ひもろぎ逍遥

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ワダツミ20 ウガヤフキアエズ2 名も無き人として死んだ



 ワダツミ20  

ウガヤフキアエズ2 

名も無き人として死んだ

 
  
 
七つの珠をすべて奉納し、七つの宝具を手に入れた夜、菊如たちはそれを精査し、翌日、その結果を崋山が知らせてくれた。

まず、途中で訪れた貴布祢神社について話してくれた。
小倉駅の東にあるこの神社で、白皇が頭が痛いと言い出した所だ。
企救の長浜という白砂清松の地だった。

そこに祀られていた八大龍王は青い龍だったそうだ。
1300年頃にここに祀られ始めたのだが、汚れて朽ちかけていた。
それを癒すと本来の姿に蘇ったという。

そして、ウガヤフキアエズについて結願をしたらしい。
なんと、この企救の長浜で起きた事件が出て来たという。

サワラビメのミコトが志賀島に攻め入り、本物のウガヤフキアエズを見つけ出して殺したという話をしていたが、やはり人違いだったという。

確かに、誰が王子なのか判別は困難な時代なので、一理ある話だ。

崋山によると、
本物のウガヤフキアエズは船に乗って陸伝いに東に逃げた。
黒い衣装で、短い烏帽子のようなものを被っていたという。

そうして着いた所がこの小倉の企救の長浜だった。

ところが、そこでは二部族の間に戦いが起きていた。
何も知らずに船でやって来たウガヤフキアエズは戦いに巻き込まれてあっさりと死んでしまったのだという。

名も無き人として。

この戦いから、そこは赤坂という地名になったとも。
実際、赤坂海岸と言う地名がある。

歴史的に考えると、ウガヤフキアエズにはその功績が伝わっていない。
名も無き人として死んでしまったとしたら、確かに伝わるものはない。

ウガヤフキアエズの記憶を持つ白皇が貴布祢神社の境内に入ったとたん、頭痛を訴えたのはこの時の記憶だったのだろうか。

崋山が言うには、当時、海の民と陸の者の争いも起きていた。
陸の者からみると、ワダツミの神は津波や竜巻、台風をもたらす悪神なので封印されたのだという。

なるほど、そういう事か。

しかし、謎が一つ解け、また一つ増えてしまった。

この日分かったのは、サワラビメのミコトが殺したウガヤフキアエズはダミーで、本物は北九州に逃げて現地の戦いに巻き込まれて死んでしまったという事だ。

それは分かったのだが、宇土に逃げたウガヤフキアエズは何だったのか。
これもダミーと言うのか。
宇土の方も子供が出来ていない。

歴史的にはウガヤフキアエズは玉依姫と契って神武天皇が生まれている。
赤坂のウガヤも早々と死んでしまったなら、神武は生まれていないことになる。

まあ、異世界にアクセスしているのだから、歴史と同じ必要はないのだが。

しかし異世界は異世界で矛盾無い世界があるはずだった。



20181008



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# by lunabura | 2018-10-08 20:27 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

ワダツミ19 綿積神社2 七つ目



 ワダツミ19  

綿積神社2 

七つ目

 
  
 
早春の桜谷を後にして、船越の綿積神社に向かった。

前回、間違ってここに迷い込んだことも、今では意味があったのだと思える。
既に見慣れた景色。

ここにはアジャーシタという不思議な女性がサンゴに封印されていた。

海と陸をつなぐ門が開いた話。
玉依という七人の養育係。
そして、玉依たちが養育するのは豊玉姫。

そんな話をした後、亀が迎えに来たと言って去っていった。


アジャーシタは豊玉姫が裏山の方にいると教えてくれたが、その日はここではなく、志登神社で会えた。

そもそも、この物語の始まりは岡垣町の大国主神社で豊玉姫が崋山に懸かり、志賀島に帰りたいと言ったことからだ。

豊玉姫はその日のうちに、大島の厳島神社の近くの民家の掛軸に描かれた亀を通して志賀島に戻っていった。

これで一件落着かと思われるが、何故、豊玉姫が大国主神社にいたのかという疑問が菊如と崋山を突き動かしていた。

二人には解決せねばならぬ何かがあるのを感じたようだった。


さて、話を戻そう。
この神社で七つ目の珠を奉納して宝具を貰うとしたら、どこだろうか。
私は境内を見まわした。





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すると、目は海の中にある小さな岩礁に釘づけになった。
  あれこそふさわしい。
  きっとあそこだろう。
何故か私は確信した。





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しばらくすると、案の定、菊如がその岩礁を指差した。
そして白皇に受け取り方を説明した。
それから菊如が祝詞を上げて珠を献上すると、鍵が白皇の手に入った。

白皇は「胸が苦しい。バクバクする」と言った。

崋山は裏山から豊玉姫の分御魂(わけみたま)を貰って、白皇の胸に入れた。
二度目の分御魂だ。
白皇は落ち着いたようだった。

その瞬間だった。
有線放送が「夕焼け小焼け」を奏で始めた。
「5時ぴったり」
四人は大笑いした。
これもまた成し遂げたというサインだった。

それにしても、あの岩礁には前回は気づかなかった。
どうしてだろう。
そう思って前回の画像を確認すると、満ち潮のため、岩礁は波頭が見える程度だった。
この日、この時間でないと、あの岩礁は現れていなかったのだった。





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その後、崋山は神殿前の石段を下りようとして、
「ここ!ワダツミの神の宮殿そっくり!」
と言い出した。

そう、この境内は参道を中心として左右対称の庭園風になり、海へと続いていた。
普通の境内だが、どこか西洋風の趣がある。
これとワダツミの神の宮殿が似ているというのだ。
それは志賀島の勝馬にあったことが後に分かって来た。



こうして3月の内に七つの珠の奉納をすべて終え、七つの宝具を手に入れた。
あとは、5月3日の大島の竜宮祭を待つのみとなった。





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やわらかな桜の開花。
この年、恋い焦がれた花が目の前にあった。

20181007



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# by lunabura | 2018-10-07 19:56 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

ワダツミ18 桜谷若宮神社2 繁栄の種 イワナガ姫



 ワダツミ18  

桜谷若宮神社2 

繁栄の種 イワナガ姫

 
  
 
私たちは北九州を離れ、糸島に向かった。
菊如も途中で合流して、四人になった。

細石神社で預かった「繁栄の種」を納めるのは船越桜谷の若宮神社だ。





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今年は桜の開花がかなり早いが、それでも3月24日なので谷あいの桜に花が開いているのか、心もとない。






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しかも、桜の木があるのかどうかも分からなかった。
神社には桜はつきものだが。








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しかし、それはすぐに見つかった。
薄暗い谷の中、光を求めて横に横にと伸びていった一本の桜。
その枝先に花が咲いていた。







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その幹の表皮は桜とは思えぬ様相をしている。

私は宝箱から「繁栄の種」を両手で受け取った。
「あれ?暖かい」
細石神社では涼しかったエネルギーはほんのりと暖かくなっていた。

それを桜の根元に納めた。
すると、太陽の光が急に強く差し込んできた。






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役目を果たせた印だ。そう思った。




そのあと、私たちは本殿に行って改めて参拝をした。

崋山が裏手の崖をずっと見ている。
そして何者かが懸かった。それはイナリだった。

菊如が尋ねる。
「いつからここに?」
「1872年から。
ここを建て直し、われらは要らぬ存在。川べりに御社があった」
そう言うと、山に向かって狼のように遠吠えをした。

「ここの事を教えてくださいな。
どなたかいらっしゃる?
もともとどなたが居られたの?」

そう尋ねると、イナリは去り、代わりに女人が懸かった。
それを見て、菊如が挨拶をした。

「はじめまして。菊如と申します。どなた様ですか」
「わたくしはこの祠の地に休むイワナガでございます。
あのイナリたちはこの奥に入らぬように守っている者でございます」

次に私が尋ねた。
「桜の木に納めた繁栄の種について教えてくれませんか」
「わたくしの思いと神々の思いと暗い森の中。
その中に一厘の花が咲く思い。

コノハナサクヤ姫と共にこの地に舞い降り、あの木に始まるのでございます。
全国に回り、この地に戻り、再びあの木から始まるのです。
暗い世に花を咲かすコノハナサクヤ姫。

花が咲くことを、この地よりコノハナサクヤ姫が始めるのでございます。

すべてが始まり、暖かい日が始まり、寒くて花の咲かぬところに花が咲き始めます。日本の暮らし。
この地を守り、日本の国が乗り越え、また花を咲かせるのでございます。

必ず、どんな花も、その花を咲かせます。
この周期をここからすべて見守っているのでございます。

今日植えた種はさまざまな人と共に、暖かな空気と共に日本に広がっていきます。
わたくしはここに眠ります」

イワナガ姫はコノハナサクヤ姫と共にこの地に舞い降り、あの桜の木から花を開かせていくのだと言う。

この谷は薄暗くて寂しい。
その暗さに意味があった。

陰から陽へ。
冬から春へ。

自然の周期には陰も必要なのだ。


陽極まって陰に転ず。
夏が極まると冬に向かっていく。
来る年、来る年、イワナガ姫とコノハナサクヤ姫はこの木から始めるというのだ。

桜谷の持つ意義は人間の想像を超えていた。


菊如はかつて一粒万倍(いちりゅうまんばい)の日に
ここに来るように告げられて祈祷をしたことがあるという。
その時の物語もここから始まった。






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さて、この若宮神社には古計牟須姫命と木花開耶姫命が祀られている。

崋山に懸かっているイワナガ姫に、この女神たちのことを尋ねた。
「ここには古計牟須姫と木花開耶姫が祀られていますが」
「コノハナサクヤ姫はこの地にはおられません」

「富士山ですか」
「この糸島のサクヤ姫はわれらの思いの集合体でございます。
桜の花が、桜前線が、少しずつ北の方に上っていく、まるで天女のように上っていく、暖かい空気、それらを含んだものがサクヤ姫でございます。

また、コケムス姫とイワナガ姫はこの地では同じものと言われますが、違います。
コケムス姫は762年(あるいは762年前)、小さな祠に祀られてからでございます。

元はこの国ではございません。
今で言えば、ここより海を渡り、半島の左下、姿は目も髪も黒い。
怒っているような言葉を話す所にいました。

ある人が石に御魂を封印して、ここに連れてきたのです。
イワナガと似ていると思って。
いつしか同一視され、イワナガ姫となり、ここに祀られ、山の奥におります」

「厭な思いはしてはおりません。
神々の思い。
私はこの地の者ではございませんから、ひっそりとしております」

最後はコケムス姫の言葉のようだった。

木花開耶姫と並んで祀られているからだろう、古計牟須姫はいつしかイワナガ姫と同一化されていったという。
確かに名前からして、働きは別のものだ。

古計牟須姫について尋ねた。
「コケムス姫とは?」
「苔はどんな所にも緑を生やし、増えていきます。
何も無い所から生え、どんどん子孫を増やす、それがコケムス姫でございます。

子孫繁栄。
この地には、子を生めない方が多くいたので、石に願をかけました。

子を欲しいという人々の思いが、漁師の子が生まれてほしいという思いが、詰まった石でございます。

それが一つの形になって、子を生めない人が他所からも、ここに祈りに来るようになったのでございます。私の力ではございません」

ここには陰陽石が祀られている。この石のことだろう。
「子が生す(むす)」という意味に変化したようだ。

しばらくしてイワナガ姫が語った。
「コノハナサクヤ姫は人々に春を呼び込む神でございます」

これを聞いたとき、「春」には時代的に一度冬を迎える意味が隠されているのではないか、そんな疑問が生じた。
北からのミサイル実験が連続して、不穏な空気が漂っている日々だった。

「その前に日本の冬が来るのですか」

「いつも危険と隣り合わせでした。
そのために神々が動き、今までは安泰だったのです。
新しい時代に新しい考えがある人たちがこの国を動かします」

「どうにか安泰だったということは、これからどうなるのですか。
戦いがあるのですか」

「表向きで騒ぎ、奥で脅威を振るう者、陰でひっそりとねらう者、この地を狙う者がいます。
が、案ずることではありませぬ。
日本はいざという時はしっかりと立ち上がります。
神々が動き、しっかりと守ります。

あなたたちのように、神々の思いを受け取る者たちがひっそりと、この地を守ろうと現れるのです。
代々そうして来ましたから。
静かなこの地でそれを願っております。
永遠に続くように」

そう言ってイワナガ姫は去っていった。




20181006



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# by lunabura | 2018-10-06 19:22 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

ワダツミ17 貴布祢神社  白砂清松の長浜だった



 ワダツミ17  

貴布祢神社

白砂清松の長浜だった

 
  
 
和布刈神社を後にして、北九州市の門司区から西へと向かった。
途中、菊如の依頼で手向山(たむけやま)へ。
武蔵の名で知られる山だ。
桜の名所だが、この日はまだつぼみだった。

それからもう一件、小倉北区の貴布祢神社に立ち寄った。








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手向山から西に約2キロの所にある。
小倉駅にも近い。

今は想像もつかないが、ここは白砂清松の長浜だったという。「企救(きく)の長浜」「企救の高浜」と呼ばれていた。

この小倉から東の門司大里まで砂浜だったのだ。
万葉歌が残されている。
 豊国の企救の長浜ゆきくらし  日の暮れゆけば妹をしぞ思ふ
 豊国の企救の高浜たかだかに  君待つ夜らは小夜ふけにけり
旅の途中、長い夜に恋人をしのぶ歌だ。

「企救」といえば、「菊」とも書き、菊物部の名にその名が残っている。



「企救」の由来は「コンパスとサシガネ」を「北斗七星」に例えたことから来ていると真鍋は伝える。
https://lunabura.exblog.jp/26514858/

この地域を「企救」と呼んだのは豊の国の宇佐の集団だそうだ。
ここは豊の国の最北に当たる。




http://www.kcta.or.jp/kaidou/shiseki/kokura/kihune/kihune.html
によると、祭神は
高淤加美神、闇淤加美神、上筒之男神、中筒之男神、事代主神、綿津見神、相殿に蛭子社、榊姫社、八大龍王社、役の行者(えんのぎょうじゃ)

祭神名を見ると、高淤加美神、闇淤加美神は若松の貴船神社(上巻9)、
八幡東区の勝山勝田神社(上巻3)にも祀られている。
龍神であり、峡谷の水神、船玉の神でもある。

上筒之男神と中筒之男神は住吉三神の二神。表筒之男神が祀られていない。

綿津見神が祀られていた。
綿津見神社社伝(下巻75)によると、昔はワダツミの神を八大竜王、あるいは竜王と呼んだという。






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本殿の右手にその八大龍王が祀られていた。

それから、上記に書かれていない弁財天社があった。
ここは船人たちが必ず手を合わせて船旅の安全を祈った宮だったのだ。
小倉城建築の際、ここに遷されたという。


不思議なことに、境内に入るなり、白皇が頭が痛いと言う。

この時は思いも及ばなかったが、あとで白皇の過去生と縁の深い地だと分かった。







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北九州市小倉北区長浜町2-21








20181005




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# by lunabura | 2018-10-05 20:23 | 「ワダツミ」 | Comments(0)

ワダツミ16 和布刈神社 六つ目



 ワダツミ16  

和布刈神社 
六つ目

 
  
 
七つの珠の奉納は封印されたワダツミの神の復活をさせ、
海の底から侵入する敵を防ぐためだという。
二つの珠の奉納先もあっさりと分かった。

また封印したのは物部のサワラビメのミコトだということも分かった。

正直、この手の話は余り乗りたくないのだが、行きがかりの縁とは不思議なもので、七か所、二人をきちんと案内したいという思いは強くあった。

私たちはあと二つの珠を奉納する日を早々に決めた。
四人の都合が合ったのはそれから十日後の3月24日だった。

私の担当の「繁栄の種」の奉納もこの日だ。
これには桜の咲く時という条件があった。
今年は桜の開花が例年よりかなり早い。
私たちの都合はこの日しかなかった。
桜が咲いていることを願うばかりだった。


和布刈(めかり)は午前中指定だ。
菊如に午前の仕事が入った。

そこで崋山と白皇と私の三人で和布刈神社に向かうことにした。







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ここは神功皇后の本のために取材して以来だ。向こうの山は本州の山。


珠を奉納するなら、例の所に違いない。
そう、有名な和布刈神事(めかりしんじ)の時に海に入る所。

旧暦の元旦の夜中にワカメを刈る神事が毎年行われているが、それは安曇磯良が神功皇后に干珠満珠の秘法を授けたことが由来だという。

深夜、干潮になって松明(たいまつ)を灯(とも)しながら荒磯の岩場に白衣の神官たちが入っていく。

ワダツミの神の授けるものは海の中に入らねばもらえない。

神功皇后の時にそれを行ったのは妹の豊姫。
豊姫も巫女だった。
その場所は福岡市東区の志式神社の海だ。

海の中に入ること、それは禊(みそぎ)でもある。

安曇の者たちは海中に潜ってミソギをした証(あかし)として海藻を二つ採ってくる。
だから、海藻を奉納した神社が各地にある。






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さて、この日、本殿で参拝を済ませると、二人を案内しながら、崋山のアンテナが感知するのを待った。









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本殿が食い込む巨大な磐座(いわくら)。







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本殿の右の磐座。

左手の稲荷社。



かつては神功皇后もここに立ち、
豊玉姫と山幸彦とウガヤフキアエズを祀ったのだ。

それは多分、あの志式神社で神と交わした約束だったのだろう。

皇后は最後に九州を発つ時、ここで干珠満珠を奉納したともいう。



波と渚。
海と陸が交わるところ。

こここそ豊玉姫とその家族を祀るにふさわしい所だった。







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この日、関門海峡では旗を掲げたいくつもの漁船が操業していた。

やがて崋山は海に向かう鳥居を示した。
やはり、あの場所だった。
和布刈神事が行われる場所。







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鳥居から石段を下ると波が寄せていた。

崋山はいきなり「あそこ」と海上を指す。
もうすでに波がそこだけ荒れていた。







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祝詞を上げるうちにその荒れた波がこちらにどんどん近づく。
荒れ方が激しい。
最後は波が石段の上まで上がった。

崋山が珠を捧げると白皇の手に見えない杖が乗った。
それは巨大な棍棒(こんぼう)のようなもの。
鬼の持つ棍棒のように突起が沢山ついている。
しかも、持つ方は突起がある方だった。

「イタタ」
目には見えない棍棒だが、白皇の指が腫れた。

これはイザナギとイザナミが国土を作り固める時にコオロコオロと掻き回した杖だともいう。


それを縮めて収納すると、崋山が困った声で「龍神が来ちゃった。どうしよう」と案じている。

「後で話を聞きますから」と言って、白皇の左胸の上の方に預けた。
そうだね。
今は別件で動いているから、話は後だね。

後日談だが、この龍は杖を守っていた龍神だったそうだ。








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『神功皇后伝承を歩く』下巻72志式神社
           下巻100和布刈神社



20181004




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# by lunabura | 2018-10-04 20:31 | 「ワダツミ」 | Comments(0)
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綾杉るなのブログ 神社伝承を求めてぶらぶら歩き 『神功皇后伝承を歩く』『ガイアの森』   Since2009.10.25


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