2017年 05月 07日
ひめちゃご75 英彦山神宮 奉幣殿
ひめちゃご75
英彦山神宮
奉幣殿
英彦山には福岡県の男子が成人するとみんな登っていた。
父がそう話していたことを思い出した。
母に聞くと、母の故郷でもそうだったという。
福岡県の南部からも英彦山に登ったというのだ。
同じ話が真鍋大覚の本にも出ていたので、一般的な話だと分かった。
福岡県中から成人した若者が英彦山に登っていたとは。
何のイニシエーションだろうか。
いったい何を求めて青年は登らねばならなかったのか。
英彦山神宮の主祭神は天忍穂耳命だ。
天忍穂耳に何故、祈らねばならなかったのか。
あるいは修験道にちなむ風習だったのか。
今は聞かない。
戦争でその風習は消えたのだろうか。
思えば、神武天皇も北九州の一宮神社の磐境神籬から
祈ったのは天忍穂耳だった。
日子、すなわちアマテラスの子と呼ばれる天忍穂耳。
この山は日子山から彦山となり、英彦山となった。
農耕の神、鉱山従事者の神の性格を持つ。当初は後者だろう。
筑紫の曙の頃の記憶を伝える神でもある。
友人から聞いたエピソードも思い出された。
友人が熊野に参拝したとき、社務所で、どこから来たのか尋ねられた。
福岡から来た、と答えると、
「お疲れさま、英彦山が元宮ですよ」
と言われたそうな。
奉幣殿に着いた。
昔と何も変わっていなかった。
シャクナゲが咲く水場で水をいただく。
そうそう、高住神社も英彦山神宮も水がおいしい。
というか、神水だ。
ペットボトルを持っていこう。
リュックがあれば帰りも重くない。
スロープカーで登って来た人たちがどっと訪れる。
憧れても登れない人たちがいた時代が千年以上もあったことからすると、
なんと良い時代になったことか。
こちらは遥拝所で、頂上への登山口だ。
中宮に市杵島姫が姉姫たちと共に祀られている。
スロープカーで奉幣殿まで来て、ここから登れば
時短で市杵島姫に参拝できる。それも一手か。
二女神のラインが日王山を通って六ケ岳グランドクロスに届く。
地のラインだが、天空のラインとも呼びたい神々の世界だ。
奉幣殿から先は登山靴が必要だ。寒い季節はアイゼンも。
かつて春でも石段が凍って滑り台になっていたために断念したことがある。
雷鳴の間隔が短く近くなってきたが、不思議にあわてる気にならない。
なるようになるさ。
長い石段を下りていく。
車に乗ると、ついに雨が降り出した。
ヒョウも降る。
途中、高木神社の祭に遭遇した。
ここだけは雨が降っていない。
そして、その町を抜けると土砂降りだった。
神輿を担ぐ人たちは周囲が雨とは知らなかっただろう。
神懸かった不思議な光景を見せられた。
『神功皇后伝承を歩く』上巻2 神功皇后は神武天皇の旧跡で祈った
<2017年5月7日>
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