2017年 10月 01日
豊玉姫 『日本書紀』
豊玉姫
『日本書紀』
豊玉姫については、これまでは『古事記』の話を前提にしていました。
あらためて『日本書紀』を訳してみると、ずいぶん雰囲気が違います。
特に出産のシーンは「八尋ワニ」(神亀)ではなく、
「竜」になっていました。
豊玉姫を「竜女」というのはこれから来ているんですね。
志賀海神社を「龍の都」(たつのみやこ)というのも、
安曇族のトーテムが龍(たつ)だったことを示しているのでしょう。
『日本書紀』には、
海神(わだつみのかみ)豊玉彦が山幸彦に干珠満珠を渡すシーンが
書かれていますが、これは今回省略しています。
山幸彦は兄の釣り針を探しに海神(わだつみのかみ)の宮にやって来ました。
井戸のほとりに湯津(ゆづ)桂(かつら)の木があったので、
そこにたたずんでいると、
一人の乙女が屋敷から出て来て水を汲もうとしました。
山幸彦と目が合うと、乙女は驚いて屋敷に戻り、
父母に「珍しい客人が木の下にいました」と言いました。
父の海神が出ていって山幸彦に事情を尋ねると、
山幸彦は釣り針を探しに来た事を伝えました。
海神が大小の魚を集めて調べると、
鯛の口に釣り針が刺さっていました。
この縁で、海神は山幸彦を留めて娘の豊玉姫と結婚させ、
二人は幸せに暮らしました。
ところが、三年経つと、山幸彦は自分の国に戻ってしまいました。
豊玉姫は懐妊していたので、妹の玉依姫を連れて
海を越えて山幸彦の元にやってきました。
出産する時に「見ないでください」と言いました。
ところが山幸彦は我慢ができずに覗き見をすると、
豊玉姫は龍になって出産していました。
それを知った豊玉姫は、
「どうして約束を破ったのですか」
と嘆き、子供を萱(かや)で包んで海辺に捨て、
海の道を閉じて去ってしまいました。
生まれた子供は萱にちなんで「ウガヤフキアエズ命」と言います。
竜に戻って出産した豊玉姫が自分の姿を見られ、
恥じて子を捨てて戻って行ったという神話の真意は
何らかの政治的な事情で子を奪われたことを示しているのだろうと
いつも思っていました。
マーリンさんが、志式神社のビジョンで、
船に乗る直前、豊玉姫がずらりと並んだ兵士の前で
必死で話をしているようすを見たそうです。
その時、兵士たちは皆顔を伏せていたと。
(少々表現が違っていますが、リンク先、あとで探しておきます。)
そんな事情が込められたのが神話化されたのでしょうね。
さて、
10月7日(土)と8日(日)の講演の概要が決まりつつあります。
三越前のライオン広場というのは通路の一部のようです。
通行人にお話しするって、すごく難しそう。
音楽ではないので、足を止める方がいるのかどうか。
皆さん、応援に来てください (^^)/
サイドバーに日時を書いています。
『神功皇后伝承を歩く』志式神社 下巻72
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