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ひもろぎ逍遥

カテゴリ:「ウーナⅡ」( 16 )

転換点



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内側からストップがかかったので、






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再び平常モードに戻ろう




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と思う。





転換点_c0222861_1832046.jpg



ブラブラモードにね。





by lunabura | 2020-01-31 18:06 | 「ウーナⅡ」 | Comments(2)

ウーナⅡ15 ルナシオン 折れた翼


白皇から魂のカケラを取り出した。

男が出て来て溜息をつきながら言った。
「ふう。このような時代になってしまった」

菊如は尋ねた。
「お名前は?」
「ルナシオン。月の女神アルテミスの元に、左右を挟む兄妹の一人として仕えた。

我らは兄妹として生まれたが、アルテミスの目を盗み、契りを交わし、女神の逆鱗に触れてこの地に落とされた。ルナーダと。 

アルテミスは今までの我らの貢献を認め、せめて人のためにと、神の使いの者として別々に地上に下ろした。

ただ私の方は地上で人間の女性に心を奪われてしまった。
そしてその娘と契りを交わし、片方の翼が折れてしまった。

ルナーダとのことは許されない。私の過ち。
しかし、心にぽっかりと穴が空き、ただいつか出会えるとの思いが残った。

わが翼はまだ片方折れたままだが、ルナーダがその役割を果たし、神の力が戻りし時、わが翼が戻るであろう。

かの人間の娘は、我らを引き離すためのサターンの使いであったことはのちに知った。
わが力はまだ元には戻らぬ。
ただこのルナーダの役目が終わりし時、わが力が戻ると信じる。
すまん、ルナーダ。
私は惑わされてしまい、そなたに会えぬ日々が私の心に隙間を作った。

私は船には乗れなかった。
ただルナーダがこの役割をいつか果たす時、我が力は戻り、すべてのことが元に戻る。私はそれを待つ」


「船には誰が乗ったのですか?」
「ガドゥたち13人の船か。あれは神たちが集めたメンバー」

「ウーマとルナーダは別人ですか」
「私はルナーダと呼んだ。船に乗った者は知らん。周りではルナーダと呼んだ。いろんな場所の者が乗っていた。どう呼んでいたかは知らぬ」

「ルナシオンは何故、死んだのですか」
「死んだ?死んだというか、神の使いではなくなったということ。普通の人間になったということ。それまでの形と違う普通の人間になった」

「だから乗れなかった?」
「ほとんどの記憶を消され、普通の人として生きた。ただ、記憶の片隅にふと思う事はある。心の傷として残るだけ。記憶はない。自ら選んだ結果、堕ちた事だ。そのカケラ、心の傷のカケラ。よう見つけてくれた。
いつかその日が来るのを、いつか必ず来る。神の怒りも解ける」

「人間として死んだあと、妖精の双子に生まれ変わったりしませんでしたか」
「私はまだ神の怒りから解放されていはいない」

「妖精で片割れが生まれ変わらずにいるのでは?」
「ルナシオンは自殺して、ギムロに生まれ変わった」

「ウガヤフキアエズに生まれ変わったのは覚えていますか」
「分からない」

「神の怒りは解けているのでは?リエは羽根のついたネックレスを持っていますよ」
菊如はリエにそのネックレスを掛けてみせた。
それを見てルナシオンはにっこりとし、「これで戻れた」と言った。

「心の傷をいやして本体に戻しましょう」
と言って、菊如は白皇にカケラを戻した。

ルナシオンは右の翼が折れていたという。

ルナシオンはギムロに生まれ変わって、ガードゥの船に乗った。
こうして二人は出会ったのだが、ルナーダが胸の中の蛾のせいで早くに亡くなり、互いに気づかずに終わった。

ルナシオンとルナーダはツインソウルだった。
ガードゥに必要かどうかは分からないが、神が望むのはツインで仕えることだったという。



<20200130>


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ウーナⅡ15 ルナシオン 折れた翼_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-30 19:32 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ14 ルナーダ 月読みの航海士

ガードゥの船に乗った人の候補としてリエが挙がった。

菊如はリエの胸の魂のカケラを崋山の第三の目に入れた。

崋山の右手が振動し始めた。両手を挙げると何かが乗り、それを床に置いた。
顔を上げると若い女の姿になった。

その女は自ら語り出した。

「水面に映る月。これで暦が分かります。
今は秋。秋は風が強い月。私たちが行くのは東。
東に朝日が昇ったら、3,4,2の方向に舵を回してください。
そちらに行けば我らが目指すクラ―ジュの場所にまいります」
女は方向を指し示しながら言った。

菊如は船乗りになって「そうしましょう」と応じた。

女は手を胸に当て、苦しそうに咳をした。
「私はまだクラ―ジュに行くまでに、皆に方向を示す役目があります。
大丈夫。心配しなくて大丈夫」
自らを励まし、顔を上げると左手に乗せた水晶を掲げた。
「大丈夫。
私の命はまだまだあの地を目指すまで、大丈夫。   
風が凪(な)いできましたね。
夜が明けたら帆をたたむように。真ん中だけたたみ、一つ、三つ目は傾けますよ」
と、船乗りたちに指示をした。

余りに弱弱しいので、菊如が声をかけた。
「お身体は大丈夫ですか」

「私にはあの地に着き、月の巫女としての役目があります。
大丈夫…、大丈夫…。
どうかこの命が、クラ―ジュの地にこの身が届くように。
この水晶に私の月を照らします。
我が名はルナーダ。
私の胸をわずらわすものが…、蛾のようなものが…」

蛾がルナーダの胸をむしばんでいた。あのガジュと同じ、頭の無い蛾だった。
菊如は「それを出しましょう」と言うと、ルナーダの胸に手を当てようとした。

するとルナーダは他の者に変化し、その右手で菊如の手を掴んだ。笑いながら。

菊如は尋ねた。
「あなたは誰ですか」
「クククク」

「蛾はあなたですか。何ゆえにルナーダに掛かったのですか」
「ルナーダは優しい子。ルナーダは優しくて寂しい子。
いつも月を見て泣いてる。月は二つ」

「二つ?二つとは?」
「ルナーダは双子の子。片割れを失くした、悲しい子。
水面に映る月を見ては自分の兄を思い出す。クククク」

「兄とは?」
「ん~~~。ククククク。ん~~~~♪ククククク」

「兄とは?」
「兄の名はルナシオン。片割れとなって」左手に何かを乗せて示した。「ほらほら、ルナシオンだ。兄を取り戻したいか。そなたには見えないか」

菊如は答えた。
「見えない!」

魔は構わずに語り続けた。
「ルナシオンとルナーダは双子の兄妹。ルナシオンを失ったルナーダは船に乗り、生きるすべも楽しみも失った。その力を買われて船に乗った。

月とおしゃべりする。そのような力を我らが見過ごすわけがなかろう。ルナーダは我らの子」
そう言いながら左手のものを口に入れた。

菊如は言った。
「それちょっと違うね。嘘の話。
ルナシオンとケイロンはどのような繋がり?
ルナーダとケイロンはどのような繋がり?」
「ケイローン?ケイローンの始まりはルナシオン」

「そうよね」
「ああ。ルナーダを背中に載せたルナシオン」

「顔どうしました?ルナーダに手を出せないのは分かります。
ケイローンとは時代が違います」

魔は菊如を睨みつけた。両手を広げ、壁に背を当て、両手をすぼめると、「やめろ、やめろ、やめろ」と絶叫して去った。

次の瞬間ルナーダが戻ってきた。

ルナーダは両手を突き出した。
「私もそこに。そこに私も~。私も~。私も共に~」
と叫ぶ。

菊如はなだめた。
「まだ駄目よ。することがあるから」
「私も、私も。お願い。消えないで。天の月には戻れなくてもいい。海に映る月には…、もうここには…」

何が起こったのか。いくつもの次元が重なり合って出て来た。

あとで聞くと、月の女神アルテミスにはルナシオンとルナーダという兄妹が仕えていた。しかし、兄妹はいつしか契りを結んでしまい、アルテミスの怒りを買って、天界から追放されたという。

そのルナーダが人間に生まれ変わった。名もルナーダだった。月を見て暦を読み、風を読む航海士としてガードゥの船に乗った

一方、ルナシオンにはケイローンという半人半馬が守護神としてついた。
また、ルナシオンはギムロに生まれ変わり、ガードゥに拾われて船に乗った。しかし、二人は互いに気づいていないようだった。


菊如はルナーダに尋ねた。
「月の女神アルテミスの天使と関係ある?堕ちたから、月の女神の元に戻りたくない?」
すると、ルナーダは答えた。
「アルテミスのそばにいた記憶はありません。
月を見て、月と語らい、ルナシオンがいつも私を守っています。
月は暦が分かります。
アルテミスのそばから堕ちたかどうかは分かりません」
航海士のルナーダは天の記憶は失っていた。

菊如は諭した。
「あなたたちは兄妹です。兄妹で愛し合ってはいけません」
「分かりました」

「二人とも堕とされました。現世は神の御慈悲で兄妹としては生まれずにいます。しかし、離れ離れになりました」

月の女神に仕えたルナシオンとルナーダの兄妹は、航海士ルナーダとギムロとして生まれ変わった。そして、現世で再び同時代に生まれ変わった。神の慈悲で今回は他人として生まれたが、別々の人生を送ることになった。

「一回戻しますね。もう一人いるから。
アルシオンを召還できますよ。データーはあるから」
と言って菊如はリエにカケラを戻した。



<20200128>



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ウーナⅡ14 ルナーダ 月読みの航海士_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-28 22:08 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ13 ウーナ 首飾りの暗号は

ここからは私が尋ねた。

「三連の首飾りに暗号があるのは知っていますか」
「あの時、月の光で見せた時、裏に明かりが透けて 見ました…」

「あなたを殺したのは星読ではありませんか」
「星読ではありません。村の人がウメルが…と言ったのが聞こえました」

――変だ。
かつてガードゥに、ウーナを殺した犯人を聞いたときにはサマルだと言った。サマルすなわち星読がウーナを殺した、とガードゥは言った。ウーナの話と食い違っている。

思えば、ガードゥは現場にいなかったので、犯人を知っているのは変だ。誰からか聞いたのだろうか。

一方、ウーナも背後から刺されたなら、ウメルかどうかは確実でない。
取りあえず、今はウーナの証言を詳細にする必要があった。

「首飾りを見たいと言ったのは誰ですか?」

「村の女の子です。私と同じくらいの年。村で仲良くなりました。言葉が違うのに思いで分かってくれました。あっという間に仲良くなりました」

「女の子のそばにいたのは誰ですか」
「その時は一人だったと思いましたが、後ろから忍び寄る人が」

「女の子の名前は?」
「イ―ヴァ。こちらではエヴァです」

「イ―ヴァはどうして首飾りのことを知っていたのですか」

「分かりません。首飾りを見せてほしいと言ったので見せました。儀式の前に殺されてしまいました。
前と背中にあります。前の物が偽物という訳ではありません。背中の物は知りませんでした。背中の物は実体のあるものではありません」

首飾りには暗号が隠されている。前後二つ揃って役割を果たす。前の物も後ろのものも三連で同じ形だ。

タケシは前の二連目を飲み込んでいる。
タケシが飲み込んだものは先程、水晶に入れたが、それを取り出して調べる事にした。

首飾りは一連目の中ほど、左右に留め金があって、そこで二連の首飾りが止められている。見かけは三つの石が縦に並んでいるように見えた。


崋山の第三の目に入れた。

崋山は読んだ。
一連目のアジャスタにアミーラ。
向かって左の留め金にアシーラ、右にピザロン。

意味は「復活、この地に、ヤーベー」
   アミーラ、アシーラ、ピザロン

ヤーベ―をこの地に復活させる。
あるいは、
ヤーベよ、この地に復活を。
という意味か。



この後、私の中から声が出始めた。
あ。
あ。
あ。
何かが話そうとしていた。
私は自分の考えや言葉が邪魔せぬように目を閉じて静観に努めた。

菊如が私の背中に気を入れ、「覚醒しよる」と言った。

ウーナが目覚めようとしていた。

その後、「アカーラ、アガ、アマン」と言った。

ただちに崋山が訳をした。
「我が魂の思い」 
しかし、アリサは「我が魂に戻れ」と記録していた。同じ場所にいて、二人の記録は違っていた。

菊如が私に尋ねた。
「まだ話せることはありますか?タイムリミットかな?るなさん」
すると、再び言葉が出て来た。

「アマール、アザ、アシータ、キマース」
崋山が同時に訳す。
「救いの手。でも来なかった」

崋山が、いや、崋山に懸かったウーナが泣くようにして
「ほんとは欲しかったんやね。私の持ってる首飾りを。
何もないのに何故狙われる」

そして、私の内なるウーナが言った。
「知らないんです。ほんとに。こんなものいらない!」

ウーナは崋山の中と私の中の両方に居た。バイロケーションだった。

崋山は顔をおおって泣くようだった。そして胸をさすっていた。

私は目を閉じたまま右手のひらにペンを乗せてコロコロところがした。
ペンは首飾りだった。

覚悟を決めてその手をネコに差し出した。

「はい。あげる」
と言うと、崋山が豹変してネコになり、私の手のひらから見えない首飾りを取った。
本当にネコの丸まった手の感触がして、私は驚いて目を開けた。
「どうするの?これで。なんで?」
と言うと、ネコは「ケッケッケッ。やった、やった」と手を上に挙げて喜んだ。

じっと見ていた菊如がネコに言った。

「そなたの額の中でそれは輝き始める。体中、しびれ始める。
良きものに使えば良きなり。悪しきものに使えば悪しきものなり」

「では人間はどうじゃ」
と、ネコは苦しみながら、言い返した。

「私たちには欲しいという欲がない。あなたにはある。ただそれだけ。
スーサー、ゴーズー、ヤーベ―。スーサー、ゴーズー、ヤーベ―」
とネコに言うとネコは苦しみ始めた。

菊如はさらに言った。
「三位一体なり。ゴーズー、スーサ―、ヤーベ―。
ウーサー、スーサ―、ゴーズー。すべて整えよ。すべてを整えよ。」

「しかと承った」
この瞬間、崋山に三位一体の神が懸かると、口から天に吐き出し、ネコを連れて行った。

すべてが終わると、崋山は
「ヤハウェとゴズは似ているけど違う。
ヤハウェとゴズのスサの三位一体なんやろうね」
と言った。


これで、三連の首飾りの後ろのネジと二つの留め金には「復活、この地に、ヤーベ」とあるのが分かったが、三つの石を透かして見える暗号は確認できなかった。今思えば、最初の質問の答えに突っ込むべきだった。同じものかも知れないし、違うかも知れない。

ただ、もしウーナから一連の首飾りがはずれなかったとしたら、埋葬されている場所にそのまま残されているのではないか。
鞍手の何処かに埋葬されているなら、物質としてまだ存在しているのではないか。
そんな思いにかられた。


<20200127>



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ウーナⅡ13 ウーナ 首飾りの暗号は_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-27 20:19 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ12 ウーナの最期は


私は咳をし続けた。

「胸の奥が熱い」と言うと、菊如はそれを両手で取り出し、崋山の第三の目に入れた。すると、崋山は胸の前で両手を胸を合わせた。

ウーナだった。

菊如が尋ねた。
「はじめまして。どうなさいました」

「何故、人々は殺し合わねばならない。何故。
何故、私を始めとする小さな子供まで。
旅をするのがいや。この地で静かにやっと安らげるかと思ったのに。
どんどん私の生まれた国の人が散り散りばらばらになり、魂が消えていった…。

私は各地を転々としてまいりました。
やっとこの地で落ち着けると思ったのに…。
この村で…。
ただこの首飾りが災いをなす…。
けれども、守っていかねばならない…」

三連の首飾りを狙う者がいた。そのため、エルマはその一連を飲み込んで死んだ。
何故、首飾りはそんなに重要なのか。また、三連がバラバラになった理由は何か。

菊如は尋ねた。
「その首飾りが別々に出てくるのは何故?」
「私が殺された時に引きちぎられました。手元に残ったのは一つだけです」

「引きちぎられたのはどの部分?誰が引きちぎったの?」

「私はこの首飾りを持って、ガードゥと共にシナイ山に登る予定にしていました。
“準備があるのでこの村で待つように”とガードゥに言われました。

ここには森があり、優しい子供たちがいました。
私たちはその村人に歓迎され、部屋も用意されました。ガードゥには“ここで待つように”と言いました。
そしてガードゥが戻って来て、“明日、決行の日”と告げられ、いよいよ私の役目が、と思っておりました。

その晩、村の女の子に、月の照らす夜でしたが、“その首飾りが欲しい”と言われました。でも、首飾りは私の首からははずれません。普段から服の中に隠していたのですが、少し見えたのでしょうか。

私は月の光に照らして、私の胸元にあるのを見せていると、突然後ろから、誰か分かりませんが、ナイフで背中を刺しました。その後、私はその場に倒れ、後は記憶にございません」

「その首飾りは何故狙われているのですか」
「分かりません。これは代々伝わるものです。身に残ったのは一連だけでございます」

「誰からいただいたのですか」
「父からです。私の国を出発する時です。あの頃は様々な国が私の国を狙って入って来ていました。国を守ってもらうために、私は砂漠の国に送られました。首飾りと共に。

その役目は分かりませんが、はずれないのです。石がついていますが、どういうことかは分かりません」

菊如は人の目には見えないこの首飾りをはずす時に、ネジを回していた。

「はずす時に、ネジをまわしたら、何か入っていましたよ。そう、紙切れ。字が書いてあるでしょ、あなたの国の字?何と書いてあるのですか」

「この文字は私たちの言葉でアミーラです」

「どういう意味ですか」

「アミーラとは”復活“です」

「お父さんが持たせたのですね。代々どんな家だったのですか」

「シュメールです。様々の言葉や文字が入って来ていました。戦いを好みませんでした。神々と対話できる人がいて、自然を愛する国でした。神々と共に暮らしていました。夢を見る人が多いです。預言をしました。

言葉の通じない人とも、頭の中で会話できる力があります。よその国々はその力を求めました。
しかし、皆、散り散りバラバラになり、私は国を出ました。

復活…。
誰かの復活なんですね。
あの山のシナイ山の誰かを呼び戻すんですね」

ウーナはそれが誰か知っているだろうか。菊如は尋ねた。
「それはヤコブですか」
「いいえ」

「ヤハウエですか」
「ええ。ヤーベです」

「ヤーベとはどんな神ですか?八幡ですか?」
「ヤーベ… それは再生と破壊と…」

「シナイ山の近くにウサがありますか。何処にあるかご存知ですか」
「ウサ?今の場所?」

「今は大分にあります。それではなくて、ホントの場所です」
「シナイ山の近くです」

「どういう場所ですか」
「様々な神が集まる場所です。破壊だけでは何も生まれません。シヴァという破壊と再生の神だけでは。それを救うために命を落としたのがヤーベです」

「ヤーベがいたのがウサですか」
「はい。そこで子孫を作り、ヤーベの力を受け継ぎました。
この国にはガードゥが来ました。
シュメールの神話では黒く大きな翼を付けた神で、杖をつき、マントを付け、牛のような悪魔のような神が降臨して光を放つと言います」

「ゴウズとはどんな神ですか」
「黒い羽根はみるみる溶けていき、光が降り注ぐ、荒れ狂った時代に光を降り注ぐといいます」

「ヤハウエとゴウズは同じですか」
「ええ。私たちの神がヤーベ。この地にある海より右手ではゴウズと呼びました。同じ神ですが、少々形は違います。同じ者だろうと思いますが、ただ少し違います」

「ゴズは宇佐にいます」
「そのうち、ドアを開けてやってまいります。ス―サの後ろでその時まで隠れているのです。その時が来るまで」

漢字で書けば須佐、牛頭、宇佐となる。

「スサ、ゴズ、ウサの発音はスーサー、ゴーズー、ウーサーでいいのですね。
スーサ―は海から来たのですか」
「ええ。海を越えて来た者です」

ここでいうシナイ山、すなわち六ケ岳の南に実際に宇佐という地名があり、こちらが大分の宇佐の前身だという伝承がある。かつて宇佐の巫女が六嶽神社に来て、「大分宇佐の方が第一の宮だ」と言いにきたあと、六嶽神社の宮司家は断絶したという記録があった。

ウーナは決行の前夜、村の女の子に首飾りが欲しいと言われた。それは首からははずせなかったので、月明りの中で見せていると、後ろから何者かに刺された。
それがウーナの最期だった。

<20200126>





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ウーナⅡ12 ウーナの最期は_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-26 20:21 | 「ウーナⅡ」 | Comments(4)

ウーナⅡ11 エルマは守らねばならなかった ネコは欲しがった


それから二週間経ち、私たちは再び集まった。
2018年9月28日。

エルマはタケシではないか、という話になった。小4の頃から呼吸が苦しい症状があった。

タケシの胸から魂のカケラを取り出して崋山の第三の目に入れた。
この時、私も反応して咳が出た。

若者が出て来た。若者は両手を合わせて握りしめた。
「何故、僕だけ、何故、こんなの。どうしてこんなものを僕に託した」

ひどく苦しんでいた。菊如が近寄って声を掛けた。
「大丈夫ですか。お名前は?」
「エルマ」

「ガードゥと一緒だったの?」
エルマは首を縦に振った。

菊如はエルマの手に何かを持っているのに気づいた。
「何を持ってんの?言われのある物なの?」
エルマは思い詰めていた。
「このために何人の人が…」
そう言うと、手の中の物を飲み込んだ。

菊如は驚いて止めたが遅かった。
「飲み込んだらダメよ!
誰にも取られたらいけんて、言われとったんよね。
息が詰まって窒息したのね」

エルマは伏してしまった。それを見て菊如は状況を察した。

「死んだって教えたかったのね。タケシの胸に入ったままだった。
渡したらいけんと言われたが、自分は力が無かったので飲み込んで守ろうとて、死んでしまった。
小4の頃から胸が苦しかった。六ケ岳で何かもらったのは箱に入れた」

タケシは誰かから「守れ」と言われて何かを手に持たされたが、守れないことを悟って飲み込んだ。が、そのために窒息して死んでしまった。

これを見ていた私も咳が止まらなくなった。
崋山は胸が痛いと言い出す。

この時、菊如はエルマが飲み込んだ物とはウーナの首飾りだと分かった。
ガードゥから手渡されたのはウーナの首飾りだった。

しかもガードゥがその首飾りに呪を掛けていた。
「黒い呪。ガードゥがどうやって呪を掛けたか。」
崋山が1、2、3と、蛇のどくろのように輪を三回描いてみせた。


菊如は言った。
「タケシに入れたのは三連じゃないよね。三連の首飾りはアジャスタで離せば一本ずつになる。これは飲み込めん。一つは既に取られている」

どうやら、ガードゥは三連の内、一連をはずしてタケシに預けたようだった。


この時、崋山の声が出なくなった。
再び首飾りを飲み込んだエルマの状態に戻ってしまった。

菊如はその喉から首飾りを取り出して左手に乗せて「これは飲み込めんやろ」と言った。

「いやだ」
と別の者が叫んだ。

菊如は急遽、床に結界を張り、その首飾りを入れた。


崋山と私二人で咳をしていた。

菊如は私を見た。
私も首飾りを持っているので咳をしているのか?
三連の首飾りは実体が前に、霊体が背中に封印されていた。


菊如は
「崋山にはまだ何かが入っている。首飾りにはまだ何かが憑いている。首飾りに憑いている」
と言って、その呪に言葉を掛けた。「出て来たら?出て来なさいよ。隠れてないで」

すると、崋山は突然ネコの姿になった。右足を立て媚びるように言った。
「早く出しなさいよ。首飾り。あと少しだったのに。ヒヒヒ」
女の声だった。なよっとしていた。薄笑いをしながら菊如にささやいた。

「首飾りとか、興味ないでしょ。たかが首飾りよ」
と菊如が言うと、ネコは言い返した。
「ふふん。たかが首飾りだから、こっちにちょうだい」

菊如は憮然として言った。
「私には興味が無い」
「だからこっちに」
ネコは招き猫のような手でもらう手振りをした。

菊如は突き放して言った。
「自分で取ったらいいやん。人に頼まなくても。今まで失敗したんでしょ」

ネコは菊如を見つめながら床を爪で削った。
「フフフフフ」
顔を寄せたり、引いたりしながら、あぐらをかき、右ひざを再び立てた。

菊如は
「そういうことか。じゃあ渡しましょうか。欲しいんでしょ。別にいいよ」
と要らない振りをした。


するとネコは喜び、左手で手招きをし、ニヤリと笑った。
しかし、自分で取ることは出来ないようだった。

座っている人の間を四足で歩きまわり、白皇に近づくと、「ねえ、来て」と言った。

私の背中を指さしながら、
「分かる?背中。黒いのがついている。あのナイフをはずして!彼女が危ない!刺さってるの」
とささやいた。実に悩ましく媚びを売るネコだった。白皇は目を白黒とさせていた。

突如、菊如が歌い出した。
「お魚を抱えたドラネコ♪皆が笑ってる♪」

すると、ネコは菊如の前に戻り、挑むような眼つきで、その膝に手を乗せた。

菊如はネコを見ながら「ケルゲロス。配置せよ」と宣言すると、
ネコは「早く渡しなさいよ」と迫った。

「渡してもいいけど、知らんよ。何が起こっても知りませんよ。いいの?」
と言って、菊如は私の首に掛かった見えない首飾りをはずし、
「あなたの言った通りにするからね。ハイ」
と言って、その口に入れた。

ウ~~~~。シャ~~~~。ネコは苦しんだ。

菊如は唱えた。
「そして、それは輝き始める」

ウ~~~~

「どんどん輝き始める」

苦しんだ挙句、ついにネコは失神してしまった。

菊如は水晶にタケシが飲んだ物とネコの口から取り返した物を入れた。
「もう一個は何処にある?ルカ伝第3章2!」

私は胸の奥が熱い。
私は「何か言いたいみたい」と言った。

<20200124>


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ウーナⅡ11 エルマは守らねばならなかった ネコは欲しがった_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-24 21:29 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ10 ガジュは辿り着かなかった


さて、この日居合わせた琴音が12人の一人かどうか、確認することになった。

出て来た男はひどく咳き込み、あきらかに病気で死にかかっていた。

菊如が尋ねた。
「船に乗って来た人?」

「ああー。ワシは舟に乗って病にかかった。咳や熱がひどい。ワシは呼吸が苦しくなり、身体が動かなくなり、役目を果たせなくなった」

菊如が神水で癒すとようやく話が出来るようになり、語り出した。

「我が名はガジュ。本土に着く手前、あと少しの所で病に倒れた」

菊如は「その病、身体から出す」と言って原因となるものを抜き取った。

ガジュはさらに元気になって話した。
「我が身体に蛾が住み着いた。それから呼吸が出来ない。本土に着き、目の前であの地に着けず」
ガジュの身体に入った蛾は頭の無い蛾で、人の口や鼻から入り、胸を侵していくものだった。

「あなたはどんな役目を持っていたのですか」

「風を読む者の話を聞き、ガードゥとは別の船を取り仕切り、船の進行、水取り、食料の調達、といろいろやった。時には皆を船から降ろさねばならなかった。

使命を果たせぬまま、ワシの御霊は皆と共にシナイ山の麓にある。また、あの時果たせなかった使命と共に」

「皆とまだ旅をしたい?今からでも遅くないですよ」

「あの頃の私は腕力も力もあった。私はガードゥを守るために、またガードゥから守られていた。
ただガードゥは皆に多くは話さなかった。私はガードゥの話を聞き、皆に分かるように話した。

使命は厳しく、それを聞いて泣きじゃくる人の話も聞いた。皆、不安や怖さがあった。このゴールは何処なのか、果たして行けるのか、皆、不安があった。

ガードゥのように見えたり聞こえたりはせぬ。ただしなければならない事が何となく分かった。私は信じることしかできない。ただこの病で思いを遂げることができなかった。それが無念」

菊如はガジュの思いについて語った。
「私たちの言葉では無念は「念が無い」と書くんです。無念から思いが離れて念が無いのが、これからのためだね。無念をはずすのが今世の目的だね。こうやって集まって来ているんだから」
と諭した。

ガジュは答えた。
「自分の心が、あの頃のように自分の心が躍るような人と出会い、また話がしたい。今は時間に流されるような生き方をした。それが出来るだろうか」

「できますよ」

「みんなとやり遂げたい。みんなと一緒にいたい。一緒に行きたい。あの地に残されるのは…いやだ」

ガジュの魂は六ケ岳の麓に残ったままだった。

「六ケ岳の下、今は川原となっている所だね。あそこに居たら駄目なの。待ってくれたのかな。本来の自分に戻ろう。病気になってプラス思考になれないでいる。

ガジュは気力が萎えて病んでいったね。どんなに苦しいことがあったとしても、言葉は偉大なり。言葉を先行させる。神に届いて必要なものを届けてくれる。
もう一人ではない。みんな周りにいる。殻を閉じていたから伝わらなかった」

「置いて行かんでくれ。私も行きたい」

「沢山生まれ変わりをしてきたよ。心が優しく、悩み苦しみ、本当は弱いのにそれを人に見せなかった。それをクリアしていこうと今世は女性に生まれ変わってきている。誰かを守る。今世で愛することを知って、寄りかかる事を知って、素晴しい女性になっている。

今、無念、念を晴らす、ことによって無念になる。破壊と修正。
今の琴音は素敵だよ。一生付き合いたいと思う。ここでどう変わるかだ。

念彼観音力、自分を信じる力が付く。これから必要。
封印された現琴音を再生していく。すなわちあなた自身になる」

「私は途中であきらめた。みなに迷惑になるからあきらめた」

「閉じ込めただけでは駄目。すべてを見通す、360度見通す目。聞き分ける耳。
再生して封印を解いて、本来の琴音の力を出して。神は全方向からあなたをサポートします。仲間がいる」


ここで私にバトンタッチした。

「ギムロはどうしましたか」

「上陸してウーナと共にその時が来るまで村に住んだ。その土地の男の格好をして隠れていた。その村で、その時まで、皆、散り散りバラバラに隠れて住んだ。

ガードゥは身体が大きく顔も違ったので隠しようがなかった。金銀を狙い、さまざまの地から人々が来ていたが、ガードゥはシナイ山の麓に陣を造り、一人でいた。他はそれぞれの村に暮らした。時を待たねばならなかった。

ガードゥが上陸した時、一人の現地の巫女と会わねばならぬと話していた。道案内をする巫女が一人。シャーマン」

この日、もう一人、来ていた。菊如はこの人についても確認した。

「ガードゥについていった人はこの人ですか。名前は何というのですか」
「エルマだ。ガードゥの側近だ。ガードゥの息子」

「伝令をしていたのですか」

「ああ。ガードゥは厳しいから、理解できる者をそばに置かねばならなかった」
「で、エルマが付いてきたのですね」
「本当の息子かどうか分からん。が、六ケ岳に辿り着いている。17~8歳の時だ」


次に私がガジュに尋ねた。

「亡くなる時、世話してくれた人はいましたか」
「私は皆にここに置いていけと言った。でも置いていけないという。パテオと言う女が世話をしてくれた」

菊如が言った。
「霊力がすごい。治癒能力が。エジプトの人」
「知らない」

ガジュは一人で逝ったのだろうか。私は尋ねた。
「パテオが看取ってくれたのですか」
「ああ。私が覚えているのはそこまでだ」

菊如が「月の関係?」と聞くと、ガジュは「うん」と答えた。


「パテオは舟の中で何をする人ですか」

「パテオは治癒能力があった。傷を負うと治してくれた。ただ私の体はもう駄目だった。今世のパテオは今、心が病んでおる。心で何かが目覚めようとしている。闇の中をさまよっている。今度は私が彼女を助ける番だ」

「やろう。覚醒して本来の力を出して」と菊如は励まし、魂を元に戻した。

12人のうち、ギムロ、ガジュ、エルマ、パテオが分かった。

<20200123>


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ウーナⅡ10 ガジュは辿り着かなかった_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-23 21:21 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ9 ガードゥ4 木の種族ギムロ


12人の乗組員を明らかにする必要があった。
この日、居合わせた白皇について確認した。

「白皇も12人の一人ですか」
「ああ。のちのタケルよ。その頃の名を知りたいのか」

「ええ。何かに長けていた方ですか。それはどんなものですか」

「名前はギムロ。青い目をしていた。年が一番若い。戦のさなか、母を亡くした幼き子だ。
我が船に乗せた。7歳だった。その目に光る忠誠心が見えた。名が無かったのでギムロと私が付けた。
母から譲られた首飾りを付けていた。木の丸い輪っかに木の皮の紐を付けていた」

これに驚いたのが白皇だった。たまたま直前に同じようなものを購入したばかりだったのだ。
まさしく木製でドーナツ型をした輪に革紐がついていた。


私は質問を続けた。
「サタンはギムロを狙っていましたか」

「いいや。ウーナがギムロを可愛がった。自分の古里の話を聞かせておった。寝る時もギムロを離さなかった。星の話、そう、星を見ていろいろ話していた。自分の両親が死んだ話もしていた。ウーナの古里も攻撃を受けた」

「ウーナの故郷はシュメールですか」

「スメル。スメルの姫。賢く、どんな種族とも言葉は無くとも、心で通じ合って、戦をせぬ国に生まれた。他の国はこの小さな国の力を欲しがり、かつ恐れていた。
ウーナはスメルの姫。ギムロは木の種族。冷えた土地に水さえあれば木々を生やすことが出来る」

「緑生ですね」

「ああ。ギムロは水さえあれば無敵だ」

「航海するメンバーに、そんな小さな子も必要だったのですか」

「乗せた始まりは、母の傍らで泣いていた子を置いては行けぬからだ。そしてギムロは目覚めて行った」

「その能力は六ケ岳が岩山だったから必要だったのですか」

「そうだ。使命があった。岩山で鉱山があると木が生えない。木を生やしてその土地を繁栄させる必要があった。使命のためにその土地を汚すことはできない。今、空気が悪い所でも木が生えると浄化されるであろう」

「そうですね。ところで、ウーナが死んだ場所はどこですか」

「六ケ岳寄り、平たい土地だ。ウーナはその土地で書き物や占いをした。文字を地元の子供に教え、石で首飾りを造った。石占いの始まりはウーナだ」

「え?そうすると、亀甲(かめのこう)ですか」

「ああ」

――思いがけない所で話が繋がった。「脇巫女」の時代に石占いのタギツが出て来た。ヤマトタケルとスクネがタギツに道を占ってもらったが、彼女がいた場所が亀甲だった。ウーナが教えた石占いが連綿とこの地で受け継がれたことになる。

ウーナはその亀甲で殺された。サマルは誰かに転生しているのだろうか。

「殺した人は今は男性ですか。あなたが知っている人ですか」
「ウーナは背中から殺された。首飾りを返せば分かる。分かれば苦しいぞ」

――え?現世の私が首飾りを手に入れたら分かる?
う~ん。今は別に必要じゃないし… 苦しいのなら、要らないなあ。
「それなら要りません」と私は答えておいた。


鉱山として思い浮かんだのが銀韓塚古墳の裏手の山だった。
「重要な地として銀冠塚古墳のあった山はどうですか」

「ああ。あそこは鉱物が豊かに出る。金銀取り放題だ。そこらじゅうキラキラする黄金の地だ」

鞍手にかつてあった巨大な銀冠塚古墳は近年、団地建造の為に破壊され、埋蔵物の調査もされなかったようだが、一市民がいたたまれずに発掘した結果、銀の冠の一部が出土した。その冠の形は法隆寺の薬師仏の脇侍仏の冠と同様のデザインと考えられている。聖徳太子の時代だ。

その古墳が築かれた丘陵地帯は六嶽神社から見える断層帯に連なっていて、水銀が採れるなら、他にも多くの鉱物があったと想像した。

とりあえず、12人の中にギムロがいたことが分かった。

幼いウーナとギムロは大人たちの相手にされず、夜は船室の入り口で、たった一つ付けられた灯りの下、いつも二人で遊んでいたという。




ここからは、アリサが質問をした。

「ヤハエの復活が成功していたら、今より良い世界になっていたということですか」

「少なくとも人の間に入る魔を封印できるな。その力は抑えることが出来る。人の体に入り、この地に入ってくる憑依に気づけない者、我が気質と信じて生きている者が多い。

憑依すると魔物が芽を吹く。怒りを数千倍にし、後で後悔する。悲しみを増幅させ、魔物のエサになる。それは我らが失敗しているせいだ」

「石板を降ろすのは何のためですか」

「そのために使う。ヤハエを復活させる。生きている者の為に働き出さねばならない。神々にはっきりと祈りながら、何をしなければならないか理解する必要がある。

天から学び、どういう生き様を神に見せるか。もう祈る時代は終わった。お願いする時代は終わった。もう、祈りではない。

どういう生き様を見せるか。それを見て神は采配する。
全滅か。再生か。まだまだ人間はやれるのか。
采配を受ける。その先端に生きているのが我らだ。

そこで学んだ物を持ちより、どういう生き様を天にお返しするのか。今はその時、我も返していく。
もう、この魂の苦しみを終わりにしたい」

そう言うと、ガードゥは去っていった。


<20200122>




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ウーナⅡ9 ガードゥ4 木の種族ギムロ_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-22 21:25 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ8 ガードゥ3 何が起きた


ガードゥが裏切られ、苦しんでいることは分かったが、いったい何が起きたのか、明らかにせねば、力になることもできない。

ここからは、バトンタッチして、私が質問することになった。

「12人の男女の比は分かりますか」
「姫を除けて女5人対男7人」

これほどクリアに答えが出てくるとは思っていなかった。もう少し詳しく尋ねてみよう。

「あの三人。二人の男が一人の女を争ったと言いましたが、その三人は?」
「?」
――質問の意味が伝わっていないか。

「転生した人の中に、思い当たる人がありますか。残った二人はカップルになっているか」
「ああ」
――この日集まった中にはいないようだった。

シナイ山での出来事も明らかにせねばならなかった。
「ガードゥは一人で六ケ岳に登ったのですか」
「共に登った者がいる」

「あなたはどうやって死んだのですか」

「祈りをして天からヤコブの杖を手に入れるため六ケ岳に登った。杖を手に入れた瞬間に背中を刺された。
雷が鳴った。
倒れながら杖を埋めた。私を刺した男は山を下りた。雨に打たれながらこんなものか、と思った。逆に我を恥じた。人をやすやすと信じた我を恥じた」


「一緒に登った人は誰ですか」
「当時、ウメルと言った。物部だ。道案内に必要だった」

「六ケ岳、あなたの言うシナイ山はどんな山だったのですか」

「巨大な岩山で、登るのに3日かかった。我らには使命があった。ヤコブの杖を手に入れるという。
この地を狙う者がいた。だから、高い山に登りヤコブの杖でこの地を覆い尽くす結界を張るため、杖を降ろさねばならなかった。ヤコブが手に持っておった石板を手にして。

あの地で杖と石板をもってヤハエの復活を願ったが、叶わなかった。石板は天に戻し、杖をあの山に埋めた」


「道案内の物部は私たちの周りにいますか?」
ガードゥは否定はしなかった。

「その魂の確認ができますか。誰なのか」
「私がか」
「ええ」
しかし、答えはなかった。

ここまでで、ガードゥは物部のウメルに道案内を頼み、三日かけてシナイ山に登ったことが分かった。ガードゥは結界を張るためにヤコブの杖を手に入れ、石板と共に神の復活を祈ったが、ウメルから刺されて倒れ、雷の中、杖を埋めて死んだ。

ウメルは何故ガードゥを刺したのか、動機が分からない。またのちに明らかにせねばならないだろう。

もう一点。エジプトから救い出したシュメールの姫、ウーナはこの時、何をしたのだろうか。

「石板を降ろすのはウーナの役目ですか」

「ウーナはその前に殺された」

――!!!何と、ウーナは殺された?
え?え?
ウーナをここに連れてくるのが目的ではなかったのか。
いったい何が起きたのか。

私は気を取り直して尋ねた。

「誰に」
「一緒の船で来たサマルだ」

「なんで殺されたのですか」

「あいつはもともと自分の村が貧乏で、母一人でサマルの帰りを待っておった。どうしてどうして、なかなか人の良い男だったが、ウーナの首飾りに惹かれた。

私は金品欲しさに狙ったのかと思ったが、魔に憑かれておったと分かった。ウーナの首飾りを持っていた」

「ウーナの首飾りをサマルが?」

「シナイ山に登る前、夜に儀式をして、おのれで首飾りを取り、背中の霊体を本体に移す予定だった」

「その首飾りが欲しくてサマルはウーナを殺したのですか」
「首飾りを欲しかった魔物はアズールだ。あの頃はアズールがトップに立っていた。ルシファーはあとだ」

――エジプトでウーナが殉死する直前に救い出したサマルがウーナを殺した。しかし、それをさせたのは魔物のアズールという。

「では、儀式が出来なかったのではないですか」

「首飾りを持って行って石板を降ろした。ウーナと私の心は一つ。魂を呼び、どうかこの地のために我が仲間として力を貸してくれ、と祈りを共に捧げると、十刻の石板が降りて来た。その場で上に返した。
上から稲光がして、雨が降り、私は倒れ、土を掘り、杖を埋めた。
左手にウーナの首飾りを持っていたかもしれない」


ここで菊如が尋ねた。
「シナイ山が低くなったのを知っていますか」
「大地震が起きて崩れた」

――いつのことだ。時代が知りたかった。いったいどうやったら分かるのだろうか。
西暦の無い時代に、時代をどう尋ねたらいいのだ。それでも私は尋ねずにはいられなかった。

「それはいつのことですか。何か分かりませんか」
ダメ元で尋ねると、崋山が見えているものをそのまま書いてみよう、と言った。

  「Ⅵ」
  「Ⅲ」
  「Ⅹ」
横並びに「ⅥⅢⅩ」と書いた。ローマ文字だった。

「どっちから読むのですか」
「右からだ」

そうすると「1036」となる。もし、鏡文字だとしたら、ⅥはⅣと入れ替わり、「1034」となる。

どうしたものか、悩むと、菊如が1から10までの数字を紙に書いて崋山に指させた。

ところが、それを見て、崋山は1から10までを指文字で示し始めた。

右手でイイねマークのように親指を出すと「1」
   小指を立てると「2」
   中指を立てると「3」
   薬指を立てると「4」
   人差し指を立てると「5」

左手で親指と小指を立てると「6」
   小指を立てると「7」
   中指を立てると「8」
   薬指を立てると「9」
   ゲンコツで「10」

「ウーナから習った」と言った。

たしかに指文字や手文字は船乗りたちが風の中で声が届かない時には有効だ。
しかし、まさか、ここでそれを見るとは思いもしなかった。

それから崋山が指文字で示したのは「1034」年だった。

確認しなかったが、これは紀元前のことだろう。
紀元前1034年となる。

何故か、この時、私とアリサは指文字をすぐに覚えて、二人で楽しんだ。菊如と崋山はあきれて見ていた。今では全く覚えていないが。


さて、もう一つ聞きたい事があった。ヤコブの杖は埋められたあとどうなったのか。
「杖はどうなったのですか」

「杖は、陥没の時、山の中心が崩れ、外から覆い隠すようになった。中心は下に崩れて行った。その杖と12人が集まって次の試みが始まる。この試練を超えないとヤコブより運ばれて来ぬ」

「杖でなく別の物が降りてくる?」
「杖を浮き上がらせる」
良く分からない。

「崎門(さきと)山に下見に行った、あの日に始まりを告げたのですか」

「また試みる、と、また始まる、と、繰り返す中で心は疲弊していた。傷つくことがいやになり、他の人に任せたかったが、神々が私を選ぶ。

譲ってやってもいいが、神々は私を見つける。私にはまだその答えは分からない。決して望んではおらぬ。
何かがあるかもしれないという期待は持てるように心を向けて行こうと思う。
どこまでやれるかは分からんが」

崎門山とは六ケ岳の一峰。三女神が降臨したと言われる山のことだ。

ガードゥは転生しながら、再びこの課題に取り組まねばならないようだった。

<20200121>



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ウーナⅡ8 ガードゥ3 何が起きた_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-21 21:15 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

ウーナⅡ7  ガードゥ2 過去生と現世の葛藤


2018年9月15日。

崋山が頭が痛いと言い出した。
崋山の過去生がガードゥだった。

痛くさせているのはガードゥだ。
話を聞くことにした。


ガードゥは睨むような眼つきをした。

「お前たちが皆、ワシを裏切った。ここまで我が先導し、ここまで来て、平穏な暮らしを求め、どんなに疲れても一つの信念を持ち、この地に来たはず。ワシがどのような思いで来たか。先に逝った者たちの思い、悲しみが分からぬのか。
ここまで来て、これ、苦しそう、やれ、かわいそうなど、言って。
いったい、どれだけの者が苦しんだ。命を絶やしてきた。
その者たちのために来たのではない。

ここには来たくはなかった。我はもう誰も信じん。我の思いを封印する。
もうあのような思いはしたくはない。
何千年経っても人間は変わっていない。

一人減り、二人減り、肉体を失った者の思いを胸に負い、この地に来た。
我と同じになれ、とは言わん。何故、人はぶれる。貫き通さねばならないものがある。何故変わるのだ。

神は言った。それが人だと。しかし、我は許せぬ。肉体は無くなっても大勢の者がすがりつく。立て直せと。それを分かち合える者が我にはおらん。孤独が我をさいなむ。

我の使命は果たさねばならない。そうしないと永遠にこの思いが続く」

崋山の中で覚醒したガードゥは怒り、苦しんでいた。
が、いったい何が起きたのか私には分からない。


菊如が言った。
「神はあきらめてはいませんよ」
「我は耳を閉ざした。神の声が聞こえぬように。それを分かち合える者はいない」

「何回も生まれ変わって来たのでしょうが、そんなに沢山の人がいるのですか。一人だけ居たらいいのではないのですか」
と菊如が言うと、ガードゥは少し落ち着いてきた。そして、語り始めた。

「12人と姫一人と船出をした。
毎晩、月明りの中で自分を乱さぬように、魔が入らぬようにと気を配った。魔は人の心の隙に入り、いざこざを起こす。
姫を送り届けるため、封印を解くため、かの地を目指した。使命を忘れぬように。

私を信じなくてもよい。先人の思いを背負い、やるべきことがある。何をしにいくのか。
我が12人を守り先導する。
魔は心の隙間に入り、一人は一つの間違いから責められて、身を投げた。一人は、女を二人で取り合って殺した。そして最後には我もあの地で命を失った」

「あの地とは?」
「六ケ岳。頂上で」

「風を起こしたのはあなたですか」
「ああ」

「シナイ山を見せたのはあなたですか」
「ああ。もうこのような思いをさせぬ。神はあきらめておらん。永遠に受け継がれていく」

「今日で終わるとは思っていません。13回ぐらい続くはず」

「私は今日、出る気は無かったが、12人の話が出た。まるで選ばれし者のように。とんでもない。どんなに大変か。魔が入らぬようにし、目的地を見つけ、目的を達成せねばならなかった。
おどしに聞こえるかもしれないが、何故、何度も失敗しているか」

「その波乱万丈な人生を受け入れ、希望を持ち、自分を信じていけば、ぶれずに生きていけるのではないですか」

「12人、決して楽ではない。崋山にとって一つの救いは友がいること。自分の間違いには気づけぬ。見定めてくれる人がいる。気づけぬ時、魔は入ってくる。
私の気が大きくなればなるほど崋山が苦しむ。孤独になる」

崋山の中でガードゥが目覚めた。ガードゥは違う人生を歩んでいる崋山のやり方に不満を持つようだった。
崋山の中で二つの価値観がせめぎ合っていた。それは今を生きる者には大きな負担となった。


菊如はガードゥに語りかけた。

「何十回も生まれ変わって経験して、魂は少しずつ磨かれていくんではないでしょうか。崋山の心の中でいつもけんかをしておる。でも、現世では私が居るんですよ。その頃の崋山とは違います。私が支えられます」
「私を裏切った者もそう言った」

「でもね。何かの原因と結果もあるんです。あなたも素晴らしい所はいっぱいあるけど、向き合う心が要るかもしれませんね。
12人は選ばれたのではではなく、「なってしまった人」ではないですか。

完全無欠な人はいません。自分の正義が相手に通じるとは限らない。伝わらない人には伝わらない。魂の色が違うから。

私もあなたとかなりの年月一緒にいるけど、この時代でも正しい事は伝わらない。相手に伝わらなかったら正しいとは違う。12人が乗ってしまった船の中にその意味があるのでは。
神が見たら傷だらけの魂。受け入れて」

「何で分からん」
ガードゥは心で泣いていた。

菊如は話し続けた。
「未熟だから分からないこともあるのです」
「何で我が想いが分からん」

「自分を責めたり、執着して疲れさせ、混乱させないで。魂の磨きはそれぞれだから。
あと30回経って出会ったらまた違う」
「もう、船は出ん。神が何と言おうと船は出ん」
そう言って、ガードゥは頭を抱えた。


菊如は伝え続けた。

「大切なことは、全部海に投げ捨てること。あなたが楽になるために。人や何かはいい。

人間とは色んな人がいて、生まれ変わった回数、経験、気づきが違えば、出逢い方が違えば、自分と同じようではないのです。経験、気づき、学びが違う。12人は置いといて良いのです。

あなたが楽になれれば良い。それが神が喜ぶこと。執着をはずすのです。
神があなたに気づいてほしい事は、執着から離れろ、という事ではないですか」

「使命を全うせねばならない」

「いつまでも執着してはダメです。あなたが執着を捨てなければ。皆、経験が違うのです。使命も今のあなたには出来ない。自分の正しいは、あの人の正しいではないのです。人とトラブルになっていく。

言い方が違えば受け取り方が違う。同じような人が12人集まれるわけではないのです。
使命を優先するより、あなたを神は救いたいのです」

「我にしか出来ぬこと。それに執着するのは当たりまえ」

「挑戦する事は望んでいても、執着するのは望まないのでは。
ここまで来る前に正義感で動いたのでしょうが、その過程で苦しんで、沢山の傷を負ってきている。昔の12人とは違う経験をしています。神が助けたいのはあなたの心」


ガードゥはしばらく考えた。それを見て菊如は伝え続けた。

「今の崋山は一人ではない。私がいます。私も一人ではない。崋山がいます。たった一人いればいいんじゃないですか。100人より、真剣に考える人が一人いればいいのではないですか。

長い苦しみから離れてください。神が喜びますか。執着から解放されると心の扉が開きます。そこには大海の海水が入ってきます。池の水ではなく。

執着から離れた者は魔は扱いにくい。魔は手こずるんですよ。そうするとあなたが強くなるんです。執着はエサです。

そこから12人になる。そうなれば無敵ですよ。崋山からはずし、次に12人がそれぞれの我と執着をはずす。そうすれば船は動き出すのです。自分の垢を先導する者がはずして行動する。それからそれぞれから垢を外していくのです」

「一か月前から正義について考えた」
「分かっています。
まず、見当違いが一つ。分かってくれるだろう、というのは上から目線です。
二つ目に、その人にあった伝え方をしていない。理解できない人に対しては、相手の受け取り方を知って話す必要があります」

「ワシは生き様を見せれば付いてくると思っていた。寄り添うことはしなかった。本人が乗り越えると思っておった。ただ今の言葉を聴けば寄り添う事が必要だと分かった。私の行動を見れば理解してくれると思っておった。前しか見ておらんかった。

崋山の中で崋山の行動を見ておると、必死に、私がしておらぬことを、吐き気を催しながらやっておる」

「人間はすぐに輝く水晶にはなりませんが、無垢の水晶ではどれか分からない。違ってよいのです。転生しながら、あなたはここまでやって来ています。水晶の一面を磨くのです」

「もう繰り返しとうない」

「神のことを思っていますが、神は執着を外して喜びます。苦痛に強いられた使命など、神は喜ばないのです。まずはあなたが楽になられること」

「私が変わらねば崋山が苦しいのか。心が苦しい。心が痛い。刃物で造った切り口より心が痛い。良う、そなたから言われたことを考えてみる。時間を取らせて悪かったな。待っておる者がいる。ワシが泣けば皆が迷う」

「そうですね。みんなはみんなで良い。太陽に向かってひまわりが動くように、人間ってそんなに変わらない。でも、変わろうと思えば変わっていきます」
「ヤコブがその時を待っている」

「執着が離れなければ魔は喜びます。だから執着から離れねばらない。私が言わなくても、あなたが行くべき方に向いていくかもしれない。
13回でも、やらなければならないなら、やっていきます。

執着が離れれば前向きになる。守らねばと言わなくても守れている。「ねば」という意識が戦いになる。柳腰。崋山は船。柳はすっと通す。

崋山は今を楽しめばいいのです。楽しむ心に魔は入らない。

厭なことが起こるから認識する。災い転じて福となる。無駄なことは一つもない。わたくしは楽しもうと思います。過酷だね、と言われても。厭なことは苦しい事だった。悩み事と一緒に執着を離していく。個人のブロックをはずす。そうすれば、他の12人の色んな問題のフォローになれるかもしれませんね」

ようやくガードゥも前を向いた。晴れ晴れとした顔だった。

誰もが、この人生では体験していないのに、失敗への恐怖を持っていたり、怒りの感情を持っていたりする。それが何処から来るのか原因を知り、その感情を見つめると、囚われが消えて行く。

それを目の当たりにした夜だった。

いったいガードゥは何をそんなに苦しんでいるのか。
何が起きたのか。
裏切りとは何か。
目覚めていない私は、ガードゥに尋ねるしかなかった。

<2020019>


異世界小説  「ウーナⅡ」を始めから読む
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ウーナⅡ7  ガードゥ2 過去生と現世の葛藤_c0222861_15441632.jpg

by lunabura | 2020-01-19 21:24 | 「ウーナⅡ」 | Comments(0)

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