしてガードゥが戻って来て、“明日、決行の日”と告げられ、いよいよ私の役目が、と思っておりました。

その晩、村の女の子に、月の照らす夜でしたが、“その首飾りが欲しい”と言われました。でも、首飾りは私の首からははずれません。普段から服の中に隠していたのですが、少し見えたのでしょうか。

私は月の光に照らして、私の胸元にあるのを見せていると、突然後ろから、誰か分かりませんが、ナイフで背中を刺しました。その後、私はその場に倒れ、後は記憶にございません」

「その首飾りは何故狙われているのですか」
「分かりません。これは代々伝わるものです。身に残ったのは一連だけでございます」

「誰からいただいたのですか」
「父からです。私の国を出発する時です。あの頃は様々な国が私の国を狙って入って来ていました。国を守ってもらうために、私は砂漠の国に送られました。首飾りと共に。

その役目は分かりませんが、はずれないのです。石がついていますが、どういうことかは分かりません」

菊如は人の目には見えないこの首飾りをはずす時に、ネジを回していた。

「はずす時に、ネジをまわしたら、何か入っていましたよ。そう、紙切れ。字が書いてあるでしょ、あなたの国の字?何と書いてあるのですか」

「この文字は私たちの言葉でアミーラです」

「どういう意味ですか」

「アミーラとは”復活“です」

「お父さんが持たせたのですね。代々どんな家だったのですか」

「シュメールです。様々の言葉や文字が入って来ていました。戦いを好みませんでした。神々と対話できる人がいて、自然を愛する国でした。神々と共に暮らしていました。夢を見る人が多いです。預言をしました。

言葉の通じない人とも、頭の中で会話できる力があります。よその国々はその力を求めました。
しかし、皆、散り散りバラバラになり、私は国を出ました。

復活…。
誰かの復活なんですね。
あの山のシナイ山の誰かを呼び戻すんですね」

ウーナはそれが誰か知っているだろうか。菊如は尋ねた。
「それはヤコブですか」
「いいえ」

「ヤハウエですか」
「ええ。ヤーベです」

「ヤーベとはどんな神ですか?八幡ですか?」
「ヤーベ… それは再生と破壊と…」

「シナイ山の近くにウサがありますか。何処にあるかご存知ですか」
「ウサ?今の場所?」

「今は大分にあります。それではなくて、ホントの場所です」
「シナイ山の近くです」

「どういう場所ですか」
「様々な神が集まる場所です。破壊だけでは何も生まれません。シヴァという破壊と再生の神だけでは。それを救うために命を落としたのがヤーベです」

「ヤーベがいたのがウサですか」
「はい。そこで子孫を作り、ヤーベの力を受け継ぎました。
この国にはガードゥが来ました。
シュメールの神話では黒く大きな翼を付けた神で、杖をつき、マントを付け、牛のような悪魔のような神が降臨して光を放つと言います」

「ゴウズとはどんな神ですか」
「黒い羽根はみるみる溶けていき、光が降り注ぐ、荒れ狂った時代に光を降り注ぐといいます」

「ヤハウエとゴウズは同じですか」
「ええ。私たちの神がヤーベ。この地にある海より右手ではゴウズと呼びました。同じ神ですが、少々形は違います。同じ者だろうと思いますが、ただ少し違います」

「ゴズは宇佐にいます」
「そのうち、ドアを開けてやってまいります。ス―サの後ろでその時まで隠れているのです。その時が来るまで」

漢字で書けば須佐、牛頭、宇佐となる。

「スサ、ゴズ、ウサの発音はスーサー、ゴーズー、ウーサーでいいのですね。
スーサ―は海から来たのですか」
「ええ。海を越えて来た者です」

ここでいうシナイ山、すなわち六ケ岳の南に実際に宇佐という地名があり、こちらが大分の宇佐の前身だという伝承がある。かつて宇佐の巫女が六嶽神社に来て、「大分宇佐の方が第一の宮だ」と言いにきたあと、六嶽神社の宮司家は断絶したという記録があった。

ウーナは決行の前夜、村の女の子に首飾りが欲しいと言われた。それは首からははずせなかったので、月明りの中で見せていると、後ろから何者かに刺された。
それがウーナの最期だった。

<20200126>





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ウーナⅡ12 ウーナの最期は_c0222861_15441632.jpg

# by lunabura | 2020-01-26 20:21 | 「ウーナⅡ」 | Comments(4)

ウーナⅡ11 エルマは守らねばならなかった ネコは欲しがった


それから二週間経ち、私たちは再び集まった。
2018年9月28日。

エルマはタケシではないか、という話になった。小4の頃から呼吸が苦しい症状があった。

タケシの胸から魂のカケラを取り出して崋山の第三の目に入れた。
この時、私も反応して咳が出た。

若者が出て来た。若者は両手を合わせて握りしめた。
「何故、僕だけ、何故、こんなの。どうしてこんなものを僕に託した」

ひどく苦しんでいた。菊如が近寄って声を掛けた。
「大丈夫ですか。お名前は?」
「エルマ」

「ガードゥと一緒だったの?」
エルマは首を縦に振った。

菊如はエルマの手に何かを持っているのに気づいた。
「何を持ってんの?言われのある物なの?」
エルマは思い詰めていた。
「このために何人の人が…」
そう言うと、手の中の物を飲み込んだ。

菊如は驚いて止めたが遅かった。
「飲み込んだらダメよ!
誰にも取られたらいけんて、言われとったんよね。
息が詰まって窒息したのね」

エルマは伏してしまった。それを見て菊如は状況を察した。

「死んだって教えたかったのね。タケシの胸に入ったままだった。
渡したらいけんと言われたが、自分は力が無かったので飲み込んで守ろうとて、死んでしまった。
小4の頃から胸が苦しかった。六ケ岳で何かもらったのは箱に入れた」

タケシは誰かから「守れ」と言われて何かを手に持たされたが、守れないことを悟って飲み込んだ。が、そのために窒息して死んでしまった。

これを見ていた私も咳が止まらなくなった。
崋山は胸が痛いと言い出す。

この時、菊如はエルマが飲み込んだ物とはウーナの首飾りだと分かった。
ガードゥから手渡されたのはウーナの首飾りだった。

しかもガードゥがその首飾りに呪を掛けていた。
「黒い呪。ガードゥがどうやって呪を掛けたか。」
崋山が1、2、3と、蛇のどくろのように輪を三回描いてみせた。


菊如は言った。
「タケシに入れたのは三連じゃないよね。三連の首飾りはアジャスタで離せば一本ずつになる。これは飲み込めん。一つは既に取られている」

どうやら、ガードゥは三連の内、一連をはずしてタケシに預けたようだった。


この時、崋山の声が出なくなった。
再び首飾りを飲み込んだエルマの状態に戻ってしまった。

菊如はその喉から首飾りを取り出して左手に乗せて「これは飲み込めんやろ」と言った。

「いやだ」
と別の者が叫んだ。

菊如は急遽、床に結界を張り、その首飾りを入れた。


崋山と私二人で咳をしていた。

菊如は私を見た。
私も首飾りを持っているので咳をしているのか?
三連の首飾りは実体が前に、霊体が背中に封印されていた。


菊如は
「崋山にはまだ何かが入っている。首飾りにはまだ何かが憑いている。首飾りに憑いている」
と言って、その呪に言葉を掛けた。「出て来たら?出て来なさいよ。隠れてないで」

すると、崋山は突然ネコの姿になった。右足を立て媚びるように言った。
「早く出しなさいよ。首飾り。あと少しだったのに。ヒヒヒ」
女の声だった。なよっとしていた。薄笑いをしながら菊如にささやいた。

「首飾りとか、興味ないでしょ。たかが首飾りよ」
と菊如が言うと、ネコは言い返した。
「ふふん。たかが首飾りだから、こっちにちょうだい」

菊如は憮然として言った。
「私には興味が無い」
「だからこっちに」
ネコは招き猫のような手でもらう手振りをした。

菊如は突き放して言った。
「自分で取ったらいいやん。人に頼まなくても。今まで失敗したんでしょ」

ネコは菊如を見つめながら床を爪で削った。
「フフフフフ」
顔を寄せたり、引いたりしながら、あぐらをかき、右ひざを再び立てた。

菊如は
「そういうことか。じゃあ渡しましょうか。欲しいんでしょ。別にいいよ」
と要らない振りをした。


するとネコは喜び、左手で手招きをし、ニヤリと笑った。
しかし、自分で取ることは出来ないようだった。

座っている人の間を四足で歩きまわり、白皇に近づくと、「ねえ、来て」と言った。

私の背中を指さしながら、
「分かる?背中。黒いのがついている。あのナイフをはずして!彼女が危ない!刺さってるの」
とささやいた。実に悩ましく媚びを売るネコだった。白皇は目を白黒とさせていた。

突如、菊如が歌い出した。
「お魚を抱えたドラネコ♪皆が笑ってる♪」

すると、ネコは菊如の前に戻り、挑むような眼つきで、その膝に手を乗せた。

菊如はネコを見ながら「ケルゲロス。配置せよ」と宣言すると、
ネコは「早く渡しなさいよ」と迫った。

「渡してもいいけど、知らんよ。何が起こっても知りませんよ。いいの?」
と言って、菊如は私の首に掛かった見えない首飾りをはずし、
「あなたの言った通りにするからね。ハイ」
と言って、その口に入れた。

ウ~~~~。シャ~~~~。ネコは苦しんだ。

菊如は唱えた。
「そして、それは輝き始める」

ウ~~~~

「どんどん輝き始める」

苦しんだ挙句、ついにネコは失神してしまった。

菊如は水晶にタケシが飲んだ物とネコの口から取り返した物を入れた。
「もう一個は何処にある?ルカ伝第3章2!」

私は胸の奥が熱い。
私は「何か言いたいみたい」と言った。

<20200124>


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ウーナⅡ11 エルマは守らねばならなかった ネコは欲しがった_c0222861_15441632.jpg

# by lunabura | 2020-01-24 21:29 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

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