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ワダツミ25 庸1 ウガヤフキアエズの玉依だった



 ワダツミ25  

庸1 

ウガヤフキアエズの玉依だった


 
  
 
さて、七つの珠の奉納は無事に終えたが、
ウガヤフキアエズの事がどうしても理解できなかった。


分かったのは志賀島のフキアエズ朝が襲撃され、
一人のウガヤは熊本の宇土へ、
もう一人のウガヤは北九州の赤坂に船で逃げたことだ。

少なくともウガヤフキアエズが二人いることになる。

宇土のウガヤには子が生まれず、赤坂のウガヤは戦いに巻き込まれて死んだ。
いったい血脈はどうなったのか。

ウガヤの母・豊玉姫にさかのぼると、
豊玉姫は双子を生み、一人は殺され、一人は生き残ったという。
数が合わない。

系図を書こうにも書くことができない。

そして菊如から断片的に、豊玉姫と姉妹のように育てられた玉依がいる、
と聞いていた。

玉依とはワダツミの力を持つ者と人間の間に生まれ、海からの言霊を聞く者という。

玉依はワダツミの者の養育係の役職名で、代々七人で編成される。

その玉依の一人がこのブログの読者である鈴音(すずね)だった。

鈴音は自ら菊如に連絡を取り、小戸の妙見宮で顔を合わせた。

菊如は鈴音を見るなり、ワダツミと関わる人、と分かった。
そこで、本人にカケラを見せてもらう許可を得て、結願をした。

それで鈴音の過去生の名は庸(よう)だと分かった。

庸は玉依としてウガヤフキアエズの養育係となった。
そして三日間ウガヤを育てると自分で育てたくなってしまい、
四日目にひそかにその子を抱いて竜宮から陸へと向かった。

ところが、途中、海の中でサメに襲われて足を喰われてしまった。

庸は砂浜に打ち上げられた。
そこは志賀島の勝馬だった。

庸はそこで自分の姉に赤子を預けた。

庸はこの時、しゃべらぬように舌を取られていたという。

庸は何を口封じされたのか。
赤子はどっちのウガヤなのか。

疑問を菊如に話すと、新たにその結願をすることになった。


20181013





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志賀島 勝馬 沖津宮 



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# by lunabura | 2018-10-13 19:59 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

ワダツミ24 竜宮祭4 神占大島



 ワダツミ24  
竜宮祭4

神占大島
かじめおおしま

 
  
 
無事、船泊まりに戻り、私たちは竜宮祭に参加した。
正しくは「宮崎宮 竜宮神社祭」という。




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場所は弁財天社だが、祭壇は海に向けられていた。
今回の玉串奉納は白皇だった。
ワダツミの血を受け継ぐ者として。


祭事が終わったあと、崋山がまだまだ考え込んでいた。
そう、各神社に奉納した「七つの珠」のことだ。
それをパーンと割らねばならないのだという。
珠が割れて、復活したワダツミの神気が飛び出すのだ。

そういうことだったのか。
最後まで、その仕組みに驚かされ続けた。


私たちは竜宮神社のある海に向かい、崋山の音頭で一度だけ拍手をした。
ちょうど、博多の一本締めのように。




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これが2018年5月3日のことだ。
こうして奉納の神事はすべて完了した。


直会(なおらい)に参加し、この大島が祝詞(のりと)に「神占大島」(かじめおおしま)と唄われていることを知った。私たちはレンタカーを手配したままだった。
どのようにも動けるようにと、借りていて使っていない。

せっかく借りた車なので、私たちはもう一つの竜宮祭の方に玉串を奉納することにした。
地図を見て見当をつけ、山の方に上がっていったが、行きつかなかった。
一番近くと思われる所に玉串を立てて帰路についた。

後で聞くと、もう一つの竜宮社の方も船でないと行けない所だったそうだ。


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20181012




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# by lunabura | 2018-10-12 18:22 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

ワダツミ23 竜宮祭3 封印解けし時



 ワダツミ23  

竜宮祭3

封印解けし時

 
  
 



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大島の船泊を出ると、船は大きく左に旋回した。




東へ東へと朝日の方向に進んでいく。




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そして、二つの岩が見えた。
小さな方に赤い鳥居が見える。







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これが竜宮神社だ。

祭なら海上から参拝するのだが、この船は幟を立てるために出されたものだ。
私たちも上陸の機会を与えられた。







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岩によじ登ると赤い鳥居。そしてその奥に石の祠。
それを見て私は思わず「鍵穴だ」と叫んだ。

そう、七つの宝具の一つは「鍵」なのだ。
鍵で開けて宝具を入れる算段だった。

菊如が祝詞を挙げ始めた。
白皇が宝箱の封印を解くと崋山が宝具を取り出して祠に向かった。

そしてその穴に入れると、戻ってくるときに巫女になっていた。
いや、豊玉姫だろう。

そして、白皇に「よう来られました」と告げた。

それから船を出してくれた人の前に立ち、「連れて来てくれてありがとう」と述べた。

さらに「何があっても驚かないでください」と言った。
確かに…。私たちは慣れているけど、初めての人には…。
こんな岩場で何が起こる?

そう思いながら見ていると、崋山はいったん体をかがめ、それから大きく伸びをした。
その時には別人になっていた。
ワダツミの神の姿だった。
海に向かって立ち、伸びをすると、左手でコブシを作って腰に当て、右手を開いて突き上げた。

二千年の封印が解けた姿だった。


そして、白皇をねぎらい、船を出した人に礼を言った。
「これから栄える。魚が戻ってくる」と。
そして「海から我が国を守る」と力強く言った。

こうして無事、私たちは七つの宝具を奉納し終えた。

思えば最高の神仕組みが待っていた。








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その後、船から振り返ると、龍の形をした雲が集まっている。
そうだね。ワダツミの神は龍神なのだ。
祝福の龍雲だ。

「それにしても、後で思ったけど、崋山は鍵を開けた?」
と菊如に尋ねると、
「あの時、崋山は鍵を開け忘れたから、私が祝詞を読みながら開けたよ」
という。
ああ、左手でコチャコチャとしたのがそれだったんだ。


20181011







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# by lunabura | 2018-10-11 19:30 | 「ワダツミ」 | Comments(2)

ワダツミ22 竜宮祭2 船で行ける!



 ワダツミ22  

竜宮祭2 

船で行ける!

 
  
 
さて、夕食後の事だったろうか。
またもや、ピンチの話が出て来た。
翌日の干潮時間は朝の5時では無かった、という情報が入って来たのだ。
実際の干潮は、帰りのフェリーに間に合わない時間帯だった。

万事休す。

これで竜宮社に行く道は断たれた。
「最悪の場合、弁財天社から海に向かって宝具を投げればいいと思う」
と私は言った。

「七つの珠のことは言うなれば神々からの依頼なのだから、最後まで首尾よくいくように仕組まれてるはずよ」
とも言った。

正しくても間違っても、上手く行くようになっている。
いくつものケースをシミュレーションしながら、どれにも対応できるようにしておけばいい。

それが見えない世界との付き合い方。
人間があれこれと考える以上のことは良く起きる。

取りあえず、翌朝の食事は7時に普通に食べられることになった。

5月3日。
食事を済ませてボチボチと化粧をしていたら、崋山が外から戻って来た。
「すぐ行くよ」
「え?」

「急に海が凪いできたから、竜宮社に幟(のぼり)を立てに行くんですって。
船で行くから乗せていってくれるって」

ホイ来た。
そう来るか。

ということで、大慌てで支度を済ませた。









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幟が各家から持ち寄られてきた。
幟は赤色。
手描きで「奉納 竜宮祭」と書かれている。
ああ、これが本来の姿だ。








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昨日の低い雲はすっかり消えて快晴となっていた。








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さあ、出航だ。

20181010






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# by lunabura | 2018-10-10 20:19 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

ワダツミ21 再び大島へ 竜宮祭1



 ワダツミ21  

再び大島へ 

竜宮祭1

 
  
 
七つの宝具を手に入れてから一か月ほど、
邪魔が入らぬようにこの件は他言しなかった。







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竜宮祭は5月3日だ。
私たち四人は竜宮祭に向けて前日から大島の漁師の宿「旅館 ふじ島」に泊まり、祭について話を伺った。

竜宮祭は年に二回、春と秋に大漁祈願のために行われる祭だ。
春は5月3日。

船溜まりからボート(漁船)で竜宮神社のある岩に行って祭を催行する。
例年15人ほど、五組のボートで執り行うという。

この祭には地元の婦人たちは参加しない。
直会も男性だけで行われる。

竜宮神社がある所は厳島神社ではない。
そこからさらに北西に続く荒磯の先にある。

普段は舟で渡るが、引潮時には磯伝いに行くこともできるという。
行くのは簡単ではなかった。

女人禁制という訳ではないが、
いよいよの時には白皇だけが参加することになる。

宝具は竜宮社に向かってワダツミの血を受け継ぐ者が投げ入れれば良かったので、
白皇が船から投げればよいだろうと考えていた。

ところが、話を伺ううちに竜宮社が二つあるということを聞いた。
二つある???
いったいどちらに納めればよいのか。
もう一つは本村の方にあるという。こちらは新村。
はて、さて。
誰も、どちらなのか、イメージが来ない。

しかも、最悪な事態が発生。
シケのため、船が出ないことが前夜の内に決定された。
船が出ないなら、干潮時に磯伝いに歩いていくしかなかった。

早朝五時だ。
新村と分かっているならそれで決行する。
しかし、どちらか分からない。








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それにしても、この海の幸の数々はどうだ。
これは単なる前菜。
魚の本当の美味しさを初めて知ったのである。


20181009




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# by lunabura | 2018-10-09 20:24 | 「ワダツミ」 | Comments(0)
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綾杉るなのブログ 神社伝承を求めてぶらぶら歩き 『神功皇后伝承を歩く』『ガイアの森』   Since2009.10.25


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